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ホラチウ・ラドゥレスク : ミニ英和和英辞書
ホラチウ・ラドゥレスク
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〔語彙分解〕的な部分一致の検索結果は以下の通りです。


ホラチウ・ラドゥレスク : ウィキペディア日本語版
ホラチウ・ラドゥレスク

ホラチウ・ラドゥレスク (ホラツィウ、Horaţiu Rădulescu1942年1月7日 - 2008年9月25日)は、ルーマニア生まれのフランス現代音楽作曲家
==来歴==

===第1期===
ブカレスト出身。母国ルーマニアでステファン・ニクレスクに師事し、ブカレスト音楽アカデミーで修士号を得た。作品リスト開始直後の「奈落へのゆりかご(ピアノソナタ第1番,op-6)」ですでに等拍リズムを採用し、聞きにくい共鳴の和音を使うなどの個性は後年の作風にも共通するものの、本格的な作風の開花はダルムシュタット夏期講習会への参加の後、その地でカールハインツ・シュトックハウゼンの「シュティムング」を聞き衝撃を受けてからになる。高次倍音の揺らめきに興味を覚えた彼は「チェロアンサンブルのためのクレド op-9」で現実にはない「擬似基音」から第四十倍音までを算出してチェロの高音域に漂わせて、最初期の個性を確立した。
その後もピアノの変則調弦や極端な特殊奏法の連続で微視的な音響を追求した。9つの弦楽四重奏のために書かれた(9つの弦楽四重奏団がそろうことは経済上不可能なので、8つを録音して1つはライブで臨む)「弦楽四重奏曲第4番」では、フィボナッチ数列比をオクターブに厳格に適用して単純な四分音とは全く異なった微分音を探ってゆく。音程にのみではなく、リズム、楽器法や全体構成にまでフィボナッチ比が完璧に及んでいるために、素材全体が比率で締め付けられている印象も高い。一方で、チェロ独奏のための「ほかの op-49」では、一切の難解な操作を排して高次倍音を生のままで聞かせる。倍音のみでアラビア語圏やインドのような歌謡性を提示する辺りに、非西洋文化への偏愛が読み取れる。
ラドゥレスクの個人語法は「情事 Op.43」にて比類ない水準で完成した。40分以上の切れ目ない持続の中で、同じ音色や楽器法の組み合わせが重複されることなく、万華鏡のように倍音成分が次々と入れ替わる技法は、本作品以降も継続する。
クラリネット重奏のための「主観的時間 op-42」ではクラリネットのパートはほぼ単一の音名にセント単位の微分音が細かくまとわりつくさまを正確に記譜しており、聞き込むうちにクラリネット特有の倍音構成から耳障りな差音が聞こえてくる。この耳障りなノイズも前衛の世代のようにストレートに輩出するのではなく、理論的算出から自然と聞こえてくるのを好んでいる。フルート・オーケストラやサックス・オーケストラのための作品でも通常とは違う微分音の追求は変わらなかった。この点に、師のニクレスクのように四分音にこだわり続ける態度とは差異が見られる。オーボエ・ダモーレとピアノのための「アニマエ・モルテ・カレント op-85」では「運指で八分音、アンブシュアが八段階なのだから、理論的には64分の1音が可能だろう」という極論に至っており、ほとんど知覚できないくらいのセント比をうろつくオーボエに変則調弦のピアノが絡む。
これらの創作姿勢をオリヴィエ・メシアンは絶賛し、それがきっかけで長らくフランスに留まって仕事をしていた。1980年代にはグランドピアノを横に倒して様々な角度から引っかいたピアノの弦の音色をマイクでピックアップして生楽器に混ぜる「サウンド・イコン」を考案した。「アンゴロ・ディヴィノ op-87」はおそらく彼の理論的追求の最も深い部分を味わうことができる秀作である。電子メディアを用いる際にも、必ず生楽器をなんらかの形で増幅するなど、晩年のルイジ・ノーノのようにピュアな電子音は一切使われることはない。現代音楽の流行を追うのではなく、古代音楽の理論を探っていくかのような探求が新しい音響につながる音楽は世界でもほとんど例を見ない。
「サウンド・プラズマ~未来からの兆しの音楽~」は自身の作曲理論書としてエディション・モデルンより出版されていたが、正規のテクストの上に本人の鉛筆の落書きがあるなど、単純な読み物としても楽しめる構成になっており、話題に事欠かなかった。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
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