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パラフィン系エンジンオイル : ミニ英和和英辞書
パラフィン系エンジンオイル[ぱらふぃんけいえんじんおいる]
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〔語彙分解〕的な部分一致の検索結果は以下の通りです。

ラフ : [らふ]
  1. (adj,n) rough 2. (adj,n) rough
フィン : [ふぃん]
 【名詞】 1. fin 2. (n) fin
: [けい]
  1. (n,n-suf) (1) system 2. lineage 3. group 4. (2) type of person 5. (3) environment 6. (4) medical department (suf) 

パラフィン系エンジンオイル : ウィキペディア日本語版
パラフィン系エンジンオイル[ぱらふぃんけいえんじんおいる]

 炭化水素で構成される石油は、その炭素水素分子の配列により、パラフィン(paraffins)、オレフィン(olefins)、ナフテン(シクロパラフィン naphthenes)、アロマティック (芳香族 aromatics)に分類される。(石油のPONA・ポナと呼ばれる。)
それぞれ油中の割合をパラフィン%CP、ナフテン%CN、アロマティック%CAで表す。オレフィン分は精製された後にできるもので、原油中には殆ど見られない。
一般的に潤滑油に使用されているのがパラフィン系の炭化水素からなる油で、エンジンオイルもしかるにパラフィン系(アルカン)であり、その分子結合は鎖状の組成を成す。パラフィン系油の代表的な化学分子式はCnH2n+2であり、飽和鎖状化合物になる。その中でも分子結合が直鎖状のものをノルマル・パラフィン、側鎖を持つものをイソパラフィンという。油中の割合が%CPが50以上をパラフィン系,%CNが30〜45をナフテン系と分類されている。近年、日本国内のエンジン油に市場において、パラフィン系鉱物油が貴重、かつ特殊なオイルである様な情報がインターネットを通じて広まっている。これはかつてアメリカペンシルベニア州から採掘されるパラフィン基原油から精製したベースオイルが高粘度指数(VI 温度が上がることによる粘度低下のなり難さ))100を誇り、ペンシルベニア産エンジンオイルが高品質の証であったことからの誤解である。パラフィン系原油から精製されるベースオイルだけがパラフィン系潤滑油ではない。現代では高圧下で水素を添加し、触媒を用いた高度な水素化分解精製技術(異性化分解・ハイドロクラッキングVHVI:Very High Viscosity Index、VHDC:Very Balanced Hydrocrackedなどで超精製油とも呼ばれる。)の発達により、原油の産地に関係なく高粘度指数のベースオイル(基油=基材原料となる主たる油)が生産できるようになった。これらはAPIのカテゴリーでグループIII(VI120以上・飽和分90%以上・硫黄分0.03以下)にあたる。一般的な溶剤精製はグループI(VI80〜119以下・飽和分90%以下・硫黄分0.03以上)になり、軽度な水素化処理精製油はグループII(VI80〜119以上・飽和分90%以上・硫黄分0.03以下)になる。(2000年以降、アメリカでのカストロールの例を受け、鉱物油であるグループIIIも化学合成油として販売されることが増えている。)パラフィン系潤滑油・エンジンオイルは特別なオイルではなく、一般的に使用される潤滑油の殆どがパラフィン系(パラフィンリッチ=パラフィン組成の割合が多い油)であり、ナフテン系(環状の組成の割合が多い油 分子式CnH2n)のエンジンオイルは存在しない。
日本での流通供給量を見れば、パラフィン系ベースオイルは多くの元売り系製油所が精製しているのに対し、ナフテン系ベースオイルの製造元はユニオン石油工業山口県岩国市)、谷口石油三重県四日市)、三共油化工業千葉県市川市)のわずか3社でしかない。実際には圧倒的にパラフィン系潤滑油の方が多く使用されている。「パラフィン系はナフテン系オイルよりもアスファルト硫黄などの不純物が少ない」という記述も多いが、現代においては不純物の残存量、飽和分は原油の種類よりも精製プロセスが大きく影響する。ナフテン系油の使用例は油性インキや加工プロセス油、トランス絶縁油などで、潤滑油としてはレシプロコンプレッサー圧縮機)のシリンダー油としてや、旧冷媒(R-12)を用いたエアコン冷凍機油、工業用ギヤ油の一部、パラフィン系基油と混合されフラッシング油に、特殊な例としてはトロイダル無段変速機のトラクション油に合成ナフテン油が使用されるなど、限定された用途になる。
インターネットによる影響で「アメリカがパラフィン系オイルの輸出を制限したため、パラフィン系オイルを模してヨーロッパエステル油が開発された...」とか、「現在アメリカは軍用にペンシルベニア産パラフィン系オイルの輸出を制限してしまっている...」という風評が広まっている。確かに第二次世界大戦当時、ペンシルベニアオイルを入手できる米軍航空機戦で有利であり、ヨーロッパでは良質な内燃機関用の潤滑油が不足していた。しかし現在、鉱物油では化学合成油に要求される品質を満足できない。エステルの代替には使えず、エステルと鉱油では組成も異なる。ナフテン系、パラフィン系にかかわらず、鉱物油がジェットエンジンに使用されることもない。(ジェットエンジンにはジエステル <米軍規格 MIL-L-7808・民間規格 TYPE I>や、ポリオールエステル<MIL-L-23699・TYPE II>が採用されている。)なお、自動車用MIL規格は補充充填した場合の相溶性・トラブルの有無を確認した程度で、さほどの高品質を保障したものではない。(MIL-46152はAPI規格でSE/CC、MIL-L-2104CはSC/CD程度。)
「日本で精製されるオイルは中東中近東)産のナフテン系原油を用いているために低品質であるにの対して、北米産のオイルはパラフィン系原油から精製される故に高品質...」という認識もまた広まっている。しかし、粘度指数の基準となるアメリカのオイルでも、東側のペンシルベニアのパラフィン基原油から精製されたベースオイルが粘度指数が100であり、西側のガルフコーストのナフテン基原油から精製されたベースオイルはナフテン系で、これは粘度指数が0である。(主な日本に輸入されるパラフィン系原油はインドネシアのミナス原油で、ナフテン系の原油はオーストラリア産(ワンドゥー原油)が主流で、インドネシアベネズエラからも少量輸入されている。もっとも輸入量が多い代表的なアラビアンライトやカフジなどの中東産の原油は中間・混合基原油になり、良質のパラフィン系ベースが精製できる。)
総合的に見て、化学合成油(シンセティックオイル)は鉱物油(ミネラルオイル)より遥かに品質(粘度指数、低蒸発性、耐熱性、酸化安定性、低温流動性、飽和性など)が高い。ノルマルパラフィン=ワックス分は低温で凝固しやすく、流動点を上げてしまうので脱ロウ工程にて析出する。「パラフィンは摺動面に絡み付いてドライスタート(コールドスタート)時の摩耗を防ぐ」という業者の宣伝文句の理屈は成り立たない。ドライスタート時の摩耗の防止は極性を持ち、吸着力のあるエステルの方が有利に働く。またパラフィン系ギヤオイル非ニュートン流体特性として、回転軸に対して絡み付くデモンストレーションが見られるが、パラフィン系オイルには特に強い粘弾性効果はなく、この性質は添加剤(粘着性付与剤 シューリンザイラー Seilacher GmbH、アフトンケミカル Afton Chemical Corporation製)によるものである。
鉱物油が化学合成油のPAO:ポリ α-オレフィン(グループIV)やエステル(グループV)に対する優れた点といえば、化学合成油に対応していない旧車のオイルシールや、劣化や勘合・合わせ面の加工精度の悪さに起因するパッキンからのオイル漏れや滲みが少なくできることや、油膜の厚さによりミッションオイル(ギヤオイル)に用いた場合のショックの緩和などが挙げられる。また摩擦係数のみ見れば鉱物油はPAOより低いものがあり、エステルより高いが、鉱物油だと0W-20のような低粘度オイルでHTHS粘度を満足させるのは困難なため、結果的に省燃費性でも化学合成油に劣ることになる。 反面、近年20W-50のような高粘度マルチグレードや、#30、40のような高粘度シングルグレードは鉱物油でしか入手できにくい状況である。



抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
ウィキペディアで「パラフィン系エンジンオイル」の詳細全文を読む




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