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フランス風序曲(またはフランス式序曲)とは、バロック音楽で幅広く用いられた楽曲形式(演奏形態としての「序曲」に留まらない、普遍的な作曲技法としての形式)を指す。 == 歴史 == 17世紀のフランスのバレエやオペラの開始に用いられた形式で、ルイ14世の宮廷に仕えた作曲家ジャン=バティスト・リュリによって、荘重な付点リズムによる開始部分と、それに続く速いフーガ風の部分という対照的な2部分による構成が確立された。この形式はその後コンセールのような管弦楽曲の冒頭にも用いられるようになった〔フランソワ・クープラン『新しいコンセール』第4番「劇場風のコンセール」など〕。 この形式はドイツなどにも伝播し、組曲の冒頭に、前奏曲がわりにフランス風序曲形式を取り入れた楽曲が流行した。チェンバロやオルガンなどの器楽曲〔J.S.バッハは、独奏用の作品にもフランス風序曲の形式を用いており、チェンバロのためのフランス様式による序曲やパルティータ、オルガンのための前奏曲 変ホ長調「聖アン」BWV 532-1(いずれも『クラヴィーア練習曲集』に含まれる)のほか、無伴奏チェロ組曲#第5番ハ短調 BWV1011(もしくは同曲を移調編曲した無伴奏リュート組曲 第3番BWV995)といった作品がある。またゴルトベルク変奏曲の後半部分の開始に小規模なフランス風序曲を用いている。〕、オラトリオ〔ヘンデルのオラトリオ『メサイア』冒頭シンフォニアなど〕・カンタータ〔J.S.バッハのカンタータ第110番、第119番の冒頭曲は、典型的なフランス風序曲形式を取り、ヴィヴァーチェ部分に合唱が加えられている。〕等の声楽曲(前奏として、また声楽曲そのものとして)などにも広くこの形式が用いられた。 当時はOuverture"「序曲」といえばすなわちこのフランス風序曲の形式を指し、イタリア風序曲形式または自由な形式による「前奏曲」(プレリュードやシンフォニアなどと呼ばれるもの)とは峻別されていた。ただし、オラトリオのような宗教的な作例においては、明らかにフランス風序曲形式を取りながら「シンフォニア」と称している場合もある。いかにもフランス風宮廷世俗音楽を連想する語感を持つ “Ouverture” の呼称を避けて、イタリア教会音楽の慣習に従ったものと思われる〔前掲・ヘンデル『メサイア』の冒頭シンフォニアが好例〕。フランス風序曲を持つ組曲全体を"Ouverture"と呼ぶこともある(J.S.バッハの管弦楽組曲やフランス風序曲〈チェンバロ独奏曲〉など)。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「フランス風序曲」の詳細全文を読む 英語版ウィキペディアに対照対訳語「 French overture 」があります。 スポンサード リンク
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