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ギフチョウ(岐阜蝶・学名 ''Luehdorfia japonica'')は、チョウ目・アゲハチョウ科・ウスバアゲハ亜科ギフチョウ属に分類されるチョウの一種。日本の本州の里山に生息するチョウで、成虫は春に発生する。近年、里山の放棄、開発などにより個体数の減少が著しい。 == 特徴 == 成虫の前翅長は3-3.5 cm、開長は4.8-6.5 cmほど。成虫の翅は黄白色と黒の縦じま模様で、後翅の外側には青や橙、赤色の斑紋が並ぶ。さらに後翅には尾状突起を持つ。オスとメスの外観の差異は少なく、若干メスが大きい〔名和 (1988)、58頁〕。近縁種のヒメギフチョウとよく似ているが、ギフチョウは前翅のいちばん外側に並ぶ黄白色の斑紋が、一番上の1つだけが内側にずれている。また、尾状突起が長く、先が丸いことなども区別点となる。 日本の固有種で、本州の秋田県南部の鳥海山北麓から山口県中部にいたる26都府県(東京都、和歌山県では絶滅)に分布する〔蝶 (2006)、92-93頁〕。分布域によって色柄などの地理的変異が見られる〔蝶 (2006)、10頁〕。 下草の少ない落葉広葉樹林に生息し、成虫は年に1度だけ、3月下旬-6月中旬に発生する。ただし発生時期はその年の残雪の量に左右される。オスはメスよりも1週間ほど早く発生する〔名和 (1988)、66頁〕〔松岡(2003)、4-5頁〕。カタクリ、ショウジョウバカマ、スミレ類、サクラ類などの花を訪れ吸蜜する〔〔いぬい (1988)、80頁〕。黄色い花にはほとんど集まらない〔いぬい (1988)、98頁〕。ギフチョウのオスは、交尾の際、特殊な粘液を分泌してメスの腹部の先に塗りつける習性がある〔。塗りつけられた粘液は固まって板状の交尾嚢になり、メスは2度と交尾できない状態になる〔〔 - ヒメギフチョウが交尾嚢をつくっている瞬間を撮影した写真。〕。 幼虫の食草はウマノスズクサ科カンアオイ属のミヤコアオイやヒメカンアオイなどで、卵もこれらの食草に産みつけられる。卵の直径は1mmほどである〔。真珠のような卵から孵化した幼虫は黒いケムシで、孵化後しばらくは集団生活をして育つ。4回脱皮した終齢幼虫は体長3.5cmほどに成長し、夏には成熟して地表に降り、落ち葉の裏で蛹となる。蛹の体長はだいたい2cmくらいである〔。蛹の期間が約10ヶ月と非常に長いのが特徴で、そのまま越冬して春まで蛹で過ごす。 ファイル:Luehdorfia japonica side s2.JPG|裏翅 ファイル:Luehdorfia japonica head.JPG|頭部 ファイル:Luehdorfia japonica wing.JPG|後翅の細部 ファイル:Asarum nipponicum.jpg|幼虫が食草とするカンアオイ 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「ギフチョウ」の詳細全文を読む 英語版ウィキペディアに対照対訳語「 Luehdorfia japonica 」があります。 スポンサード リンク
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