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ポンチュキ ( リダイレクト:ポンチキ ) : ウィキペディア日本語版
ポンチキ

ポンチキないしポンチュキ()は、ポーランドペイストリーで、ドーナツと翻訳されることもある。
ポンチキはポーランド語の単語「ポンチェック」の複数形。「ポンチェック」という言葉は「つぼみ(蕾)」を意味する語「ポンク」の縮小辞(「~ちゃん」のような意味を加える方法)の単数形で、「ポンチェック」は「(1個の)つぼみちゃん」という意味。したがって複数形の「ポンチキ」は「つぼみちゃんたち」の意味。
英語では「ポンチキ」ないし「パンチキ」と発音するのが普通で、「PUNCH-key」あるいは「PUNCH-kie」と発音しろと書かれていることが多い。これはポーランド語の発音や綴りから来るものであるが、なかには「プンチキ」、「ピンチキ」、「ペーンチキ」などと発音する人もいて、かなりいい加減である。英語圏の人々はポンチキ(英語ではポーランド語のąの文字がないためpaczkiと綴る)を単数形と捉え、複数形を「ポンチキーズ」(paczkis)とすることが多い。
== 典型的なポンチキ ==

ポンチェックは平たい球形にした生地の中にコンフィチュールあるいはその他の甘いフィリングを詰め、揚げたもの。少量のお酒(伝統的にはスピリタス)を生地に加える。揚げるときに生地に混ぜたアルコール分が蒸発することで、油が生地の奥に浸入するのを防ぐ。
ポンチキの見た目はベルリーナー・プファンクーヘンアメリカで一般的に「ジェリー・ドーナツ」、イギリスオーストラリアで「ジャムドーナツ」と呼ばれるもの)と一見よく似ているが、ポンチキの場合は鶏卵油脂砂糖牛乳などを加えた、かなりリッチな生地を使用するため味や食感がベルリーナーとは大幅に異なる上、近くで見ると生地の見かけの質感もはっきりと異なる。アメリカでポンチキとジェリー・ドーナツ(ベルリーナー)の両方が定着している地方(中西部ニューヨークなど)では両者を別個のお菓子と捉えている。
ポンチキのなかには様々なフルーツクリームのフィリングが中に入っている。また、グレーズされていたり、グラニュー糖やパウダーシュガーをかけてあったりする。上面の中心にリキュールウォッカに漬けたオレンジピールの小片や塩漬けの花などが乗っていたりすることもあり、こういうポンチキは日本あんぱんを揚げたようにさえ見える。
ワイルドローズの花びらのグラッセ、ワイルドローズヒップジャム、ポヴィドワ(ポーランド伝統の、煮詰めたプルーン)がポーランドにおける伝統的なフィリング。しかし、アプリコットストロベリーババロアブルーベリーカスタードラズベリーアップルなどといった、他のフィリングも使われることがあるが稀。日本のあんぱんがフィリングを注入するか、あるいは生地を丸め込むように詰めてしまうのに対し、ポンチキは上面になる生地と下面になる生地の2つでフィリングを挟み込み、餃子(ポーランドではピエロギ)の要領で接着部分を指ないし専用の器具で潰して上下の面を接着することが多く、独特の「耳」のある形状はそのためである。ただし、ポンチキの横から棒状の器具で横から穴をあけ、ケーキに使うような口金つきの押し出し袋を用いてフィリングを注入する製法もある。
ポンチキは遅くとも中世にはすでに知られていた。古い時代のポンチキには名称を除いてベルリーナー・プファンクーヘンとの明確な相違は見いだせない。18世紀に活躍した歴史学者イェンジェイ・キトヴィチは、アウグスト3世王の治世にフランスからやってきた料理人たちがポンチキの生地を、より軽く、よりふわふわとし、よりモチモチとしたものへと改良した、と記している。
ひと口サイズのポンチキは「ポンチューシェ」(pączusie)と呼ばれる。「ポンチューシェ」は「小さいポンチキ」を表すため、「小さいつぼみちゃんたち」の意味になる。形も大きさも様々なものを混ぜて店頭に出され、1個売りでなく、1キロいくらで量り売りされていることが多い。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
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