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ファンコーニ貧血(ファンコーニひんけつ、''Fanconi anemia''、FA) は遺伝子疾患のひとつであり、350,000人に1人の割合で生じるが、アシュケナージユダヤ人や南アフリカのアフリカーナーではより高い確率で発症する。〔Fanconi's Anemia Orphanet Encyclopedia, Ethel Moustacchi, October 2003〕 ファンコーニ貧血は、DNA修復に関与する一連のタンパク質に遺伝的な欠陥が生じたために起きる疾患である。そのため、ファンコーニ貧血の患者は大部分が癌(おもに急性骨髄性白血病)に罹患したり、90%が40歳までに骨髄の機能不全(血球細胞を作れない)を示したりする。ファンコーニ貧血の患者の60-75%が先天性疾患を有しており、その主なものには低身長、皮膚・腕・頭部・眼・腎臓・耳の異常所見、発達障害がある。また75%の患者には何らかの内分泌障害を有し、重篤度は患者により異なる。平均死亡年齢は2000年の時点で30歳であった。 アンドロゲンや造血細胞増殖因子を用いた治療法で骨髄機能不全を一時的に補うことができるが、長期治療は、もしドナーが見つかるならば造血幹細胞移植(骨髄移植)である。〔 DNA修復における遺伝的欠陥のため、ファンコーニ貧血の患者から採った細胞は、マイトマイシンCのようなDNA架橋結合による抗がん剤に対して敏感である。 ファンコーニ貧血の名称は、この疾患を初めて記述したスイスの小児科医グイドー・ファンコーニ (:en:Guido Fanconi)に由来する。同様にファンコーニの名から付けられた疾患に腎疾患のファンコーニ症候群があるが、こちらと混同してはならない。 ==遺伝的有病率== ファンコーニ貧血は基本的に常染色体劣性遺伝である。これはすなわち、2本の変異した対立遺伝子(両親からそれぞれ1本ずつ)が受け継がれることではじめて発症する疾患であるということである。この両親から生まれる子供にはファンコーニ貧血の危険性が25%の確率で存在する。ファンコーニ貧血のおよそ2%はX連鎖性劣性遺伝であるが、これはもし母親が変異したファンコーニ貧血の対立遺伝子を保有していれば、50%の確率で男児にファンコーニ貧血が生じる可能性があるというものである。 学者たちはこれまでに16種類のファンコーニ貧血遺伝子ないしファンコーニ貧血類似の遺伝子を同定している。これらはFANCA, FANCB, FANCC, FANCD1 (BRCA2), FANCD2, FANCE, FANCF, FANCG, FANCI, FANCJ, FANCL, FANCM, FANCN, FANCP, RAD51CおよびXPFである。このうちFANCBはX染色体上にあり、ほかの遺伝子は常染色体上にある。 現時点では、全世界でおよそ1000人の患者がこの疾患に罹患している。アシュケナージユダヤ人における保因者の割合はおよそ90人にひとりである。ファンコーニ貧血の保因者でありうる家系に対しては、遺伝カウンセリングや遺伝学的スクリーニングも推奨される。 白血球、赤血球、血小板といった血液細胞成分を産生する機能が不全であるため、患者の身体の免疫系機能、酸素運搬機能、凝固・線溶系機能はすべて減弱している。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「ファンコーニ貧血」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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