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地球フライバイ・アノマリー(ちきゅうフライバイ・アノマリー、Earth flyby anomaly)または地球フライバイ異常(ちきゅうフライバイいじょう)は、太陽を巡る人工天体が地球のそばを通過(フライバイ)して軌道を変更するとき、その速度が理論予測と有意に食い違う原因不明の現象をいう。 1990年以降、いくつかの太陽系探査機において観察されている。 単にフライバイ・アノマリー、フライバイ異常とも表される。 パイオニア10号・11号探査機の予測外の減速であるパイオニア・アノマリーとともに現在のところ原因不明の現象であり、それらが関連した未知の現象である可能性から、単なるソフトウェアの誤りである可能性までその原因について議論をよんでいる。 ==現象の認識== 惑星間に飛び出した太陽系探査機などの人工天体にとってスイングバイ(重力アシスト)、すなわち惑星など自分よりはるかに大きな質量を持つ天体に接近しエネルギーを受け取る(もしくは与える)ことで軌道変更を行う方法は、欠くことのできない重要なものである。 望ましい軌道変更のためには、スイングバイを行う探査機がその惑星のそばへと正確に接近する必要があり、そのため接近前後の探査機の位置と速度は地上から継続的に追跡されている。 探査機速度の視線方向成分を知るためには、探査機からの電波のドップラー偏移が測定される。 計算値と一致しないアノマリーはこのドップラー偏移で最初に見出された。 最初のアノマリーは、木星への入り組んだ長い旅の過程にあったNASAのガリレオ探査機が1990年12月に地球でのスイングバイを初めて試みた後に認められた。 このスイングバイはほぼ成功したものの、記録されたドップラー・データを詳細に分析すると、接近後、観測値と計算値との間にわずかな食い違いがあることが判明した。 この食い違いは地球から十分離れたときの探査機の速度に換算すれば 3.92 mm/s だけの余分な増大を意味していた〔 (arXiv: astro-ph/0608087 )〕。 エネルギーにしてこれは100万分の1程度の小さなズレであったが、誤差は十分小さいと見積もられたため、このズレに関しジェット推進研究所 (JPL) などで調査が行われた。 しかし満足な説明を与えるような原因は見出されなかった。 2年後の1992年12月にガリレオ探査機は2度目の地球によるスイングバイを行った。 しかし、このときには高度およそ 300 km という低い軌道での接近であったため、上層大気での抵抗による減速で覆い隠され当初こうしたアノマリーは明確に認められなかった。 ところがその後、小惑星の探査を目指した NEAR が1998年に行った地球スイングバイで 13.46 mm/s の大きな増大が観測され、このとき以来、地球フライバイ・アノマリーは現実の問題としてクローズアップされることになった〔〔。 さらに、欧州宇宙機関の彗星探査機ロゼッタの2005年3月のスイングバイでも 1.8 mm/s 程度の増大が見られたことが報告された。 説明のつかない食い違いはドップラー・データと同様に、探査機との電波の送受信の時間を精密に測定するレンジング・データでも認められ、何らかの見かけ上の誤りではない可能性が高まった。 一方で、1999年の土星探査機カッシーニによる地球スイングバイでは、接近時に行われたスラスター噴射の影響もありこの現象ははっきりせず、2001年の彗星探査機スターダストにおいても同様であった。 さらに2005年8月の水星探査機メッセンジャーの分析からはこうした有意な速度のズレはまったく認められなかった〔。 また、2007年11月と2009年11月のロゼッタによる地球スイングバイでも有意なズレは観測されなかった〔。 なお2006年現在、日本のはやぶさ等に関しての分析は報告されていない〔 (arXiv: gr-qc/0604052 )〕。 現在のところこうした食い違いが見つかっているのは地球に対するスイングバイにおいてのみである。 他の惑星や衛星で同様のことが起こっているかどうかは、観測精度やモデルの精度の問題があり明らかではない〔。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「地球フライバイ・アノマリー」の詳細全文を読む 英語版ウィキペディアに対照対訳語「 Flyby anomaly 」があります。 スポンサード リンク
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