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ポアソン核 : ウィキペディア日本語版
ポアソン核[ぽあそんかく]
数学ポテンシャル論におけるポアソン核(ポアソンかく、)とは、単位円板上のディリクレ境界条件を伴う二次元ラプラス方程式を解く際に用いられるある積分核のことを言う。ラプラス方程式に対するグリーン函数微分として解釈することが出来る。シメオン・ドニ・ポアソンの名にちなむ。
ポアソン核は制御理論や、静電気学の二次元問題への応用において広く用いられている。実際、ポアソン核の定義は ''n''-次元問題まで拡張されることもしばしばある。
== 二次元ポアソン核 ==

=== 単位円板上のポアソン核 ===

複素平面において、単位円板に対するポアソン核は次で与えられる。
:P_r(\theta) = \sum_^\infty r^e^ = \frac = \operatorname\left(\frac\right), \ \ \ 0 \le r < 1.
これには二つの解釈が存在する。一つは ''r'' と ''θ'' の函数という解釈、もう一つは ''r'' によって添え字付けられた ''θ'' の函数の族という解釈である。
D = \C 内の開単位円板で、T はその円板の境界、''f'' は ''L''1(T) に属する T 上の函数とする。このとき、次の式
:u(re^) = \frac\int_^\pi P_r(\theta-t)f(e^) \, \mathrmt, \ \ \ 0 \le r < 1
で与えられる函数 ''u'' は、D 内で調和的であり、円板の境界 T 上のほとんど至る所で ''f'' と一致する極限を持つ。
''u'' の境界での値が ''f'' であるということは、''r'' → 1 につれて函数 ''P''''r''(''θ'') が畳み込み多元環 ''L''p(T) 内のを形成するという事実より示される。線型作用素と同様に、それらは ''Lp''(T) 上でディラックのデルタ函数に各点収束する。最大値原理より、''u'' はそのような ''D'' 上の調和函数として唯一つのものである。
この近似的単位元との畳み込みは、''L''1(T) 内の函数のフーリエ級数に対するの例を与える。''f'' ∈ ''L''1(T) はフーリエ級数 を持つとする。フーリエ変換ののち、''P''''r''(''θ'') との畳み込みは列 ∈ ''l''1(Z) との乗算になる。その結果得られる積 に逆フーリエ変換を施すことで、次のような ''f'' の ''Arf'' が得られる:
: A_r f(e^) = \sum _ f_k r^ e^.
この絶対収束級数を再び整理することで、''f'' は ''D'' 上のある正則函数 ''g'' と反正則函数 ''h'' の和 ''g'' + ''h'' の境界値であることが示される。
調和函数が正則であるためには、解はハーディ空間の元であることとなる。これは ''f'' の負のフーリエ係数がすべて消失する場合に真となる。特に、ポアソン核は単位円板上のハーディ空間と単位円の同値性を論証する上で一般に用いられる。
''Hp''(''z'') 内の函数の T 上の極限であるような函数の空間は、''Hp''(T) と呼ばれることがある。これは(少なくとも ''p''≥1 に対して)''Lp''(T) の閉部分空間である。''Lp''(T) は(1 ≤ ''p'' ≤ ∞ に対して)バナッハ空間であるため、''Hp''(T) もまたバナッハ空間である。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
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