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バッハマン
『バッハマン』(''Bachmann'')は、亡命作家であるウラジーミル・ナボコフの短編小説。1924年のベルリンでV. Sirinというペンネームのもと発表された。掲載されたのは彼の父が創刊した亡命ロシア人の新聞である「Rul」であり、のちに短編集「チョールブの帰還」(1975年)などにおさめられた。ナボコフやその息子ドミートリーによって英訳されている。 いわゆる信頼できない語り手から聞いた話を信頼できない語り手が語る、「三重底」を持った作品である〔佐藤亜紀「小説のストラテジー」青土社、2006年 p.47〕。 ==あらすじ==
友人からの又聞きだと断った上で、語り手はこのような言葉で物語を始める。興行師のザックは、かつて自分がマネージメントをしていた天才的なピアニスト、バッハマンと彼を愛していたペローフ夫人との恋愛譚を語り手に伝えたのだという。それによれば、天才ではあるが幼児的で狂人じみてすらいるバッハマンと知り合ったペローフ夫人は恋に落ちる。二人は奇妙な恋愛関係を続け、バッハマンのピアノ・コンサートには必ず彼女の姿がみつかるようになる。しかし、ある日のコンサートにペローフ夫人は来なかった。熱病を患っていたのである。それに気づいたバッハマンは狂乱状態に陥り、イベントを投げ出してどこかへ行ってしまう。ザックにそれを伝えられた夫人は、雨のなかバッハマンを探しにいく。彼女の病状は悪化していくが、バッハマンは見つからない。結局彼は夫人の部屋にいたのだ。重病の夫人はその日のうちに亡くなるが、彼女の顔つきには喜びがあったという。
バッハマンは夫人の葬式が終わると姿を消す。6年後、ザックはミュージック・ボックスの前で騒いでいる男を見かける。しかし人だかりができているなかで「こんにちは、バッハマン」とは言えなかった。
抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「バッハマン」の詳細全文を読む
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