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ミカヅキモ属 ( リダイレクト:ミカヅキモ ) : ウィキペディア日本語版
ミカヅキモ

ミカヅキモ(三日月藻、学名:)は、淡水に棲む接合藻の仲間であるミカヅキモ属の総称。細胞の形状が細長く湾曲し、両端が窄まって三日月のような形状を呈することからこの名が付いた。水田などから容易に採集できるほか、土壌にも生息している。学名ギリシア語の "''klosterion''" 「小さな紡錘」より。
ミカヅキモは単細胞生物ながら比較的大型で、細胞の長さが 0.5mm を超える種も存在する。詳細な観察には顕微鏡が必要であるが、十数倍程度の倍率のルーペでも個体の確認などは可能である。顕微鏡を用いる場合でも、その大きさや運動性の低さから、普及型の光学顕微鏡があれば様々な細胞内構造が観察できる。そのためミカヅキモは珪藻などと共に小学校中学校の多くの教科書や資料集に登場し、教材としても利用されている。
== 細胞構造 ==

細胞の大きさは長軸方向に数十から大きいもので数百μm、幅および厚みは数十μm程度である。一般には細長い紡錘形の細胞が緩やかに湾曲して三日月型となるが、湾曲せずに真っ直ぐな形状の種もある(、 など)。常に単細胞であり、群体を形成するものはない。ミカヅキモのように細胞が二つの区画に分かれているように見える接合藻においては、細胞の片側を半細胞 (semicell) と呼ぶ場合がある。細胞の横断面は(楕)円形となる。
細胞は三日月の中央部分に細胞核を持ち、その上下で半細胞に分かれる。半細胞にはそれぞれ1つずつ葉緑体がある。ミカヅキモの葉緑体は幾つもの稜を持つ細長い形状(横断面は星型)で、それぞれ半細胞の末端付近まで延び、内部には数個の丸いピレノイドを持っている。ピレノイドの個数や配置は種によっておおよそ決まっており、また光学顕微鏡でも観察できるために同定の際の判断材料となる。光合成色素としてはクロロフィル a/b を持つ。
細胞壁セルロースの微細線維(セルロースミクロフィブリル)から成っており、陸上植物と同様に「ロゼット」と呼ばれるタイプのセルロース合成酵素複合体がこれを形成する。この複合体が作るセルロースはIβ型(単斜晶)、線維の直径は約 4nm である〔21世紀初頭の藻学の現状 - 藻類のセルロース (PDF) 〕。一方クンショウモイカダモなどの緑藻の細胞壁を構成するセルロース線維は形成機構が異なり、繊維径も 10nm ほどと太い。
ミカヅキモの細胞壁には小さな孔が空いており、ここから多糖を成分とする粘液質を分泌、これを用いて滑るように緩慢な移動を行う。粘液には細胞を乾燥から保護する役割もある。細胞内には他にミトコンドリアゴルジ体ペルオキシソームなどの細胞小器官がある。いかなる細胞も鞭毛を生じることはない。また細胞の両端(半細胞の末端)には硫酸カルシウム(石膏、CaSO4)が沈着してできた結晶があり、ブラウン運動によって振動している。この結晶の機能は分かっていない。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
ウィキペディアで「ミカヅキモ」の詳細全文を読む

英語版ウィキペディアに対照対訳語「 Closterium 」があります。




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