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『ヴィーナスの誕生』(ヴィーナスのたんじょう、) は、ルネッサンス期のイタリアの画家サンドロ・ボッティチェッリの作品で、キャンバス地に描かれたテンペラ画である。縦172.5cm、幅278.5cmの大作で、現在、フィレンツェのウフィッツィ美術館が所蔵し、展示している。 この絵は、ギリシア神話で語られている通り、女神ヴィーナスが、成熟した大人の女性として、海より誕生し出現した様を描いている。 == 制作の背景 == この大作は、1483年頃かそれ以前に、『春の寓意』同様、ロレンツォ・ディ・ピエルフランチェスコ(:en:Lorenzo di Pierfrancesco de' Medici)の別荘カステッロ邸(Villa di Castello)を飾るために描かれたと考えられている。幾人かの研究家は、ディ・ピエルフランチェスコの依頼で描かれ、ジョルジョ・ヴァザーリが言及している絵画は、ウフィッツィ美術館にある絵ではなく、失われてしまった別の絵画であったろうと推測している。 また幾人かの専門家は、この絵は、ジュリアーノ・デ・メディチ(1478年にパッツィ家の陰謀で暗殺された)の愛人シモネッタ・ヴェスプッチに対する愛を祝福する目的で描かれたと信じている。美女ヴェスプッチは、地元の伝統ではヴィーナスの誕生地だとされる海辺の町ポルトヴェーネレに住んでいた。 何がボッティチェッリにインスピレーションを与えたかはともかく、この絵は、詩人ポリツィアーノの『詩篇』において、また同じく詩人のオウィディウスによる『変身物語』や『祝祭暦』(Fasti)に見られる描写と明らかな類似性を持っている。 古典的な女神ヴィーナスは、水より出現して貝殻のうえに立ち、霊的情熱の象徴であるゼピュロス(西風)に乗って、岸へと吹き寄せられている。季節の女神であるホーラたちの一人が、花で覆われた外套を女神へと差し出している。ヴィーナスのポーズは、当時発見された『恥じらいのヴィーナス』タイプの古代彫刻から得たものである。 この絵画効果は、ローマ・カトリック教会の宗教的主題に従って、大部分の絵画が描かれていた当時の時代と場所を考え合わすと、紛れもなく異教的である。ボッティチェッリの多数の「異教的」作品が焼き尽くされた、サヴォナローラの異教撲滅の「虚栄の焼却」の炎を、このカンバス画が逃れえたということは驚きである。ボッティチェッリはロレンツォ・デ・メディチと大変親しい間柄にあり、友情とメディチの権力のおかげで、『ヴィーナスの誕生』はサヴォナローラの焚火や教会勢力の非難から守られたのである。 ヴィーナスの体や細かい補助効果は、レオナルド・ダ・ヴィンチやラッファエッロの作品に見られる厳格な古典的リアリズムとは一線を画している。それが最も顕著なのは、ヴィーナスの首は現実にはあり得ないほど長く、左肩の傾きは解剖学的にあり得ない角度をしている点である。そういった描写はただ絵画において美を強調するためだけであり、後の様式であるマニエリスムに通じるものがある。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「ヴィーナスの誕生」の詳細全文を読む 英語版ウィキペディアに対照対訳語「 The Birth of Venus (Botticelli) 」があります。 スポンサード リンク
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