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メルクリウス () はローマ神話のデイ・コンセンテス () の一人であり、商人や旅人の守護神である〔スチュアート・ペローン 『ローマ神話』 中島健訳、青土社、1993年、p. 106, pp. 115-120.〕。英語読みでマーキュリー () とも表記される。 == 概要 == ギリシア神話の神々の伝令使ヘルメースと同化し、雄弁家、盗賊、商人、職人の庇護者とされた。ヘルメースと融合する前の元来の職能や性格は明瞭でないが、その名は (商品、財貨)に関係があるとも言われる商業の神である〔呉茂一 『ギリシア神話(上)』 新潮社〈新潮文庫〉、昭和54年、236頁。〕。ニュンペーのラールンダとの間にラールたち(ラレース)をもうけた。 メルクリウスの神殿は紀元前496年にアウェンティヌス丘の上に建てられたとされるが、これはローマの聖所ポメリウムの外にあったため、元からローマにいた神ではなく、外部から来た神と考えられている。 ローマ暦では、水曜日をメルクリウスの日 Diēs Mercuriī (ディエース・メルクリイー)としている。 タキトゥスは『ゲルマーニア』において、ゲルマン人が最も崇拝する神をメルクリウスと呼んだが、これはゲルマン神話の主神ウォーダンのことであったと考えられている。英語の Wednesday は「メルクリウスの日」を古英語で「ウォーデンの日」と翻訳したことに由来する。 別名をメルクリウスともエジプト人ヘルメスともいうヘルメス・トリスメギストスは、ヘルメス主義を象徴する神話的人物であるが、後世、ヨーロッパ中世およびルネサンス期において、錬金術の考案者にして諸学と技芸の祖であると考えられた。 カール・グスタフ・ユングは「メルクリウス」について次のように述べる。 「メルクリウスは(錬金術でいうところの、即ち、無意識の)作業(オプス)の始めに位置し、終りに位置する。 メルクリウスは原初の両性具有存在ヘルマプロディートスであり、一旦は二つに分れて古典的な兄-妹の対の形を取るが、最後に「結合」において再び一つに結びつき、「新しい光」、即ち、「賢者の石」という形態をとって光り輝く。 メルクリウスは金属であるが同時に液体でもあり(「メルクリウス=水星」を象徴する金属は水銀)、物質でもあるが同時に霊でもあり、冷たいが同時に火と燃え、毒であるが同時に妙薬でもあり、『諸対立を一つに結びつける対立物の合一の象徴なのである。』」 「メルクリウス」の変容性と多様性は錬金術の根本表象であり、即ち、「メルクリウス」は我々の無意識、心的世界の一つの表象といえる。 「ライオンとユニコーン」は共に、錬金術における「メルクリウス」の象徴であるとされる。他に、「鳩、鹿、鷲、龍」なども「メルクリウス」の同義語とされる。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「メルクリウス」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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