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『ブヴァールとペキュシェ』(仏:Bouvart et Pécuchet)は、ギュスターヴ・フロベールの長編小説。思いがけず金利生活者となった初老の二人組ブヴァールとペキュシェを通してブルジョワ的な愚劣さ・俗物精神を諷した作品である。隠遁生活を送る二人組は興味の赴くまま実業や科学、文学、政治、宗教と次々に乗り出すが、中途半端な知識と浅慮によって滑稽な失敗ばかり犯してしまう。フロベールの最後の作品であるがその死によって未完に終り、死の翌1881年に遺作として刊行された。 == あらすじ == 長身で男前のブヴァール、短躯で純情なペキュシェは、どちらも47歳になる独身の写字生である。二人はパリのブールドン通りのベンチで偶然知り合い、互いの境遇や趣味・考え方がよく似ていることに感動、すぐに意気投合して無二の親友となる。どちらも類稀な知的好奇心を持ちながらも、生活のために思うに任せないことを嘆き合っていたが、ある日ブヴァールの伯父が死んだことにより多額の遺産が入り込む。喜んだブヴァールはペキュシェを誘って手ごろな土地を探し、結局カルヴァドス県シャビニョールの田舎に移り住んで気ままな隠遁生活を始める。 彼らはまず農業に着手し耕作、園芸、果樹栽培に乗り出すが、書物を研究しながら試みた工夫がどれも裏目に出て大きな損害を被る。自分たちに科学的知識が欠けていることを痛感した二人は科学の勉強をはじめ、その過程で医学に興味を示し、自前の治療法・健康法を開発して近所の人々に施すものの、患者や医者と衝突する結果となる。神経質な健康法に飽き飽きすると今度は星空から自然の雄大さに思いを馳せ、自然科学への興味から化石の発掘、考古学への興味から骨董品の蒐集をする。そして骨董品の取引の失敗から歴史学に移り伝記の執筆を計画、しかし外面的な事実の詮索に飽き足らなくなり文学へと興味を移す。 そうするうちに1848年となり二月革命が起きる。政変の波はシャビニョールにも押し寄せ、二人は政治問題に首をつっこみ代議士になろうと考えたり、政治哲学の書物を渉猟したりする。しかしほどなく保守反動が起きると時勢におもねる周囲の人間と社会にすっかり幻滅してしまう。物事に対する意欲を失くした上、互いに嫌気が差してきて友情の薄れた二人は次第に色恋にうつつを抜かし始める。童貞だったペキュシェは女中との関係に夢中になり、ブヴァールは未亡人に首っ丈になるが、結果ペキュシェは梅毒をうつされたのみ、ブヴァールのほうも結婚寸前で相手の狙いが土地だったことを知り破談となる。 恋愛に失敗した二人は友情を復活させ、まず体操に凝り、続いて降霊会に誘われたことから神秘学に没頭、磁気催眠術に凝り始める。やがて精神や物質といった概念に突き当たった二人は哲学を研究、ブヴァールは唯物論者に、ペキュシェは唯心論者となって周囲に自説を吹聴して回り、次第に懐疑の深遠に落ち込んでしまう。二人は自殺の観念に取り付かれてその準備を始める。と、気まぐれに立ち寄った教会で深夜のミサの光景に心を奪われ、一転して熱心なキリスト教者となる。 信心ぶりによって周囲からの社会的信頼も取り戻しつつあった二人だったが、やはり持ち前の好奇心が災いして教義の矛盾点が気になり始め、神学書を研究し神父と言い争いになる。そんな中で彼らは二人の男女の孤児を引き取ることになり、教育書を紐解きながら彼らにまともな知識を植え付けようとする。しかし気ままに育ってきた二人は勉強を受け付けず、男のほうは乱暴さがなおらないし、女のほうは二人の前で不貞を曝す。そしてとうとう裁判によって孤児は取り上げられることになる。こうしてあらゆるものから裏切られ幻滅した二人が最後に抱いた希望は、結局のところ昔ながらの写字生に戻ることだった。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「ブヴァールとペキュシェ」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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