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ミヤマクワガタ(深山鍬形 ''Lucanus maculifemoratus'')は、甲虫目・クワガタムシ科に属するクワガタムシの一種。普通種であり、いかにもクワガタムシらしい風貌から、ノコギリクワガタとともに古来からクワガタムシの代表として親しまれてきた。南西諸島や一部の離島を除く、ほぼ日本全土に分布し、旧環境庁により指標昆虫に指定されている。 オスの体長は22.9mm - 78.6mm(飼育下78.0mm)で、メスの体長は25 - 48.8mm。 なお、同名の植物にゴマノハグサ科ルリトラノオ属のミヤマクワガタ (植物)がある。 == 特徴 == 頭部に冠状の突起「(頭部)耳状突起」を有する。これはミヤマクワガタの最大の特徴である。これは小型個体では目立たないが、大型個体では発達する。耳状突起は大アゴを閉じる筋肉の付着面を限られた頭部の中で広げるのに役立っている。繁殖飼育方法の知見を初めて発表した小島啓史 (1996) によると、頭部のサイズと耳状突起は、幼虫期の頭部の幅の影響を受け、前蛹の時に寒冷な気候で過ごしたオスほど大きくなる傾向が見られるという。 オスでは体表には細かい毛が生えており、金色から褐色に見えるが、微毛は身体が霧や降雨で湿ると黒くなり、木の幹に擬態した保護色の効果と、熱線吸収率を調整するのに役立っていると思われる。古い個体はしばしばこれらの微毛が脱落し失われている。頭の突起はオスだけにある。 メスは背側から見るとツヤのある黒色で他のクワガタムシのメスと似ているが、腹側にはオスと同じく微毛を備え、学名の元になった長楕円の黄色紋を腿節に部分持つため、他種のメスと簡単に見分けることができる。また、メスの大顎は他のクワガタムシのメスに比べ、アゴが太くて厳つく、ニッパーのような形となっており、挟まれると大変痛い。 オスの大アゴには、後述される様にエゾ型・ヤマ型(基本型)・サト型(フジ型)と言う3つの型がある。それぞれの型は大アゴの第一内歯と第三内歯の長さと、大型個体では先端の二叉の大きさで見分ける事ができるが中間型も見られる。 *エゾ型:第一内歯は痕跡的で第三内歯が長い 先端の二叉はもっとも大きい *ヤマ型:第一内歯と第三内歯はほぼ同じ長さで、先端の二叉ははっきりしている *サト型:第一内歯がもっとも長く、先端の二叉ははっきりしない 上記の型の呼称は、保育社の図鑑が初めて使った呼称を踏襲しているが、黒沢は、この内サト型を、富士箱根伊豆国立公園付近に多いためフジ型とし、ヤマ型を日本全国に見られる事から基本型と呼ぶように提唱した。しかしミヤマクワガタの繁殖飼育に世界で初めて成功した、林長閑によると、どの型も日本全国に見られ、地域性は薄いと言われる。小島啓史は著書の中で、エゾ型の新成虫から得た子を東京で飼育したところ、全てサト型になった事を報告している。 3つの型は、野生ではおおむね標高と緯度によって棲み分けており、標高1000m前後の山地や北海道ではエゾ型が多く、伊豆半島からはサト型のみが知られるが、筑波山や塩山の様に、3つの型が同所的に見られる場所もある。飼育下では、幼虫期に16℃前後で飼育された個体からエゾ型が多く得られ、23℃以上ではサト型しか羽化しない。しかし20℃の飼育では3つの型が発現することもある。 普段見られるオスは60mm程度だが、70mmを越える大型個体が得られることがある。 飼育・人工繁殖は難しく大型個体はなかなか作出されないとされていたが、繁殖方法が確立し、その後小島啓史により、メスが25℃以下でないと産卵しない事が公表されてから、繁殖飼育そのものは比較的容易になった。なお林長閑は18℃の恒温器で幼虫を飼い、成虫まで4年かかったと発表しているが、1 - 2年で羽化に至る個体がほとんどと思われる。 酷暑と乾燥に弱いため、地球全体の温暖化や都市周辺のヒートアイランド現象などによって、激減、もしくは絶滅する可能性が相対的に高いクワガタムシであり、生息地域の環境調査などから指標昆虫となった。小島啓史は水没するダム湖上流のヤナギ林などでミヤマクワガタが多数生息している状況を応用動物昆虫学会等で報告している。 他の多くのクワガタムシと同じく、付いている木に衝撃を与えると落下してくるが、ノコギリクワガタやオオクワガタのようなクワガタムシが落下すると脚を縮めて硬直し、擬死状態になって動かなくなる事があるのに対し、本種はそういった擬死体型は採らず、脚を伸ばしたまま硬直するか、そのまま動き出して逃走する他種と異なる特徴もある。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「ミヤマクワガタ」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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