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メゼまたはメッゼ(アラビア語 مَزة、ギリシア語 μεζέ、ブルガリア語 мезé、マケドニア語 мéзе、トルコ語 meze)とは、東地中海におけるアペタイザーまたは軽食の一種であり、アラック、ウーゾ、ラクのようなアニスで風味付けしたリキュールや種々のワインといったアルコール類と共に供される。メゼはスペインのタパスやおつまみと似ている。語源はペルシア語で「味わう」を意味する「マジーダン」(mazīdan)から派生した、「味」または「軽食」を意味するペルシア語の「マゼ」(مَزه)に由来する〔Merriam-Webster Online - ''definition of meze'' 〕〔Encarta Dictionary Online - ''definition of meze'' 〕〔Loghatnāmeh Persian Dictionary - ''definition of maze'' 〕。 レバノン料理をはじめとするアラブ料理およびカフカース地域(特にアルメニアとグルジア)では、この料理はコース料理の一部として、アペタイザーとして供される〔Alan Davidson, ''The Oxford Companion to Food'', Oxford University Press, 1999, pp. 500-501.〕。アルコール類と共に供されない場合、メゼはアラブ世界では「ムカッビラート」(مقبلات、''muqabbilat''、「前菜」)と呼ばれる。 == 各国での種類 == トルコと北キプロス・トルコ共和国では、メゼはラク(アニス風味の食前酒)と共に メイハネと呼ばれる料理店で供される。トルコのメゼには、ベヤズ・ペイニル(''beyaz peynir''、フェタチーズに似た白いチーズ)、カヴン(''kavun''、メロン薄切り)、アジュル・エズメ(''acili ezme ''、クルミ入りトウガラシペースト)、ハイダリ(''haydari''、レバントのラブネに似た濃い水切りヨーグルト)、パトゥルジャン・サラタス(''patlıcan salatası''、冷たいナスのペースト状のサラダ)、カラマル(''kalamar '')、エンギナル(''enginar''、アーティチョークの料理)、ジャジュク(''cacık''、ザジキに似たキュウリとニンニクのヨーグルト和え)、ピラキ(''pilaki''、豆や野菜をオリーブ油で炒め煮にした料理)、ドルマやサルマ(ブドウの葉やピーマンなどの野菜に肉や米を詰めた料理)、キョフテ(、ミートボール)がある。 ギリシャとキプロスでは、メゼ、メゼス、あるいはメゼデスというと冷製または温製の、辛味、酸味、塩味のきいた軽食および主菜を少量供したものを指す。十数種類の異なる料理が、複数の小皿あるいは大皿の各部分に少しずつ盛りつけて供される。メゼでは「小さな魚」やグリルしたタコのような魚介類料理、小皿に盛ったサラダ、カラマタ産オリーブ、煮たエンドウマメ、揚げた野菜、メリザノサラタ(、ナスのペースト状のサラダ)、タラモサラタ(カラスミやたらこをパンやマッシュポテト、レモン果汁、酢やオリーブ・オイルと混ぜた料理)、ナッツとドライフルーツ、サガナキと呼ばれる焼きチーズ、および様々なギリシャのヒツジ、ヤギ、またはウシのチーズ(フェタ、カセリ、ケファロティリ、グラヴィエラ、マヌリ、メツォヴォーネ、ミジトラ等)が供される。他の小皿料理には、ベクリメゼ(肉のシチュー)、ケフテデスやスズカーキャのようなミートボールがある。メゼは「メゼドプリオン」(''mezedopoulion'')と呼ばれるレストランで飲み物と共に供される他、ウーゾやチプロのような飲料を供するチプラディコやウゼリと呼ばれるカフェでも供される。タベルナやエスティアトリオといったレストランもまたメゼをオレクティコ(orektiko、前菜)として供する。ちょっとした集まりでも通常、ホストは客にメゼを振る舞う。クラソメゼデス(Krasomezethes、ワインのメゼ)はワインに適するメゼであり、ウーゾメゼデス(Ouzomezethes)はウーゾに合うメゼである。 レバノンおよびキプロスで、メゼは食事となることもある。菜食のメゼの他、肉または魚のメゼがある。食卓に一度に4〜5皿が出され、通常5〜10種類の組合わせがある。料理には決まった順序があり、オリーブ、タヒーニ(ゴマペースト、)、サラダおよびヨーグルトの後に野菜と卵料理が続き、次に肉料理と魚料理の小皿が特別な付け合わせと共に出され、最後に魚を丸ごと用いた料理や肉のシチューやグリルが主菜として供される。料理店ごとに異なる料理が供され、店ごとに名物料理があるが、順序の傾向は同じである。供される料理は自然と季節を反映する。例えば晩秋には、巻貝が肉のメゼの旬の具材となる。大量の料理が供されるが、すべての料理を食べ終える必要はない。客はお互いにメゼを交換して食べたりもする。キプロスではメゼは社交行事である。 セルビアで、メゼにはチーズ、カイマック(凝固したスイギュウのクリーム)、サラミ、燻製ハム、クーレン(、風味付けソーセージ)、様々な種類のパンがある。一方ボスニア・ヘルツェゴビナで、メゼには通常、固いチーズやクリーミーなチーズ、カイマックまたはパヴラカ(''pavlaka'')として知られるスメタナ、スホ・メソ(''suho meso''、乾燥させた塩味の燻製牛肉)、ピクルスおよびスジュック/スジュク(、乾燥した辛いソーセージ)がある。 アルバニア式のメゼの大皿には通常、プロシュット、サラミ、フェタに似た塩水漬けチーズ、オリーブ・オイルとニンニクでマリネした焼いたピーマンや緑オリーブを添えて供される。 北アフリカのピエ・ノワールの食文化では、メゼに似たケミア(kémia)という前菜をとる習慣がある。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「メゼ」の詳細全文を読む 英語版ウィキペディアに対照対訳語「 Meze 」があります。 スポンサード リンク
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