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フタル酸(フタルさん、Phthalic acid)は示性式 C6H4(COOH)2、分子量 166.14 のベンゼンジカルボン酸である。 狭義にはオルト体をフタル酸と呼ぶが、他異性体を含めたベンゼンジカルボン酸の総称もまたフタル酸(類)と呼称される。メタ体はイソフタル酸、パラ体はテレフタル酸とも呼ばれる。 遊離酸型のフタル酸類は一般的に、昇華性を有する無色固体で水にも有機溶媒にも溶けにくく、極性の高い有機溶媒に溶けやすいといった性質を示す。 フタル酸類は合成樹脂のモノマーとして利用されたり、特にエステル体の一部は、熱可塑性樹脂の可塑剤として30%~70%w/wほど添加される。 == フタル酸類の製造法 == フタル酸類は側鎖を持つシ置換ベンゼン誘導体を酸化することで製造される。アルキルベンゼンの酸化は強い酸化剤が必要で、通常この種の条件では、原料の種類を問わずアルキルベンゼンのα位(ベンジル位)が酸化されたベンゼンジカルボン酸が生成される。実験室ではアルカリ性水溶液下で過マンガン酸カリウムなどの強酸化剤が使用されるが、工業的には五酸化バナジウムなどの担体保持された触媒による空気酸化が利用される。工業的エステル化は主に過剰な原料アルコールの一部を共沸脱水に利用する方法で製造される。 フタル酸類およびフタル酸類エステル体の工業的製造法には次のものがある。 * フタル酸製造法(図の経路1~3~4、経路2~3~4) :フタル酸(''o''-体)の工業的製造法の原料は、古くは石炭化学の副産物であるナフタレン(1)が利用されたが、1960年代を境に、今日では石油化学の副産物である''o''-キシレン(2)が原料として利用される。触媒空気酸化(BASF法)によるフタル酸合成(''o''-体)の場合はフタル酸無水物(3)が生成される。遊離酸が必要な場合は、加水分解してフタル酸(4)とするが、誘導体原料としてはフタル酸無水物(3)がそのまま利用される。 * フタル酸エステル製造法(図の経路3~6) :フタル酸無水物(3)と目的物に該当するアルコールを反応させると、一旦ハーフエステル体(モノエステル体)(5)が得られる。さらに原料アルコールを加熱還流し、水を共沸により反応系外へ除去することでジエステル体(6)が得られる。 * イソフタル酸製造法(図の経路7~8) :イソフタル酸(8)はもっぱら、m-キシレン(7)を原料とし、テレフタル酸と同様な触媒空気酸化(Amoco法等)により製造される。 * イソフタル酸エステル製造法(図の経路8~9) :イソフタル酸(8)と目的物に該当するアルコールとを共沸脱水することで目的のジエステル体(9)が得られる。 * テレフタル酸製造法 :テレフタル酸(12)の製造法としては、p-キシレン(10)を原料とするAmoco法、フタル酸ジカリウム塩(16)を原料とする第一Henkel法、二分子の安息香酸カリウム塩を原料とする第一Henkel法、p-キシレン(10)をアンモ酸化したフタロニトリル(18)をアルカリ加水分解する方法などが知られている。 : *Amoco法(図の経路10~15) ::Mn塩あるいはCo塩を利用する液相空気酸化でp-キシレン(10)を空気酸化する場合は、一段階目の''p''-トルイル酸(11)で酸化反応が停止する欠点がある。これを反応系内にメタノール等を共存させ、生成される11を系中でエステル体(13)として、二段階目の酸化反応とエステル化反応を経てジメチルテレフタレート(Dimethyl terephtalate, 15)を介してテレフタル酸(12)を製造する。この方法の利点は遊離酸もジエステル体もポリエチレンテレフタレート(ポリエステル)の原料モノマーであることと、テレフタル酸(12)が高沸点、難溶化合物であり、合成繊維向けグレードの高純度製品に精製が困難である欠点を、精製が容易なジエステル体段階で精製することで回避できる点である。 : *第一Henkel法(図の経路16~12) ::フタル酸ジカリウム塩16をZn-Cd触媒で転位反応させテレフタル酸(12)へと異性化する方法が知られている。この方法は開発したHenkel社にちなんで第一Henkel法とも呼ばれる。コスト面でAmoco法に対して不利であることから今日では利用されない。 : *第二Henkel法(図の経路17~12) ::第一Henkel法のZn-Cd触媒は安息香酸カリウム塩(17)の分子間転移反応にも適用できる為、第二Henkel法と呼ばれる。すなわち、安息香酸カリウム塩は触媒による不均化反応で、テレフタル酸(12)とベンゼンとに変換される。第一Henkel法同様、今日では利用されない。 : *アンモ酸化法(図の経路10~18~12) ::p-キシレン(10)を五酸化バナジウム触媒でアンモ酸化してフタロニトリル(18)とし、これを加水分解してテレフタル酸(12)とする方法が、Lummus社により開発され、Lummus法とも呼ばれる。この方法は、不純物として含まれる微量の窒素成分がポリエステル繊維の着色を引き起こす難があるので、テレフタル酸の精製に工夫が必要である。 * テレフタル酸エステル製造法(図の経路12~15) :Amoco法ではジメチルフタレートが中間体として得られるが、他の方法で製造したテレフタル酸(12)や違う種類のエステルは、該当するアルコールと共沸脱水することでジエステル体(15)が得られる。'p''-トルイル酸(11)で酸化反応が停止する欠点がある。これを反応系内にメタノール等を共存させ、生成される11を系中でエステル体(13)として、二段階目の酸化反応とエステル化反応を経てジメチルテレフタレート(Dimethyl terephtalate, 15)を介してテレフタル酸(12)を製造する。この方法の利点は遊離酸もジエステル体もポリエチレンテレフタレート(ポリエステル)の原料モノマーであることと、テレフタル酸(12)が高沸点、難溶化合物であり、合成繊維向けグレードの高純度製品に精製が困難である欠点を、精製が容易なジエステル体段階で精製することで回避できる点である。 : *第一Henkel法(図の経路16~12) ::フタル酸ジカリウム塩16をZn-Cd触媒で転位反応させテレフタル酸(12)へと異性化する方法が知られている。この方法は開発したHenkel社にちなんで第一Henkel法とも呼ばれる。コスト面でAmoco法に対して不利であることから今日では利用されない。 : *第二Henkel法(図の経路17~12) ::第一Henkel法のZn-Cd触媒は安息香酸カリウム塩(17)の分子間転移反応にも適用できる為、第二Henkel法と呼ばれる。すなわち、安息香酸カリウム塩は触媒による不均化反応で、テレフタル酸(12)とベンゼンとに変換される。第一Henkel法同様、今日では利用されない。 : *アンモ酸化法(図の経路10~18~12) ::p-キシレン(10)を五酸化バナジウム触媒でアンモ酸化してフタロニトリル(18)とし、これを加水分解してテレフタル酸(12)とする方法が、Lummus社により開発され、Lummus法とも呼ばれる。この方法は、不純物として含まれる微量の窒素成分がポリエステル繊維の着色を引き起こす難があるので、テレフタル酸の精製に工夫が必要である。 * テレフタル酸エステル製造法(図の経路12~15) :Amoco法ではジメチルフタレートが中間体として得られるが、他の方法で製造したテレフタル酸(12)や違う種類のエステルは、該当するアルコールと共沸脱水することでジエステル体(15)が得られる。 15)が得られる。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「フタル酸」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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