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ヒヨス : ミニ英和和英辞書
ヒヨス
henbane leaf
ヒヨス : ウィキペディア日本語版
ヒヨス

ヒヨス(〔.〕、菲沃斯)はユーラシア大陸原産のナス科の植物である〔。現在は世界中に分布している。多年草または一年草で、園芸植物薬用植物として用いられる〔。
==毒性と歴史的な利用==
ヒヨスは、マンドレイクベラドンナチョウセンアサガオ等の植物と組み合わせて、その向精神作用を利用して麻酔薬として歴史的に用いられてきた〔。向精神作用としては、幻視や浮遊感覚がある〔Schultes & Smith 1976, p. 22〕。ヒヨスの利用は大陸ヨーロッパ、アジア、中東で始まり〔Joseph Perez, Janet Lloyd, ''The Spanish Inquisition'', Yale University Press, 2006, ISBN 0-300-11982-8, ISBN 978-0-300-11982-4, p229 footnote 10]〕、中世にはイギリスに伝わった。古代ギリシア人によるヒヨスの利用はガイウス・プリニウス・セクンドゥスによって記録されている。この植物は''Herba Apollinaris''と記述され、アポローンの神官によって神託を得るのに用いられた〔。
ヒヨスには毒性があり、動物なら少量で死に至る。henbaneという英名は1265年まで遡る。語源は定かではないが、"hen"はニワトリという意味ではなく、恐らくもともとは「死」を意味していた。ヒヨスの葉や種子には、ヒヨスチアミンスコポラミン、その他のトロパン・アルカロイドが含まれている〔。人間がヒヨスを摂取した時の症状には、幻覚〔、瞳孔散大、情動不安、肌の紅潮等がある。また人によっては頻脈、痙攣、嘔吐、高血圧、超高熱、運動失調等の症状が表れることもある。
全ての動物が毒性の影響を受けるわけではなく、ヨトウガ等のチョウ目の幼虫はヒヨスの葉を食糧としている。
11世紀から16世紀にホップに代用されるまで、ヒヨスはビールの原料として風味付けに用いられてきた(例えば、1516年のビール純粋令では、ビールの原料として麦芽、ホップ、水以外の使用が禁じられた)。

1910年、ロンドン在住のアメリカ人ホメオパシー実践者であるホーリー・ハーヴェイ・クリッペンは、妻を毒殺するのにヒヨスから抽出したスコポラミンを用いたと言われている〔"The Crippen Case – Discovery of Poison", ''The Times'', Wednesday, September 7th, 1910, p3〕。
またハムレットの父の耳に注がれたヘベノンという毒物はヒヨスのことであると考えられている〔。(ただし他の説もある。)

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
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