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バーチ還元(バーチかんげん、Birch reduction)は、液体アンモニア中で金属を用いて行なう還元反応のことである。 1944年にアーサー・ジョン・バーチによって報告された〔Birch, A. J. ''J. Chem. Soc.'' 1944, 430.〕。 金属の溶解によって発生する溶媒和電子による還元反応であるため、他の還元反応とはかなり反応の特性が異なる。 特に重要なのは他の反応では困難なベンゼン環の部分還元が可能であり、1,4-シクロヘキサジエンを得ることができる点である。 一般的な反応式は次のように表される。官能基の性質により水素が付加する位置が異なる。 == 実験の手順 == バーチ還元は以下の手順で行なう。 まず、ドライアイスで冷却したデュワー冷却器を装着した反応容器をドライアイス-アセトン浴などで冷却してアンモニアの沸点である −33 ℃よりも低い温度とする。 撹拌子はテフロン被覆のものではテフロンがバーチ還元の条件で反応して侵されてしまうため、ガラス製のものを用いるのが良い。 ここにボンベから液体アンモニアを導入するが、液体アンモニアはボンベから直接注ぎ込むのは避ける方が良く、別の容器にトラップし、そこから気化させて反応容器に送り込み、デュワー冷却器で液化して反応容器に還流させる方がよい。 これはボンベの内壁などに由来する鉄などの粉末が反応系に混入すると還元剤となる金属とアンモニアの反応(金属アミドと水素が発生する)を触媒してしまい、還元剤のロスの原因になるためである。 次に溜めた液体アンモニア中に還元剤となる金属を小片にして加えていく。 金属としてはリチウムやナトリウムを用いることが多い。 カリウムやカルシウム、マグネシウムが使用する例も報告されている。 これらの金属を液体アンモニア中に加えると濃紺色の溶液となる。 アンモニア中でこれらの金属は電子を放出して陽イオンとなり、放出された電子は数分子のアンモニアに溶媒和された溶媒和電子となる。 この溶媒和電子が可視光を吸収するため溶液が着色する。 ここに反応させるべき基質をゆっくりと添加していく。 基質は溶媒和電子と反応しないアルカンやジエチルエーテルなどを補助溶媒として添加することもある。 また基質にアルコールなどのプロトン化剤を混ぜて同時に添加することもある。 なお、先に基質を添加してから、過剰の溶媒和電子の生成により溶液が青くなるまで金属を少しずつ加えていく方法もある。 反応が完了したら、塩化アンモニウムやアルコール、水などのプロトン化剤をゆっくりと添加して過剰の溶媒和電子を消費させる。 その後、反応容器の冷却を止めてアンモニアを反応容器から蒸発させて除き、残渣を処理して目的物を得る。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「バーチ還元」の詳細全文を読む 英語版ウィキペディアに対照対訳語「 Birch reduction 」があります。 スポンサード リンク
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