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ファルコン9 : ウィキペディア日本語版
ファルコン9

ファルコン9()はアメリカ合衆国の民間企業スペースX社により開発され、打ち上げられている2段式の商業用打ち上げロケット低周回軌道に10,450kg (v1.0)、13,150 kg (v1.1) の打ち上げ能力を持つ中型クラスのロケット。
2010年6月4日に初打ち上げが行われて成功した。
ファルコン9ロケットの名前は、スターウオーズのミレニアム・ファルコン号に由来しており、ファルコンロケットシリーズの後ろにつく1と9の数字は1段エンジンの数を表す。
== 設計 ==

ファルコン9は大型の貨物や有人宇宙船の打ち上げを想定して設計されており、 アメリカ航空宇宙局(NASA)の商業軌道輸送サービス(COTS)計画の下で開発したドラゴン補給機を使って国際宇宙ステーション(ISS)への補給を行う商業補給サービス(CRS)の契約をNASAから受注しており、その打上げロケットとしても使われる。
ファルコン9は同社が開発したファルコン1を基に機体を大型化し、液体酸素/RP-1を推進剤としたエンジンを使用する2段式のロケットである。第1段は海面高度での推力556 kN (125,000 lbf) で総離陸推力 5.0 MN (1.1 million lbf) のスペースX社のマーリン1Cロケットエンジンを9基クラスターして使用した。第1段の点火剤として自然発火性物質であるトリエチルアルミニウム-トリエチルボラン (TEA-TEB) を使用している〔
Mission Status Center, June 2, 2010, 1905 GMT , ''SpaceflightNow'', accessed 2010-06-02, Quotation: ''"The flanges will link the rocket with ground storage tanks containing liquid oxygen, kerosene fuel, helium, gaserous nitrogen and the first stage ignitor source called triethylaluminum-triethylborane, better known as TEA-TAB."''〕。
上段には真空中での運転の為にノズルの膨張比を117:1に高めて燃焼時間を345秒に改良した1基のマーリンバキュームロケットエンジンを使用。さらに再着火時の信頼性を高めるため、このエンジンには2重冗長構成の自己発火性を持つ点火器(TEA-TEBを使用)が備えられている〔。スペースX社では両方の段を回収して将来的には再利用したいと考えており〔 Musk ambition: SpaceX aim for fully reusable Falcon 9 , ''NASAspaceflight.com'', 2009-01-12, accessed 2010-06-03〕、実際にパラシュートを装着した飛行も行ったが、ファルコン9 v1.0では1度も成功しなかった。
ファルコン9の上段と下段を接続する段間構造は炭素繊維アルミニウムコア複合材を使用している。1,2段の分離は再利用可能な固定器具 (collet) をガス圧で押し出す作動するシステムを使用している。ファルコン9のタンク壁とドームはアルミニウム-リチウム合金製である。スペースX社は利用可能な溶接法としては最も信頼性が高く、強度も強い摩擦攪拌接合で全てのタンクを製造している。
ファルコン9の第2段のタンクは単純に第一段のタンクを短縮したもので大半は同じ工具や材料や製造技術を使用している。これにより、製造経費を削減している〔。
ファルコン9 v1.0 (Version 1.0) は5号機で終了し、6号機からはv1.1 (Version 1.1) と呼ばれる改良型に移行された。v1.1は、v1.0よりも全長が14m長く、エンジンはFalcon Heavyと同様に改良型のMerlin 1Dを使用。1段のエンジン配置も変更され、3列×3列の正方形の配置から、Octawebと呼ばれる円形の配置(外周に8基、中央に1基)に変更された(このため射点設備も改修された)ほか、フェアリングも直径約5mの新しいものが開発され、段間分離システムも一新されて接続箇所が12箇所から3箇所に減らされて信頼性が向上した。また1段の回収に備えて耐熱塗装が強化された。v1.1は、2013年9月29日に初打ち上げが行われた。2014年4月からは1段を回収するための4本の着陸脚の装備が開始された〔。
さらに20号機からは、ファルコン9 v1.1 フル・スラスト (Version 1.1 Full Thrust) と呼ばれる新しい機体が用いられている。フル・スラストでは、エンジン推力の向上や第2段の延長などが図られた結果、打ち上げ能力はさらに33%向上している。着陸脚やスラスターなど、着陸機構の改良も図られており、2015年12月の初打ち上げでは第一段切り離し後にメインエンジンを逆噴射させ、ケープカナベラル内のLZ-1着陸地点への軟着陸を成功させた〔。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
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