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(n) Manichaeism・ マニ教 : [まにきょう] (n) Manichaeism
マニ教( -きょう、 摩尼教、)は、サーサーン朝ペルシャのマニ(216年 - 276年または277年)を開祖とする二元論的な宗教である〔上岡(1988)pp.140-141〕。 ユダヤ教・ゾロアスター教・キリスト教・グノーシス主義〔グノーシス主義は、紀元前後のオリエント世界においてヘレニズム、とくにプラトンやピュタゴラスの影響を強く受けた思弁法で、「隠された知識」を求めて一種の覚醒にいたることを目的としており、ユダヤ教と結びついたとき、その神学の形成・発展に寄与する一方、多くの分派をもたらした。キリスト教もまた、元来はそうしたユダヤ教の一派であった。山本(1998)pp.22-23〕などの流れを汲んでおり、経典宗教の特徴をもつ。かつては北アフリカ・イベリア半島から中国にかけてユーラシア大陸で広く信仰された世界宗教であった。マニ教は、過去に興隆したものの現在ではほとんど信者のいない、消滅した宗教と見なされてきたが、今日でも、中華人民共和国の福建省においてマニ教寺院の現存が確かめられている。 ==教義== マニ教の教義は、ヘレニズム世界において流行した神秘主義的哲学として知られるグノーシス主義、パレスティナを発祥の地とするユダヤ教およびキリスト教、イランに生まれたゾロアスター教、また、ローマ帝国で隆盛した太陽崇拝のミトラ教、伝統的なイラン土着の信仰、さらに東方の仏教・道教からも影響を受け、これらを摂取・融合している〔〔岩村(1975)pp.152-154〕。 マニ教では、ザラスシュトラが唱導したといわれる古代ペルシアの宗教(ゾロアスター教)を教義の母体として、ユダヤ教の預言者の系譜を継承し、ザラスシュトラ(ゾロアスター、ツァラトストラ)、釈迦、イエスはいずれも預言者の後継と解釈し、マニ自身も自らを天使から啓示を受けた預言者と位置づけ、「預言者の印璽」たることを主張している(後述)。また、パウロの福音主義から強い影響を受けて戒律主義をしりぞける一方で、グノーシス主義の影響から智慧(グノーシス)と認識を重視した。さらにはゾロアスター教の影響から、善悪二元論の立場をとった。同時に、享楽的なイランのオアシス文化とは一線を画し、禁欲主義的要素が濃厚な点ではゾロアスター教的というよりはむしろ仏教的である〔〔山本(1998)pp.31-34〕。 グノーシス主義の特徴として、一神教的伝統における天地創造とギリシア的な二元論(霊魂と物質の対立)とを統合しようとしたことが挙げられる〔山本(1998)pp.21-25〕。ユダヤ教的な唯一絶対の創造神を設定した場合、それだけでは、善なる唯一神が存在していながらその一方で人々を不幸に陥れあるいは破壊する悪が絶えないのはどうしてかという解決不能な問題が持ち上がる〔。グノーシス主義はこの問題に様々な解答を試みたが、その中には物質的な宇宙の創造は全能の神によるものではなく、サタン(悪)もしくは「神の不完全な代理人」が神の意図を誤解しておこなったものであるというものがあった〔。すなわち、善なるものは霊的なものに限られ、物質は悪に属するという考え方である〔。この発想はマニ教の教義に大きな影響を与えた〔キリスト教の場合は、「神の愛」という概念によって唯一絶対の善なる神と天地創造とを結びつけたので二元論への方向性は回避されたが、物質的要素の軽視や現世否定などの点においてはグノーシス主義的思考の影響がなおも見られる。山本(1998)pp.23-24〕。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「マニ教」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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