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バダクシャン ( リダイレクト:バダフシャーン ) : ウィキペディア日本語版 | バダフシャーン
バダフシャーン(パシュトー語/、)は、アフガニスタンとタジキスタンにまたがる中央アジアの地域名。パミール高原西部に位置し、パンジ川と呼ばれるアム川上流域両岸の山岳地帯を指す〔島田「バダフシャーン地方」『中央ユーラシアを知る事典』、429頁〕。アフガニスタンのバダフシャーン州、タジキスタンのゴルノ・バダフシャン自治州(山岳バダフシャン自治州)は、この地域に含まれる。 == 地理 ==
バダフシャーンは周辺を高い山々に囲まれた高原地帯で、ヒンドゥークシュ山脈の支脈が屹立している。パキスタン・カシミールとの往来は、ワハーン回廊が利用された〔アバエワ「アフガン・バダフシャンの自然・産物・交易路」『アイハヌム 2004』、72頁〕。 バダフシャーンは高山気候に属し、標高と山脈の配置によって東西で気候は異なる〔アバエワ「アフガン・バダフシャンの自然・産物・交易路」『アイハヌム 2004』、74頁〕。西部は比較的降水量が多く、最も気温が高い7月でも最高気温が16度を超えることは少ない〔。バダフシャーン西部を訪れた旅行家・探検家はこの土地の快適な気候を書きとめ、ムガル帝国の創始者バーブルは著書『バーブル・ナーマ』でバダフシャーン西部の美しい自然を賞賛した〔アバエワ「アフガン・バダフシャンの自然・産物・交易路」『アイハヌム 2004』、75頁〕。東部は乾燥した気候にあり、7月の平均気温は10-12度の範囲に収まる〔。バダフシャーンの年間降水量の平均値は130mmから150mmほどで、標高2000mまでの地域は比較的降水量が多い〔。冬季の長さは4-5か月ほどであるが高山地帯では6-7か月に及ぶ長さで、厳しい寒さに襲われ、標高5,500m以上の高地には万年雪が積もる〔アバエワ「アフガン・バダフシャンの自然・産物・交易路」『アイハヌム 2004』、74-75頁〕。 バダフシャーンの内部は平坦な頂上部と石ころの多い斜面を持つ山塊で構成され、渓谷の底には河川が流れる〔。峡谷の標高は1000mを超え、その間に農村が集中している〔アバエワ「アフガン・バダフシャンの自然・産物・交易路」『アイハヌム 2004』、91頁〕。アフガニスタンのバダフシャーン州とタジキスタンのゴルノ・バダフシャン自治州は、パンジ川で隔てられている〔アバエワ「アフガン・バダフシャンの自然・産物・交易路」『アイハヌム 2004』、69,72頁〕。ヒンドゥークシュ山脈の支脈の一つであるクフ・イ・ラル山脈とパンジ川の間にはシヴェ(シヴァ)、デュト・イ・イシュという広大な平野が広がり、牧草地としても知られている〔アバエワ「アフガン・バダフシャンの自然・産物・交易路」『アイハヌム 2004』、73頁〕。バダフシャーンに農耕に適した土地は少なく、大部分の地域の地表には花崗岩、片麻岩が露出し、一部の地域では土壌がそれらの岩石を覆っている〔アバエワ「アフガン・バダフシャンの自然・産物・交易路」『アイハヌム 2004』、73,92頁〕。クンドゥズ川両岸の河岸段丘はダシュトと呼ばれ、わずかに生えている植物を利用した放牧が行われている〔羽田『西域』、200-203頁〕。 古来からバダフシャーンはルビー、ラピスラズリの産出地として知られ〔〔松村「バダフシャーン」『アジア歴史事典』8巻、378頁〕〔アバエワ「アフガン・バダフシャンの自然・産物・交易路」『アイハヌム 2004』、77頁〕、この地で採取される宝石類は地名の語源に何らかの関連があると考えられている〔アバエワ「アフガン・バダフシャンの自然・産物・交易路」『アイハヌム 2004』、105-106頁〕。バダフシャーンは鉱物資源に富み、鉄、硫黄、金、銀などの鉱脈が発見され〔アバエワ「アフガン・バダフシャンの自然・産物・交易路」『アイハヌム 2004』、76-77頁〕、河川では銅の鉱床も発見されている〔フォーヘルサング『アフガニスタンの歴史と文化』、32頁〕。石綿(アスベスト)も古代から知られるバダフシャーンの特産品の一つであり、ヨーロッパ方面に輸出されて遺体に巻きつける布(サワン)に加工された〔アバエワ「アフガン・バダフシャンの自然・産物・交易路」『アイハヌム 2004』、105頁〕。
抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「バダフシャーン」の詳細全文を読む
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