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ヘーレム : ミニ英和和英辞書
ヘーレム[ちょうおん]
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〔語彙分解〕的な部分一致の検索結果は以下の通りです。

: [ちょうおん]
 (n) long vowel mark (usually only used in katakana)

ヘーレム : ウィキペディア日本語版
ヘーレム[ちょうおん]

ヘーレムヘブライ語:חֵרֶם)とは、ח-ר-ם (IPA : χʁ-m)という語根から派生した名詞である。現代ヘブライ語では「破門;追放;没収;禁制」などを意味している〔Babylon Free Online Dictionary 〕〔Webster's Online Dictionary 〕。ヘーレムを用いた熟語には「ヘーレム・カルカリー」(経済制裁)、「ヘーレム・ツァルハニーム」(ボイコット)、「ヘーレム・メディニー」(国交断絶)などがある。しかし、聖書ヘブライ語(古代ヘブライ語)の時代においてはその語義に変遷があったとされており、現在ではおおむね下記のごとく3種類に分類されている〔ケレン・アビ・ハイ 「לקסיקון לתרבות ישראל」(イスラエル文化レキシコン) の חרם (ヘーレム)の項 より。〕〔ミクラー・ゲシェル 「אנציקלופדיה」(エンサイクロペディア) の חרם (ヘーレム)の項 より。〕。
#神や祭司のために人や家畜や財産を聖別すること。(奉納物)
#戦争時における異民族の虐殺、および破壊行為。(宗教的迫害)
#ある人物を共同体から排斥し、公共社会と接触しないよう遠ざけること。(懲罰)
以上は歴史に準じた序列である。本項ではミシュナータルムードの記述に基づいたユダヤ教における懲罰(3)である「破門」を中心に解説し、奉納物(1)についても「祭司のヘーレム(ハラミーム)」にて触れておく。宗教的迫害(2)についての詳細は「聖絶」を参照のこと。また、ヘーレムのギリシア語訳であるアナテマについても当該記事を参照のこと。

==語義==

ヘーレムの語根である ח-ר-ם (ヘット・レーシュ・メム)の意味は「引き離す;隔離する」〔Strong's Concordance with Hebrew and Greek Lexicon 2763 〕「接触を禁じる;聖別される」「別にしておく;俗用に供することを禁じる」〔三省堂 『聖書思想辞典』(1973年)のアナテマの項(p.25)より。〕とされている。ラムバム(モーシェ・ベン・マイモーン)はその根本的な意味を「あるものをある状態から別の状態に移すこと」と解説している〔『רמב"ם לעם』(ラムバム・ラ・アム) ハラハー・アラヒーン・ヴァ・ハラミーン 6:2の注釈。〕。タナハヘブライ語聖書)には同語根から派生したと見られる動詞が52箇所、名詞が74箇所で確認でき、うち חֵרֶם (ヘーレム)が39箇所〔Strong's Concordance with Hebrew and Greek Lexicon 2764a 〕、חָרִם (ハリム)という人名が11箇所〔Strong's Concordance with Hebrew and Greek Lexicon 2766 〕、חֳרֵם (ホレム)という地名が1箇所〔Strong's Concordance with Hebrew and Greek Lexicon 2765 〕、חָרְמָה (ホルマー)という地名が9箇所〔Strong's Concordance with Hebrew and Greek Lexicon 2767 〕、ヘルモン山で知られる חֶרְמוֹן (ヘルモン)が13箇所〔Strong's Concordance with Hebrew and Greek Lexicon 2768 〕、חֶרְמוֹנִים (ヘルモン人)が1箇所〔Strong's Concordance with Hebrew and Greek Lexicon 2769 〕となっている〔ドイツ聖書協会 『ビブリア・ヘブライカ・シュトゥットガルテンシア』(BHS)における算出。〕。なお本項では便宜上、語根 ח-ר-ם から派生した動詞もヘーレムとする〔タナフに書かれた動詞の主なものに、使役の能動態の הֶחֱרִים (ヘヘリーム)と使役の受動態の הָחֳרַם (ホホラム)がある。〕。
モアブの王メシャによって紀元前850年頃に作成されたメシャ碑文においても、モアブ語による動詞のヘーレム(フェニキア文字)を確認することができる(以下はヘブライ語訳からの重訳)。


最初期のタルグムのひとつで1世紀から2世紀の翻訳とされるアラム語訳聖書『タルグム・オンケロス』(モーセ五書)〔Mikraot Gedolot HaKeter (Bar Ilan University Press, 1992-)〕では、名詞のヘーレムにはヘブライ語と同じ חרם (ヘーレム)があてられ、動詞のヘーレムにはおおむね גמר (滅ぼす;破壊する;終了する;完遂する)があてられている。その他には『出エジプト記』22:19の קטל (殺す)がある。より後代の翻訳とされる同じくアラム語訳の『タルグム・エルサレム(偽ヨナタン)』〔Targum Pseudo-Jonathan to the Pentateuch: Text and Concordance (Ktav, 1984)〕では、『タルグム・オンケロス』とは違い名詞には חרם (ヘーレム)ではなく אפרשה (割り当てられたもの)があてられている箇所が多く、他には『民数記』18:14の מגמר (完成したもの;完全なもの)や『申命記』13:18の שמת (禁止されたもの;破門されたもの)がある。動詞でも פרש (割り当てる;分離する)と訳出されている箇所がある。モーセ五書以外では、ヘーレムの代わりに『ヨシュア記』11:11の גמירה (破壊)、『列王記上』20:42の קטל (殺害)、『イザヤ書』11:15の יבש (枯渇させる;消滅させる)、『イザヤ書』34:2の חוב (罰する;制圧する)といった比較的意味の明瞭な単語に置き換えられているケースが多い。
こういった訳出や使用例があることからタナハにおけるヘーレムは、おそらく「完全な破壊」という意味で用いられていたと考えられており、一方では「世俗的なものを隔絶して聖なるものに上げる」を意味していたとされる。ラシュバム(シュムエル・ベン・メイール)〔シュムエル・ベン・メイール(1080年1160年頃):フランスラビ。タナハの注釈家。ラシの孫にあたる。〕は自身によるミドラシュ(タナハ注釈)の「セフェル・シェモット」(出エジプト記)22:19にて「יחרם (ヘーレムされる)とは、殺されることである。」〔シュムエル・ベン・メイール 『פרשנות המקרא』(ミクラー注釈) セフェル・シェモット 22:19 〕と述べる一方、「セフェル・バミドバル」(民数記)21:2では「החרמתי (ヘーレムする)とは、動産や家財を神のために聖別することである」〔シュムエル・ベン・メイール 『פרשנות המקרא』 セフェル・バミドバル 21:2 〕と解説している。


同じセム語派言語のアムハラ語には ח-ר-ם と同義とされる語根 እ-ር-ም (IPA : ʔ-ʁ-m)があり、アムハラ語訳のオクタテューク〔ペンタテューク(モーセ5書)に『ヨシュア記』『士師記』『ルツ記』を加えた8巻のこと。〕である『オリット』においても名詞の חרם の箇所に እርም があてられているのを多数確認できる〔Dillmann, Augustus (ed.). Veteris Testamenti Aethiopici Tomus Primus, sive Octateuchus Aethiopicus, 3 fasc., Leipzig, 1853–1855. 〕。また、紀元前3世紀代にヘブライ語かアラム語の底本から翻訳されたと推定され、現在でもエチオピア正教において聖典とされている『エノク書』には、ヘルモン山の命名にまつわる下記のような記述が残されている(以下はヘブライ語訳からの重訳)。

タンフマ・バル・アバ〔タンフマ・バル・アバ:エルサレムのアモライームの第5世代(340年380年頃)に属するラビ。〕はそのミドラシュにおいて、アキバ・ベン・ヨセフ(ラビ・アキバ)による「ヘーレムとは誓いのことであり、誓いとはヘーレムのことである」という言葉を紹介している〔タンフマ・バル・アバ 『מדרש תנחומא』(ミドラシュ・タンフマ) パラシャット・ヴァ・イェシェブ 38(37:2) 〕。これはヘルモン山の命名にまつわる『エノク書』におけるヘーレムと意味の上で一致することになる。また、7世紀から8世紀の間に成立したと見られるアラム語による祈祷書『コル・ニドゥレー』(すべての祈願)〔ヨム・キプールの晩に読まれる祈祷書。他にセファルディム版とミズラヒム版がある。〕でも、「誓い」を意味するヘーレムが用いられている(以下はアシュケナジム版のヘブライ語訳からの重訳)。

『ヤルクート・シムオニー』〔タナハ、タルムード、シフラーメヒルターなどの注釈、およびアガダー(民間伝承)の集成。フランクフルト出身の注釈家、シムオン・アシュケナジーによって13世紀に編纂されたと見られている。〕では、『ヨシュア記』6:17の「וְהָיְתָה הָעִיר חֵרֶם」(この町はヘーレムになる)という記述に関するシムオン・ベン・ラキシュ〔シムオン・ベン・ラキシュ:アモライームの第2世代(250年280年)に属するラビ。〕による以下のような解説が紹介されている。

ユダヤ教では伝統的に人体は248の器官で構成されていると考えられており〔ミシュナー・マセヘット・オホロット 1:8 〕、この248という数はハラハーで定められた613の戒律のうちのミツヴォット・アサー(なすべき戒律)の数と一致する。また、「憐れみ」を意味する רחם (レヘム)は人体を宿す「子宮」をも意味している。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
ウィキペディアで「ヘーレム」の詳細全文を読む




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