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ヘーパイストス()は、ギリシア神話に登場する神である。古くは雷と火山の神であったと思われるが、後に炎と鍛冶の神とされた。オリュンポス十二神の一柱。神話ではキュクロープスらを従え、自分の工房で様々な武器や道具、宝を作っているという。その象徴は円錐形の帽子、武具、金床、金鎚、矢床である〔フェリックス・ギラン『ギリシア神話』。〕。 その名前の語源は「炉」・「燃やす」という意味のギリシア語に由来するといわれているが、インド神話の火の神・ヤヴィシュタに由来するともいわれる。古くから小アジア及びレームノス島、シチリア島における火山帯で崇拝された神といわれる。 ローマ神話ではウゥルカーヌス(Vulcānus)に相当する。あるいは、ローマ神話名を英語読みしたヴァルカン(Vulcan)や、日本語では長母音を省略してヘパイストスやヘファイストスとも呼ばれる。 == 概説 == ゼウスとヘーラーの息子で第1子。ゼウスは前妻であるテミスとの間にホーライ3姉妹やモイライ3姉妹などをもうけた。ゼウスが前妻との間に立派な子を儲けていたことに焦ったヘーラーが、正妻としての名誉を挽回するべく産んだ子供であるとされる。ところが、生まれたヘーパイストスは両足の曲がった醜い奇形児であった。これに怒ったヘーラーは、生まれたばかりのわが子を天から海に投げ落とした。その後、ヘーパイストスは海の女神テティスとエウリュノメーに拾われ、9年の間育てられた後、天に帰ったという〔『イーリアス』18巻。〕。ヘーパイストスはその礼として、テティスとエウリュノメーに自作の宝石を送っている。あるいはヘーラクレースが乗る船を嵐で目的地よりかなり離れたコス島に漂流させて彼を妨害した為、ゼウスから罰せられそうになったヘーラーをかばおうとしたためにゼウスに地上へ投げ落され、1日かかってレームノス島に落ち、シンティエス人に助けられたといわれており、この時に足が不自由になったとされる〔『イーリアス』1巻。アポロドーロス、1巻3・5。〕。 神々の武具を作ることで有名なヘーパイストスだが、自ら戦うこともあり、『イーリアス』ではヘーラーに命じられてアキレウスを襲う河の神と対決し、決して弱まらぬ炎を放って巨大な河そのものを瞬時に沸騰・蒸発させ、河の神スカマンドロスを屈服させている〔『イーリアス』21巻。〕。ゼウスがアテーナーを産んだ時、ゼウスが痛みに耐えかねてヘーパイストスに命じて斧(ラブリュス)で頭を叩き割ったことでも有名である〔アポロドーロス、1巻3・6。ピンダロス『オリンピア祝勝歌』第7歌35〜37。ルキアーノス『神々の対話』。〕。 一般にはゼウスとヘーラーの息子とされるが、ヘーラーが1人で生んだという伝承もある〔アポロドーロス、1巻3・5。〕。それによればヘーラーはゼウスと対立し、ゼウスと交わらずに1人で生んだという〔ヘーシオドス『神統記』927〜928。〕。またゼウスは男性ながら、美貌と才気を兼ね備えた女神アテーナーを出産したが、ヘーラーの生んだヘーパイストスは醜い子供だったので、これにより正妻としての面目を失ったヘーラーは、対抗してティーターンの力を借り、自分も1人で子テューポーンをもうけたという〔『ホメーロス風讃歌』第3歌(「アポローン讃歌」)。〕。 なお、ヘーラーが一人で生んだのはアレースとする伝承もある。詳しくはフローラを参照。 ヘーパイストスの妻はアプロディーテーとも〔『オデュッセイア』8巻ほか〕、カリスの〔『イーリアス』18巻。〕アグライアーともいわれる〔ヘーシオドス『神統記』945〜946。〕。一説には天上の妻はアプロディーテーであり、地上の妻はカリスであるという〔ルキアーノス『神々の対話』。〕。 ヘーパイストスの子供にはアテーナイの王エリクトニオス〔アポロドーロス、3巻14・6。ヒュギーヌス、166ほか。〕、テーセウスに退治されたペリペーテース〔アポロドーロス、3巻16・1。パウサニアス、2巻1・4。〕、アルゴナウタイの1人であるパライモーンなどがいる〔アポロドーロス、1巻9・16。〕。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「ヘーパイストス」の詳細全文を読む 英語版ウィキペディアに対照対訳語「 Hephaestus 」があります。 スポンサード リンク
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