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ベイナイト : ミニ英和和英辞書
ベイナイト
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〔語彙分解〕的な部分一致の検索結果は以下の通りです。


ベイナイト : ウィキペディア日本語版
ベイナイト
ベイナイト: bainite、米国の冶金学者)に由来する)は炭素鋼や低合金鋼の等温保持或いは連続冷却の熱処理により生じる金属組織(相ではない)の一つである。
''中間組織''(: Zwischenstufengefüge、英: intermediate structure)または''中間段階変態生成物(組織)''(独: Zwischenstufen Umwandlungsprodukt、英: intermediate stage transformation products)、或いはその頭文字''Zw''の語は特にドイツ語圏において「広義の」ベイナイトとほぼ同じ意味で用いられる。これはミクロ組織の生成する温度及び冷却速度がパーライト変態とマルテンサイト変態の間にあることによる。つまりZwは「狭義の」ベイナイトを含む変態組織の総称であるから、Zwの意味でベイナイトを用いるのは適切でない。ドイツ語圏では用語の問題を避けるために、以前からZwと呼ばれてきたのである。
この温度域においては、マルテンサイト変態の急激な結晶構造の変化(無拡散変態)と拡散変態が結びついて、異なる変態機構が起こりうる。冷却速度及び炭素量、合金元素とその結果としての変態温度への依存性から、「広義の」ベイナイトは固有の形態を持たない。ベイナイトには、パーライトと同様にフェライト相(α)とセメンタイト相(Fe3C)が含まれているものの、その形や大きさ、分散状況が大きく異なる。ベイナイト組織の形態として、上部ベイナイト(或いはグラニュラーベイナイト)及び下部ベイナイトの区別が知られている。
オーステンパー或いは等温変態におけるベイナイト変態は、オーステナイト(γ)化に続く焼入れ中のMs点(マルテンサイト変態開始温度)以上の温度(約250-550℃、合金元素にあまり依存しない)で起こる。この時パーライト変態が起きないレベルの冷却速度を選ばなければならない。Ms点以上の温度に保持することで、オーステナイトはほぼ全てベイナイトに変態する。
オーステナイト結晶粒界又は不完全性によるウムクラップ過程(熱ゆらぎ)から、炭素が過飽和した体心立方格子(Bcc格子)を持つフェライト粒が生成する。フェライト粒内の球状或いは楕円状セメンタイトが生成する際のBcc格子の速い拡散のために、下部ベイナイトでは速い速度で炭素が吐き出される。一方、上部ベイナイトにおいてはオーステナイトと同程度の速度で炭素の拡散と炭化物の生成が進む。
上部ベイナイトはベイナイト変態温度域の高い側で生成し、マルテンサイト組織を思わせるよく類似した針状組織を持つ。結晶粒界における炭素の拡散が有利であるために、針状のフェライトが拡散変態して生成される。このとき不規則かつ不連続なセメンタイトが生成される。この不規則な分布のために、このミクロ組織はたいてい粒状組織として観察される。このミクロ組織はしばしばパーライト組織或いはウイドマンステッテン組織と混同されることがあるが、不適切である。
下部ベイナイトは等温保持或いは連続冷却でベイナイト変態温度域の低い温度側で生成する。このミクロ組織においては、下部ベイナイトのフェライトとセメンタイトの生成が進んでいくとともに、残ったオーステナイトに炭素が濃縮され(てMs点が上昇し、オーステナイトがマルテンサイト変態す)るために、針状のベイナイト‐マルテンサイト混合組織となる。オーステンパーを用いた場合、残留応力が減少するとともに靱性が改善され、亀裂感受性が改善されるともに、複雑な形状のミクロ組織が得られる。
'中間組織''(: Zwischenstufengefüge、英: intermediate structure)または''中間段階変態生成物(組織)''(独: Zwischenstufen Umwandlungsprodukt、英: intermediate stage transformation products)、或いはその頭文字''Zw''の語は特にドイツ語圏において「広義の」ベイナイトとほぼ同じ意味で用いられる。これはミクロ組織の生成する温度及び冷却速度がパーライト変態とマルテンサイト変態の間にあることによる。つまりZwは「狭義の」ベイナイトを含む変態組織の総称であるから、Zwの意味でベイナイトを用いるのは適切でない。ドイツ語圏では用語の問題を避けるために、以前からZwと呼ばれてきたのである。
この温度域においては、マルテンサイト変態の急激な結晶構造の変化(無拡散変態)と拡散変態が結びついて、異なる変態機構が起こりうる。冷却速度及び炭素量、合金元素とその結果としての変態温度への依存性から、「広義の」ベイナイトは固有の形態を持たない。ベイナイトには、パーライトと同様にフェライト相(α)とセメンタイト相(Fe3C)が含まれているものの、その形や大きさ、分散状況が大きく異なる。ベイナイト組織の形態として、上部ベイナイト(或いはグラニュラーベイナイト)及び下部ベイナイトの区別が知られている。
オーステンパー或いは等温変態におけるベイナイト変態は、オーステナイト(γ)化に続く焼入れ中のMs点(マルテンサイト変態開始温度)以上の温度(約250-550℃、合金元素にあまり依存しない)で起こる。この時パーライト変態が起きないレベルの冷却速度を選ばなければならない。Ms点以上の温度に保持することで、オーステナイトはほぼ全てベイナイトに変態する。
オーステナイト結晶粒界又は不完全性によるウムクラップ過程(熱ゆらぎ)から、炭素が過飽和した体心立方格子(Bcc格子)を持つフェライト粒が生成する。フェライト粒内の球状或いは楕円状セメンタイトが生成する際のBcc格子の速い拡散のために、下部ベイナイトでは速い速度で炭素が吐き出される。一方、上部ベイナイトにおいてはオーステナイトと同程度の速度で炭素の拡散と炭化物の生成が進む。
上部ベイナイトはベイナイト変態温度域の高い側で生成し、マルテンサイト組織を思わせるよく類似した針状組織を持つ。結晶粒界における炭素の拡散が有利であるために、針状のフェライトが拡散変態して生成される。このとき不規則かつ不連続なセメンタイトが生成される。この不規則な分布のために、このミクロ組織はたいてい粒状組織として観察される。このミクロ組織はしばしばパーライト組織或いはウイドマンステッテン組織と混同されることがあるが、不適切である。
下部ベイナイトは等温保持或いは連続冷却でベイナイト変態温度域の低い温度側で生成する。このミクロ組織においては、下部ベイナイトのフェライトとセメンタイトの生成が進んでいくとともに、残ったオーステナイトに炭素が濃縮され(てMs点が上昇し、オーステナイトがマルテンサイト変態す)るために、針状のベイナイト‐マルテンサイト混合組織となる。オーステンパーを用いた場合、残留応力が減少するとともに靱性が改善され、亀裂感受性が改善されるともに、複雑な形状のミクロ組織が得られる。
'(: Zwischenstufengefüge、英: intermediate structure)または''中間段階変態生成物(組織)''(独: Zwischenstufen Umwandlungsprodukt、英: intermediate stage transformation products)、或いはその頭文字''Zw''の語は特にドイツ語圏において「広義の」ベイナイトとほぼ同じ意味で用いられる。これはミクロ組織の生成する温度及び冷却速度がパーライト変態とマルテンサイト変態の間にあることによる。つまりZwは「狭義の」ベイナイトを含む変態組織の総称であるから、Zwの意味でベイナイトを用いるのは適切でない。ドイツ語圏では用語の問題を避けるために、以前からZwと呼ばれてきたのである。
この温度域においては、マルテンサイト変態の急激な結晶構造の変化(無拡散変態)と拡散変態が結びついて、異なる変態機構が起こりうる。冷却速度及び炭素量、合金元素とその結果としての変態温度への依存性から、「広義の」ベイナイトは固有の形態を持たない。ベイナイトには、パーライトと同様にフェライト相(α)とセメンタイト相(Fe3C)が含まれているものの、その形や大きさ、分散状況が大きく異なる。ベイナイト組織の形態として、上部ベイナイト(或いはグラニュラーベイナイト)及び下部ベイナイトの区別が知られている。
オーステンパー或いは等温変態におけるベイナイト変態は、オーステナイト(γ)化に続く焼入れ中のMs点(マルテンサイト変態開始温度)以上の温度(約250-550℃、合金元素にあまり依存しない)で起こる。この時パーライト変態が起きないレベルの冷却速度を選ばなければならない。Ms点以上の温度に保持することで、オーステナイトはほぼ全てベイナイトに変態する。
オーステナイト結晶粒界又は不完全性によるウムクラップ過程(熱ゆらぎ)から、炭素が過飽和した体心立方格子(Bcc格子)を持つフェライト粒が生成する。フェライト粒内の球状或いは楕円状セメンタイトが生成する際のBcc格子の速い拡散のために、下部ベイナイトでは速い速度で炭素が吐き出される。一方、上部ベイナイトにおいてはオーステナイトと同程度の速度で炭素の拡散と炭化物の生成が進む。
上部ベイナイトはベイナイト変態温度域の高い側で生成し、マルテンサイト組織を思わせるよく類似した針状組織を持つ。結晶粒界における炭素の拡散が有利であるために、針状のフェライトが拡散変態して生成される。このとき不規則かつ不連続なセメンタイトが生成される。この不規則な分布のために、このミクロ組織はたいてい粒状組織として観察される。このミクロ組織はしばしばパーライト組織或いはウイドマンステッテン組織と混同されることがあるが、不適切である。
下部ベイナイトは等温保持或いは連続冷却でベイナイト変態温度域の低い温度側で生成する。このミクロ組織においては、下部ベイナイトのフェライトとセメンタイトの生成が進んでいくとともに、残ったオーステナイトに炭素が濃縮され(てMs点が上昇し、オーステナイトがマルテンサイト変態す)るために、針状のベイナイト‐マルテンサイト混合組織となる。オーステンパーを用いた場合、残留応力が減少するとともに靱性が改善され、亀裂感受性が改善されるともに、複雑な形状のミクロ組織が得られる。
'中間段階変態生成物(組織)''(独: Zwischenstufen Umwandlungsprodukt、英: intermediate stage transformation products)、或いはその頭文字''Zw''の語は特にドイツ語圏において「広義の」ベイナイトとほぼ同じ意味で用いられる。これはミクロ組織の生成する温度及び冷却速度がパーライト変態とマルテンサイト変態の間にあることによる。つまりZwは「狭義の」ベイナイトを含む変態組織の総称であるから、Zwの意味でベイナイトを用いるのは適切でない。ドイツ語圏では用語の問題を避けるために、以前からZwと呼ばれてきたのである。
この温度域においては、マルテンサイト変態の急激な結晶構造の変化(無拡散変態)と拡散変態が結びついて、異なる変態機構が起こりうる。冷却速度及び炭素量、合金元素とその結果としての変態温度への依存性から、「広義の」ベイナイトは固有の形態を持たない。ベイナイトには、パーライトと同様にフェライト相(α)とセメンタイト相(Fe3C)が含まれているものの、その形や大きさ、分散状況が大きく異なる。ベイナイト組織の形態として、上部ベイナイト(或いはグラニュラーベイナイト)及び下部ベイナイトの区別が知られている。
オーステンパー或いは等温変態におけるベイナイト変態は、オーステナイト(γ)化に続く焼入れ中のMs点(マルテンサイト変態開始温度)以上の温度(約250-550℃、合金元素にあまり依存しない)で起こる。この時パーライト変態が起きないレベルの冷却速度を選ばなければならない。Ms点以上の温度に保持することで、オーステナイトはほぼ全てベイナイトに変態する。
オーステナイト結晶粒界又は不完全性によるウムクラップ過程(熱ゆらぎ)から、炭素が過飽和した体心立方格子(Bcc格子)を持つフェライト粒が生成する。フェライト粒内の球状或いは楕円状セメンタイトが生成する際のBcc格子の速い拡散のために、下部ベイナイトでは速い速度で炭素が吐き出される。一方、上部ベイナイトにおいてはオーステナイトと同程度の速度で炭素の拡散と炭化物の生成が進む。
上部ベイナイトはベイナイト変態温度域の高い側で生成し、マルテンサイト組織を思わせるよく類似した針状組織を持つ。結晶粒界における炭素の拡散が有利であるために、針状のフェライトが拡散変態して生成される。このとき不規則かつ不連続なセメンタイトが生成される。この不規則な分布のために、このミクロ組織はたいてい粒状組織として観察される。このミクロ組織はしばしばパーライト組織或いはウイドマンステッテン組織と混同されることがあるが、不適切である。
下部ベイナイトは等温保持或いは連続冷却でベイナイト変態温度域の低い温度側で生成する。このミクロ組織においては、下部ベイナイトのフェライトとセメンタイトの生成が進んでいくとともに、残ったオーステナイトに炭素が濃縮され(てMs点が上昇し、オーステナイトがマルテンサイト変態す)るために、針状のベイナイト‐マルテンサイト混合組織となる。オーステンパーを用いた場合、残留応力が減少するとともに靱性が改善され、亀裂感受性が改善されるともに、複雑な形状のミクロ組織が得られる。
'(独: Zwischenstufen Umwandlungsprodukt、英: intermediate stage transformation products)、或いはその頭文字''Zw''の語は特にドイツ語圏において「広義の」ベイナイトとほぼ同じ意味で用いられる。これはミクロ組織の生成する温度及び冷却速度がパーライト変態とマルテンサイト変態の間にあることによる。つまりZwは「狭義の」ベイナイトを含む変態組織の総称であるから、Zwの意味でベイナイトを用いるのは適切でない。ドイツ語圏では用語の問題を避けるために、以前からZwと呼ばれてきたのである。
この温度域においては、マルテンサイト変態の急激な結晶構造の変化(無拡散変態)と拡散変態が結びついて、異なる変態機構が起こりうる。冷却速度及び炭素量、合金元素とその結果としての変態温度への依存性から、「広義の」ベイナイトは固有の形態を持たない。ベイナイトには、パーライトと同様にフェライト相(α)とセメンタイト相(Fe3C)が含まれているものの、その形や大きさ、分散状況が大きく異なる。ベイナイト組織の形態として、上部ベイナイト(或いはグラニュラーベイナイト)及び下部ベイナイトの区別が知られている。
オーステンパー或いは等温変態におけるベイナイト変態は、オーステナイト(γ)化に続く焼入れ中のMs点(マルテンサイト変態開始温度)以上の温度(約250-550℃、合金元素にあまり依存しない)で起こる。この時パーライト変態が起きないレベルの冷却速度を選ばなければならない。Ms点以上の温度に保持することで、オーステナイトはほぼ全てベイナイトに変態する。
オーステナイト結晶粒界又は不完全性によるウムクラップ過程(熱ゆらぎ)から、炭素が過飽和した体心立方格子(Bcc格子)を持つフェライト粒が生成する。フェライト粒内の球状或いは楕円状セメンタイトが生成する際のBcc格子の速い拡散のために、下部ベイナイトでは速い速度で炭素が吐き出される。一方、上部ベイナイトにおいてはオーステナイトと同程度の速度で炭素の拡散と炭化物の生成が進む。
上部ベイナイトはベイナイト変態温度域の高い側で生成し、マルテンサイト組織を思わせるよく類似した針状組織を持つ。結晶粒界における炭素の拡散が有利であるために、針状のフェライトが拡散変態して生成される。このとき不規則かつ不連続なセメンタイトが生成される。この不規則な分布のために、このミクロ組織はたいてい粒状組織として観察される。このミクロ組織はしばしばパーライト組織或いはウイドマンステッテン組織と混同されることがあるが、不適切である。
下部ベイナイトは等温保持或いは連続冷却でベイナイト変態温度域の低い温度側で生成する。このミクロ組織においては、下部ベイナイトのフェライトとセメンタイトの生成が進んでいくとともに、残ったオーステナイトに炭素が濃縮され(てMs点が上昇し、オーステナイトがマルテンサイト変態す)るために、針状のベイナイト‐マルテンサイト混合組織となる。オーステンパーを用いた場合、残留応力が減少するとともに靱性が改善され、亀裂感受性が改善されるともに、複雑な形状のミクロ組織が得られる。
'Zw''の語は特にドイツ語圏において「広義の」ベイナイトとほぼ同じ意味で用いられる。これはミクロ組織の生成する温度及び冷却速度がパーライト変態とマルテンサイト変態の間にあることによる。つまりZwは「狭義の」ベイナイトを含む変態組織の総称であるから、Zwの意味でベイナイトを用いるのは適切でない。ドイツ語圏では用語の問題を避けるために、以前からZwと呼ばれてきたのである。
この温度域においては、マルテンサイト変態の急激な結晶構造の変化(無拡散変態)と拡散変態が結びついて、異なる変態機構が起こりうる。冷却速度及び炭素量、合金元素とその結果としての変態温度への依存性から、「広義の」ベイナイトは固有の形態を持たない。ベイナイトには、パーライトと同様にフェライト相(α)とセメンタイト相(Fe3C)が含まれているものの、その形や大きさ、分散状況が大きく異なる。ベイナイト組織の形態として、上部ベイナイト(或いはグラニュラーベイナイト)及び下部ベイナイトの区別が知られている。
オーステンパー或いは等温変態におけるベイナイト変態は、オーステナイト(γ)化に続く焼入れ中のMs点(マルテンサイト変態開始温度)以上の温度(約250-550℃、合金元素にあまり依存しない)で起こる。この時パーライト変態が起きないレベルの冷却速度を選ばなければならない。Ms点以上の温度に保持することで、オーステナイトはほぼ全てベイナイトに変態する。
オーステナイト結晶粒界又は不完全性によるウムクラップ過程(熱ゆらぎ)から、炭素が過飽和した体心立方格子(Bcc格子)を持つフェライト粒が生成する。フェライト粒内の球状或いは楕円状セメンタイトが生成する際のBcc格子の速い拡散のために、下部ベイナイトでは速い速度で炭素が吐き出される。一方、上部ベイナイトにおいてはオーステナイトと同程度の速度で炭素の拡散と炭化物の生成が進む。
上部ベイナイトはベイナイト変態温度域の高い側で生成し、マルテンサイト組織を思わせるよく類似した針状組織を持つ。結晶粒界における炭素の拡散が有利であるために、針状のフェライトが拡散変態して生成される。このとき不規則かつ不連続なセメンタイトが生成される。この不規則な分布のために、このミクロ組織はたいてい粒状組織として観察される。このミクロ組織はしばしばパーライト組織或いはウイドマンステッテン組織と混同されることがあるが、不適切である。
下部ベイナイトは等温保持或いは連続冷却でベイナイト変態温度域の低い温度側で生成する。このミクロ組織においては、下部ベイナイトのフェライトとセメンタイトの生成が進んでいくとともに、残ったオーステナイトに炭素が濃縮され(てMs点が上昇し、オーステナイトがマルテンサイト変態す)るために、針状のベイナイト‐マルテンサイト混合組織となる。オーステンパーを用いた場合、残留応力が減少するとともに靱性が改善され、亀裂感受性が改善されるともに、複雑な形状のミクロ組織が得られる。
'の語は特にドイツ語圏において「広義の」ベイナイトとほぼ同じ意味で用いられる。これはミクロ組織の生成する温度及び冷却速度がパーライト変態とマルテンサイト変態の間にあることによる。つまりZwは「狭義の」ベイナイトを含む変態組織の総称であるから、Zwの意味でベイナイトを用いるのは適切でない。ドイツ語圏では用語の問題を避けるために、以前からZwと呼ばれてきたのである。
この温度域においては、マルテンサイト変態の急激な結晶構造の変化(無拡散変態)と拡散変態が結びついて、異なる変態機構が起こりうる。冷却速度及び炭素量、合金元素とその結果としての変態温度への依存性から、「広義の」ベイナイトは固有の形態を持たない。ベイナイトには、パーライトと同様にフェライト相(α)とセメンタイト相(Fe3C)が含まれているものの、その形や大きさ、分散状況が大きく異なる。ベイナイト組織の形態として、上部ベイナイト(或いはグラニュラーベイナイト)及び下部ベイナイトの区別が知られている。
オーステンパー或いは等温変態におけるベイナイト変態は、オーステナイト(γ)化に続く焼入れ中のMs点(マルテンサイト変態開始温度)以上の温度(約250-550℃、合金元素にあまり依存しない)で起こる。この時パーライト変態が起きないレベルの冷却速度を選ばなければならない。Ms点以上の温度に保持することで、オーステナイトはほぼ全てベイナイトに変態する。
オーステナイト結晶粒界又は不完全性によるウムクラップ過程(熱ゆらぎ)から、炭素が過飽和した体心立方格子(Bcc格子)を持つフェライト粒が生成する。フェライト粒内の球状或いは楕円状セメンタイトが生成する際のBcc格子の速い拡散のために、下部ベイナイトでは速い速度で炭素が吐き出される。一方、上部ベイナイトにおいてはオーステナイトと同程度の速度で炭素の拡散と炭化物の生成が進む。
上部ベイナイトはベイナイト変態温度域の高い側で生成し、マルテンサイト組織を思わせるよく類似した針状組織を持つ。結晶粒界における炭素の拡散が有利であるために、針状のフェライトが拡散変態して生成される。このとき不規則かつ不連続なセメンタイトが生成される。この不規則な分布のために、このミクロ組織はたいてい粒状組織として観察される。このミクロ組織はしばしばパーライト組織或いはウイドマンステッテン組織と混同されることがあるが、不適切である。
下部ベイナイトは等温保持或いは連続冷却でベイナイト変態温度域の低い温度側で生成する。このミクロ組織においては、下部ベイナイトのフェライトとセメンタイトの生成が進んでいくとともに、残ったオーステナイトに炭素が濃縮され(てMs点が上昇し、オーステナイトがマルテンサイト変態す)るために、針状のベイナイト‐マルテンサイト混合組織となる。オーステンパーを用いた場合、残留応力が減少するとともに靱性が改善され、亀裂感受性が改善されるともに、複雑な形状のミクロ組織が得られる。

== ベイナイトのミクロ組織形態 ==

ベイナイトは等温保持及び連続冷却において、パーライト変態温度以下からマルテンサイト変態温度までの温度で変態して生成するミクロ組織である。ベイナイトは大きく上部ベイナイト及び下部ベイナイトが知られる〔Mehl, R. F.: The Physics of Hardenability – the Mechanism and the Rate of the Decomposition of Austenite Hardenability of Alloy Steels, Symposium 20. Annual Convention of the American Society for Metals – Detroit (1938)〕。上部ベイナイトはパケット内で揃った針状のフェライトからなり、ラス間にフィルム状に連続的に並んだ炭化物は個々の針状フェライト(ベイニティックフェライトプレート)の方向と平行に並んで観察される〔Oblak, J. M., Hehemann, R. F.: Structure and Growth of Widmannstaetten – Ferrite and Bainite In "Transformation and Hardenability in Steels", Climax Molybdenum Symposium (1967)〕〔Pickering, F.B.: Structure and Properties of Bainite in Steels Transformation and Hardenability of Steels, Climax Molybdenum Co., Michigan (1967) 109–132〕。下部ベイナイトは板状のフェライトからなるが、その炭化物はフェライトと60°の角度で並んでいる。その他のベイナイト形態、例えば逆ベイナイトやグラニュラー(粒状)ベイナイト、針状ベイナイトといった変態は、特定の条件で発生する(図1に強調して示す)〔Habraken L.J., Econopoulos, M.: Bainitic Microstructures in Low Carbon Alloy Steels and Their Mechanical Properties In "Transformation and Hardenability of Steels", Climax Molybdenum Co., Michigan (1967) 69–108〕〔Spanos, G., Fang, H.S., Sarma, D.S., Aaronson, H.I.: Influence of Carbon Concentration and Reaction Temperature upon Bainite Morphology in Fe-C-2 Pct Mn Alloys, Metallurgical Transactions A, Vol 21A (1990) 1391–1411〕。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
ウィキペディアで「ベイナイト」の詳細全文を読む




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