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マルドゥク(Marduk、マルドゥーク、マルドゥック)は、古代バビロニアで信仰された神。バビロン市の都市神。エヌマ・エリシュによると、世界と人間の創造主。 マルドゥクは、父エア神と母ダムキナ神の息子で、女神を妻としたとされる。彼の息子はナブー(ネボ、書記の神)である。 == 概要 == マルドゥクは、想像を絶するほど絶妙に作られた4つの目と4つの耳を持ち、この目と耳で何事も見逃さず、聞き逃さない。彼は神々の中で最も背が高く、他の神々の2倍の力を持ち、他の神々10柱分の輝きに満ちており、唇を動かせば炎が噴き出す。マルドゥクの武器は「嵐」と「雷」である。 マルドゥクは元来は「牡牛の神」だと考えられる。マルドゥクの(シュメール語由来の)アッカド名は「アマルトゥ」で、「太陽神ウトゥの仔牛」を意味している。エラム人は彼を「アマルトゥ」と記していた。 マルドゥクのヘブライ名は「メロダク」であり、同名の王が旧約聖書に登場する。 マルドゥクはアッシリア人から好んで信仰され、のちに「神々の王」という意味で、「ベル」(主)または「ベル・マルドゥク」(主マルドゥク)という尊称で呼ばれた。 シュメール初期王朝時代より、既にマルドゥク神信仰が行われていたとされる。しかし、マルドゥクがメソポタミアで重要な神となるのは、バビロン市が古代メソポタミアの中心都市となるバビロン第1王朝(古バビロニア)時代(紀元前18世紀頃)以降のことである。 マルドゥクが牛の神であることや、鍬をシンボルにしていることから、元来彼は農耕神=豊穣神であったと考えられる。その後、バビロン市の隆盛とともに彼は各地の神の性格を取り込み、バビロニアの最高神にまで高められた。これは、バビロンの祭司たちが神話を改変し、マルドゥクをティアマトの殺害者かつ世界と人間の創造者にしたと考察できる。 バビロンの王は、戴冠式の代わりにマルドゥク像の手をつかむことで王となった。また、アッシリアがバビロニアを支配していたとき、アッシリアの王は新年の祭に毎年バビロンに来てマルドゥク像の手をつかむことで、王位を要求する権利を正当なものとした。 マルドゥクは人間に判決を下し、魔術と知恵を司る水神でもあった。 後に、「他の神の大半はマルドゥク神が別の姿で現れているに過ぎない」とまで主張され、「50の名を持つ神」と称えられた。 こうしたことは、マルドゥクが多くの神々を取り込んでいることの証拠であり、マルドゥク神信仰は一神教的要素があるといえる理由である。ただし、マルドゥク神信仰は後代の一神教と異なり、決定的に他の神を排除する要素はなかった。 バビロンのマルドゥク神殿(エサギラ)のジッグラトは、「エ・テメン・アン・キ」(天と地の基礎となる建物)と呼ばれ、これが旧約聖書に登場するバベルの塔ではないかと推測する者もいる。 バビロニアの国力が衰えた後世に書かれた『』ではマルドゥクは無気力となっており、戦闘的な神・の脅威にさらされる。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「マルドゥク」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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