|
マンニトール (mannitol) は糖アルコールの一種である。 ヘキシトールに分類され、マンノースの還元体に相当する。マンニット (mannite) とも呼ばれる〔内山充、寺尾允男、早川堯夫ら、2006年3月31日『第十五改正日本薬局方』 厚生労働省告示第285号、1055頁目、2010年9月29日取得。〕。光学活性物質であり、天然に多く存在するエナンチオマーは D-マンニトールである。ソルビトールの異性体である。 ヨーロッパから中近東にかけて自生するモクセイ科のマンナトネリコ(Manna Ash、''Fraxinus ornus'')の甘い樹液から発見・命名された。マンナトネリコの名はマナにちなむ。 浸透圧調製剤・利尿剤であり、弱い腎臓血管拡張剤でもある。 水溶液中ではプロトンを放出する性質を持つため、水溶液は酸性になる。このため、炭酸ナトリウムなど pH 調整剤を併用することが珍しくない。 == 用途 == 主に頭蓋内圧を減少させたり乏尿性腎不全の患者を治療するのに用いられる。点滴静脈注射で投与され、腎臓でろ過される。高張液として作用し、末端細環へのナトリウムイオンと水分の移動量を増加させることにより尿の生成を促進させる。 堅く密着結合した血管内皮を収縮させて血液脳関門を一時的に開くのにも用いられる。この効果はアルツハイマー型痴呆などの治療において脳に直接薬剤を送り込むために不可欠である。 また、糖尿病を患っている人々のための甘味料としても利用される。負の溶解熱を持つため、キャンディーなどにヒヤリとする爽快感を与えるためにも使われる。20グラム以上の量を摂取すると緩下薬としてはたらくことから、小児用の下剤として販売されることもある。 ヘロイン、メタンフェタミンなどの麻薬の混ぜ物として使われることもある。 心臓ペースメーカーのらせん状の導線など、尖ったものを体内に挿入する際の一時的な被覆材としても用いられる。血液に溶解しやすく静脈を透過するので、目的の位置に達したあと時間がたつと被覆された部分は再び露出する。 。この用途にマンニトールを利用するに当たっては、充分な補水とともに、細心の注意が必要である。これはシガトキシンを原因とするいわゆる「熱帯魚中毒」で、脳卒中に似た症状を示すことがある。 マンニトールは非透過性の分子である。すなわち細胞膜を通り抜けることができない。 有機合成の分野においては、安価かつ各種の変換を行いやすい点を生かし、不斉点を持つ化合物の合成の際に出発原料としてよく用いられる。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「マンニトール」の詳細全文を読む 英語版ウィキペディアに対照対訳語「 Mannitol 」があります。 スポンサード リンク
|