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数学におけるマシュケの定理(マシュケのていり、)は、ハインリヒ・マシュケに名を因む群の表現論の定理で、有限群の表現が既約表現に分解されることを述べるものである。有限群 ''G'' のある標数 0 の体上の有限次元表現 (''V'', ''ρ'') と、''V'' の ''G''-不変部分空間 ''U'' に対し、マシュケの定理の主張は ''U'' が ''G''-不変な直和補因子 ''W'' を持つこと、言い換えれば、表現 (''V'', ''ρ'') が完全可約であることを述べるものである。より一般に、有限体のような正標数 ''p'' を持つ体に対しても、''p'' が群 ''G'' の位数を割り切らないならば、マシュケの定理は成り立つ。 == 再定式化と意味 == 有限群の表現論に対する一つのアプローチは加群の理論を通して考えることである。群 ''G'' の表現は、群環 ''KG'' 上の加群と読み替えることができ、既約表現は単純加群と対応する。マシュケの定理は「一般の有限次元表現は既約部分表現から直和をとることによって構成することができるか」という問いに対するものである。これを加群の理論に読み替えると「任意の加群は半単純であるか」という問いになる。加群の言葉で定式化したマシュケの定理は、以下のように述べられる。 : ''G'' を有限群、''K'' を ''G'' の位数を割らない標数を持つ体とする。このとき ''G'' の群環 ''KG'' は半単純環である〔半単純環上の加群は必ず半単純になるので、これで任意の ''KG''-加群が半単純であることが言える。〕〔この主張は逆もまた正しく、体の標数が群の位数を割る(モジュラー型)ならば、群環は半単純にならない。〕。 この定理の重要性は、半単純環に関するよく展開された理論、特にアルティン-ウェダーバーンの定理(ウェダーバーンの構造定理)から生じる。''K'' が複素数体 C のとき、定理から群環 ''KG'' が複素正方行列環のいくつかのコピーの直積に分解されることが示される(それぞれの因子が何れも既約表現を与える)〔因子の数も計算することができて、それは群の共軛類の総数に等しい。〕。標数 0 の体 ''K'' が代数閉体でない場合(例えば実数体 R や有理数体 Q)には、主張は「群環 ''KG'' は、''K'' 上のある斜体上の行列環の直積になる」と幾分複雑になる。それぞれの因子は ''G'' の ''K'' 上の既約表現に対応する〔実数体上既約であるような表現が複素数体上既約でないなど、体が変われば表現の分解も変わってくるから、注意が必要である。〕。 翻って表現論では、マシュケの定理(あるいはそれを加群を用いて述べたもの)からは、有限群 ''G'' の表現について、実際に計算することなしの一般的構成法が得られる。定理を適用すれば任意の表現は既約成分の直和になるから、任意の表現を分類しようという表現論の課題は、既約表現を分類するというより扱いやすい課題に帰着される。さらに、ジョルダン-ヘルダーの定理から従うこととして、既約部分表現への直和分解は一意ではないかもしれないが、既約成分の重複度は矛盾なく定まる。特に、有限群の標数 0 の体上での表現は、同型を除いてその指標によって決定される。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「マシュケの定理」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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