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パーリ仏典(パーリ語仏典、パーリ聖典、Pali Canon)、あるいはパーリ三蔵(Tipitaka, ティピタカ、「三蔵」のパーリ語表現)は、南伝の上座部仏教に伝わるパーリ語で書かれた仏典である。北伝の大乗仏教に伝わる漢語・チベット語の仏典と並ぶ三大仏典群の1つ。 パーリ経典(パーリ語経典)とも呼ばれることがあるが、これだと「仏典」よりも狭い限定的な意味のニュアンスを持った表現となる。 日本でも戦前に輸入・翻訳され、漢訳大蔵経(北伝大蔵経)、チベット大蔵経に対して、『南伝大蔵経』『パーリ大蔵経』(パーリ語大蔵経)などとしても知られる。 == 概要 == パーリ仏典は、部派仏教時代に使われていたプラークリット(俗語)の1つであり、(釈迦が生きた北東インドのマガダ地方の方言ではなく)西インド系〔パーリ語とは - 世界の主要言語がわかる事典/講談社/コトバンク〕の、より具体的にはウッジャイン周辺で用いられたピシャーチャ語の一種であると推定されるパーリ語で書かれている〔『バウッダ 』 中村元 講談社学術文庫 p.100〕。第1回-第3回の結集や、後代における仏典のサンスクリット化からも分かる通り、仏典はその歴史の過程で編纂・増広・翻訳が繰り返されており、パーリ仏典はその歴史過程における、インド部派仏教時代の形態を強く留めている、現存する唯一の仏典だと言える。 上座部仏教では伝統的に、この仏典の言語であるパーリ語が、釈迦が用いたいわゆるマガダ語であると信じられてきたが、学問的知見が広まった今日においてはそうした主張は弱まってきている。ただし、マガダ語とパーリ語は、実際には言語的にそれほど相違しておらず、語彙をほぼ共有し、文法上の差異もさほどないなど、むしろかなり近似的な関係にあったと推定されている〔『バウッダ 』 中村元 講談社学術文庫 p.101〕。 なお、「パーリ」とは「聖典」の意であり〔、各経典に関して「〜聖典」(-pali)という表現もよく用いられる。「パーリ語」という言語名も「聖典(パーリ)の言葉」「聖典語」というところから付けられた通称に過ぎない。 現在、スリランカ・ミャンマー・タイ等の上座部仏教文化圏で流通しているパーリ仏典は、分別説部(赤銅鍱部)と呼ばれる上座部一派の流れをくむ、スリランカ仏教大寺派に起源を持つものが、12世紀以降に広まったものであり、瑣末な差異こそあれ、基本的に同一のテキストである。 近代以降は、1881年にロンドンに設立されたパーリ聖典協会(Pali Text Society, PTS)の校訂出版本〔『南伝大蔵経』や、中村元らの翻訳本は、これを底本としている。〕や、1954年にビルマ(ミャンマー)のヤンゴン(ラングーン)で行われた第6回結集によって編纂された聖典テキスト(第六回結集本)〔現在、大蔵出版から刊行され続けている片山一良訳の『パーリ仏典』シリーズは、これを底本としている。〕等が、共通の底本となっている。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「パーリ仏典」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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