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ベイズ推定(ベイズすいてい、)とは、ベイズ確率の考え方に基づき、観測事象(観測された事実)から、推定したい事柄(それの起因である原因事象)を、確率的な意味で推論することを指す。 ベイズの定理が基本的な方法論として用いられ、名前の由来となっている。統計学に応用されてベイズ統計学〔従来の推計統計学(および「確率」に対する頻度主義的な考え方)とは多少異なる考え方を採用している。〕の代表的な方法となっている。 ベイズ推定においては、パラメータの点推定を求めることは、ベイズ確率(分布関数)を求めた後に、決められた汎関数:の値(平均値もしくは中央値など)を派生的に計算することと見做される。 *標語的には、「真値は分布する」、「点推定にはこだわらない」などの考え方に依拠している。 == 概要 == いま、''A''および''X''を離散確率変数とする。ここで ''A'' を原因、''X'' をそれに対する証拠(つまり原因によって起きたと想定される事象)とするとき、 : ''P''(''A'') = 事象 ''A'' が発生する確率を、事前確率 (prior probability) : ''P''(''A''|''X'') = 事象 ''X'' が発生した下で、事象 ''A'' が発生する条件付き確率を、事後確率 (posterior probability) という。''P''(''A''|''X'') は、ベイズの定理によって : と表される。 ここで、''P''(''X''|''A'') のことを尤度と呼ぶ。またこれを ''A'' の関数と考えて尤度関数 ''L''(''A''|''X'') = ''P''(''X''|''A'') ともいう(''L''(''A''|''X'')は''A'' に関する確率分布ではない)。 ベイズ確率(ベイジアン)の考え方では、''A'' を定数とする必要はなく、上記のような分布に従う確率変数としてよい(客観的に定義できるものではないから、主観確率である)。 この考え方からすると、上のベイズの定理の式は、 : 主観確率分布 ''P''(''A'') に、係数 ''P''(''X''|''A'') / ''P''(''X'') を掛けることにより、証拠 ''X'' を加味して、より客観性の高い確率分布 ''P''(''A''|''X'') を求める と解釈できることがわかる。このように確率分布をより客観的にする方法(ベイズ改訂)を利用して、''A'' を推定する方法が、ベイズ推定である。さらに新たな証拠が加えられれば、事後確率を新たに事前確率として扱い、ベイズ改訂を繰り返すこともできる(さらに高い客観性が期待される)。 一方、''A'' は「原因」であるから、従来の推計統計学では、確率分布 ''P''(''A'') は既に決定しているものであり、従って ''X'' を条件とする確率 ''P''(''A''|''X'')''A'' は意味がない。 従来の推計統計学は既に確固たる数学的理論として構築され、多方面に応用されている。しかしながら母数 ''a'' を定数と仮定した上で造り上げられた理論であることから、必ずしも応用に向いたものではない(例えば母集団を決定しにくい医学への応用など)という批判がされる。一方で、ベイズ推定は人間の思考の過程をモデル化したものとも考えられ、人間の思考様式になじむとも主張されている。 ベイズ推定に対する批判としては、事前確率が主観的で一意的に決められない、またそれをもとにして事後確率を求めても、それが客観的な確率分布に収束するという保証がない、といったものがある。 しかし現在では特にコンピュータを用いた方法の発展によりベイズ推定の方法も発展し、スパムメールを識別するためのベイジアンフィルタなどの応用が進んでいる。事前分布としては全く情報がない場合には一様分布などが用いられ(もちろん情報があれば他の分布でよい)、一般には異なる事前確率分布からマルコフ連鎖モンテカルロ法などで安定した結果(事後確率分布)が得られれば、実用的に問題はないと考えられている。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「ベイズ推定」の詳細全文を読む 英語版ウィキペディアに対照対訳語「 Bayesian inference 」があります。 スポンサード リンク
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