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フェラーリ・456 (Ferrari 456)はイタリアの自動車メーカーであるフェラーリが1992年から2003年にかけて生産したFR、V型12気筒エンジン搭載の2+2座席モデルのグランツーリスモである。名称は1気筒当たりの排気量が456ccであることに由来する。気筒毎の排気量を名称とするフェラーリ伝統の命名法を用いたモデルである。 == 概要 == 新世代フェラーリの尖兵として、エンジン、シャーシ、パワートレーンともに新規開発されており、後に登場した2座GTである550マラネロの設計の礎ともなった。グレードは当初は6速MT仕様のGTのみが設定されていたが、1996年に4速AT仕様のGTAが追加された。 1998年にはマイナーチェンジが行なわれ内外装が変更され、名称が456M〔"M"はイタリア語で改良を意味するmodificato(英語ではmodification)を表す。〕と改められた。456MでもGTとGTAの2仕様が継続された。 2003年までに左ハンドルと右ハンドル合わせて約3,289台が生産され、その内訳は456GT: 1548台、456GTA: 403台、456M GT: 688台、456M GTA: 650台である。 ;スタイリング デザインを担当したのはピニンファリーナ。ディレクションはロレンツォ・ラマチョッティ。デザイナーはピエロ・カルマデッラ。プロトタイプでは先代の412の流れをくむ比較的角ばったデザインが予定されていたが、他社製クーペとの類似を指摘され〔4ドアコンセプトカー「フェラーリ・ピニン」を2ドア化した試作車はBMW製クーペにソックリだったという(カーグラフィック2012年10月号)。開発時期を考慮すると8シリーズが該当する。〕、365GTB/4(通称デイトナ)を範とするデザインに変更された。 テスタロッサ、ミトスなどで試みられた二つの塊が入り組むデザインを採用し、車体後部アンダーフロアに速度感応式ウィングを装備している。 後期型の456Mのデザインは奥山清行が手がけている。ボンネットの稜線の間隔をリトラクタブルライトに掛かる位置まで狭め、バンパーのセンターを尖らせることにより、ノーズを長く見せる処理がなされ、バンパーの口の部分が横長の大口となった。これらは、次期車両である612が大幅なロングノーズとなることを踏まえ、456と612のデザインの連続性を意識したデザインとなる。また、リアバンパー下部に装備されていた可変ウィングはバンパー一体型の固定式となった。ボンネットがカーボン製に変更されヘッドライト後部のエアダクトが廃されたこともあり、456よりも丸みを帯びた印象を与える。なお、生産中止時点ではリトラクタブル・ヘッドライトを採用する唯一のフェラーリだった。 ;インテリア コノリー製のレザーをふんだんに使った内装はGTの名前にふさわしい豪華なものであり、ほとんど1970年代初頭の設計そのままだった412よりも近代的で垢抜けた印象を受ける。ステアリングと助手席のダッシュボードにはそれぞれエアバッグも装備され、安全性も一層強化された。456では同時期の348やF355に通じる角張った印象を与える内装だったが、456Mでは空調の吹き出し口が丸いものに変更され、550マラネロや、その後の360モデナに共通した丸みを帯びた意匠に改められている。樹脂部品は塗装が経年で痛む例が多いが、これはフェラーリに限らず同時期の欧州車では多く見られた現象である。なお、2000年代初頭にコノリーが自動車用の皮革事業から撤退したために、456はコノリー製の内装を持つ最後の4座フェラーリとなった。456Mの内装はポルトローナフラウ社の皮革を使用。 ;エンジン 完全に新規に開発されたF116型V型12気筒エンジンを搭載する。排気量は5,473ccで442仏馬力/6,200rpm、56kgm/4,500rpmと、先代の412のスペックを大きく上回るのはもちろん、登場時はミドシップの512TRをも凌ぐフェラーリ最高性能モデルとなった。このエンジンは後に550マラネロや575M、後継となる612に搭載されたF130型エンジンの設計の元になった。ただし旧世代のエンジンゆえにタイミング・チェーンを採用していた412に対して、このエンジンはタイミング・ベルトを採用しており、ベルトやテンショナーの定期的な交換が必要であるが、一部のフェラーリのような大掛かりなエンジンの積み下ろしなどは必要なく整備性には配慮されている。フェラーリが発表する最高速度は当時の他のフェラーリの車種と同じ302km/h(GTAでは298km/h)であった。 ;駆動系 登場当初は6速MTのみが設定された。オイルクーラーとLSD装備も装備されていた。456Mではトラクション・コントロール(ASR)も追加されている。またトランスミッションを車体後軸側に配置するトランスアクスル レイアウトを採用し、前後重量配分の最適化(51:49)が図られていた。1996年にはイギリスのリカルドとフェラーリの共同開発によるトルコン式4速ATを搭載した456GTAが登場する。先代の412で採用されていたGM製3速ATよりも1速増えて進化した変速機ではあったが、同時期よりフェラーリはF1システムの開発に傾倒していき、後継の612においてもそれが採用されたため、この新型変速機は実質456専用設計となり、412のGM製に対して汎用部品に乏しく、修理の際にメーカーからアッセンブル供給を受けた場合は費用が高額になりがちなことが欠点として指摘されることがある。 ;シャーシ 角断面鋼材によるパイプフレームである。同時期の348系シャーシが鋼板セミモノコックを採用したためモノコックと表記されている例があるが、これは誤りである。 456Mでは各部にパイプが追加改修されている。 ;ボディ ボンネットはハニカムのコンポジットで、456Mではカーボン製に変更された。前後バンパーはハニカムFRP、ボディはアルミニウム製で、スチールパイプフレームと中間材フェランにより溶接されていた。ドアはスチールで、先代の412と異なりサッシュレスで流麗な印象を与えるが、窓が閉まりきらず、車体の間に隙間ができる不具合が発生することがある。 ;ブレーキ 独ATE製で4輪とも4ポッドのベンチレーテッドディスクタイプを採用し、412に引き続きABSも標準搭載された。倍力装置は電動油圧式である。456GTA以降はキャリパーのみブレンボ製となる。 ;その他 456のボディ形状はクーペのみだったが、アフターマーケットでオープンボディやタルガトップに改造された例があるほか、特注でピニンファリーナが設計・製造したセダン、ステーションワゴンのベニス、そしてオープンボディのスパイダーも存在する。このような特別仕様が製造されたり改造されたりすることは高価格なGTカーではメーカーを問わず珍しいことではないが、456のピニンファリーナ製のものは最初から設計し直されているために極めてデザインの完成度が高く、特にスパイダーはテールランプとその周囲の車体形状が大きく変更されているために、クーペから改造されたオープンモデルとは一線を画す。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「フェラーリ・456」の詳細全文を読む 英語版ウィキペディアに対照対訳語「 Ferrari 456 」があります。 スポンサード リンク
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