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モニター艦 : ミニ英和和英辞書
モニター艦[もにたーかん]
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〔語彙分解〕的な部分一致の検索結果は以下の通りです。

: [ちょうおん]
 (n) long vowel mark (usually only used in katakana)
: [かん]
  1. (n,n-suf) warship 

モニター艦 : ウィキペディア日本語版
モニター艦[もにたーかん]
モニター艦(モニターかん)あるいはモニターとは軍艦の一種で、比較的小型で低乾舷の船体に、相対的に大口径の主砲砲塔式に搭載したものを指す。基本設計に着目した分類であるため、性能や用途は艦によって異なる。モニターの語は、最初期の例である南北戦争時のアメリカ軍艦モニター (USS Monitor) の艦名に由来する。広義の砲艦の一種に含まれる。
大きく分けると、沿岸や内水域での対艦戦闘を目的としたものと、対地攻撃を目的としたものに分類することができる。いずれも乾舷が低く航洋性能が乏しい傾向があり、移動砲台的な性格を持つ点で共通する。前者は、用途に着目すると海防戦艦の一形態とも見ることができる。
== 目的別の歴史的経過 ==

=== 対艦戦闘を目的としたモニター艦 ===

アメリカ南北戦争において北軍がモニター (USS Monitor) 級を、水路封鎖と対地攻撃に用いた(→ハンプトンローズ海戦)のが、一般に歴史上最初のモニター艦だと言われる。これは軍艦に砲塔が搭載された最初期の例でもある。
南北戦争で一定の成功を収めたことをきっかけに、建造費用のわりに強力な沿岸防衛用軍艦としてモニター艦は世界に広まった。初代モニターの設計者であるジョン・エリクソン自身も、スウェーデン海軍向けにモニター艦を設計している。これらのモニター艦に共通する特徴としては、強力な主砲塔と装甲のほかに、マストなどの帆走設備を持たないことと、極端に低い乾舷としていることである〔ただしペルー海軍太平洋の戦争で使用したワスカル等は、帆走設備を有する通常型の船体にも関わらず、モニター艦のひとつに数えられることがある。厳密には砲塔艦に分類される。〕。この特徴は、砲塔の射界を確保して少数の大口径砲で高い攻撃力を実現し、標的面積を減少させ、装甲を集中することで防御力も向上でき、帆装の操作人員も削減できるメリットがある。
当時実用化されていた艦船用の最新動力は蒸気レシプロエンジンであった。しかし、直立シリンダー形では低いシルエットと重心を得ることは難しく、さりとて、水平形で推進軸を船体中心線付近とするには配置と重量の左右不均衡を招く。そこで左右対称の構造で、ピストンの両側にコネクティングロッド(コンロッド)を持つ水平還動式の「トランクエンジン」に着目し、これを改良することとなった。トランクエンジンはピストン棒が無く小型化には適するが、コンロッドの動作角度の制限(トランク径の限界)から大きなストローク(大きな軸トルク)が得られない欠点があった。そこで、エリクソンはコンロッドをクランクに直付けすることを止め、の両端に長短2本のレバー(てこ棒)を持つレバー軸を新たに設け、短いレバーにピストンからのコンロッドを連結し、長いレバーでストロークを増幅した上でクランクを回すレイアウトを考案した。このレバー軸はトランクエンジンを挟んで左右に1組ずつあり、左右の長いレバーからのコンロッドが中央のクランクでつながるため左右対称となり、船体中心線上への配置と低い甲板の両立が可能となり、さらに必要なトルクも確保できるようになった。これはバイブレーティングレバーエンジンと呼ばれる。
一方、低く小さな船体は、燃料用石炭の搭載限界による航続力の低下、居住環境の悪化、耐波性の低下というデメリットももたらした。デメリットは沿岸防御に用いる分には一応許容できるが、それでもしばしば海難事故を生じる原因となった。作業・滞在空間の不足を補うためには、砲塔上や甲板にテントを張ることがよく行われたが、不便は否めなかった。
イギリスでは、対艦戦闘用モニター艦の一種として、ブレストワーク・モニターと呼ばれる系列の軍艦が建造された。これは船体中央部にブレストワーク(breastwork、胸壁の意)と称する上部構造物を載せ、その上に砲塔を配置したモニター艦である。上甲板に砲塔設置用の開口部を持たないため、船体の水密性が高まり、作業・居住空間が広がるメリットがあった。その代わり、被弾しやすいブレストワーク部には強力な装甲を施す必要が生じ、重量増加や重心上昇を招くデメリットもあった。オーストラリア向けに建造されたサーベラスが代表例である。艦の前後中心線上に砲塔を置くデザインは、航洋装甲艦と融合し前弩級戦艦へと発展する通過点となった。
急激な技術発展が進む中で、19世紀末には早くも上記のような典型的モニター艦は建造されなくなった。砲戦距離が伸び、砲弾の落下角度が増大したことは、低乾舷が有していた標的面積減少のメリットを失わせた。また、上記などの戦訓により、モニター艦の主兵装とする少数の大口径砲よりも、新型の速射砲が実用的であることが判明した上、新たに出現した水雷艇対策にも小口径の速射砲装備が不可欠であり、モニター艦にはそのような改良の余地が乏しかった。さらに機関技術の進歩は、航洋型の軍艦でも帆走設備を縮小・廃止できる状況を生み、モニター艦よりもバランスのとれた設計が可能になっていたのである。もっとも、モニター艦の持っていた小さな装甲船体に相対的に強力な火砲という性格は、一般的な海防戦艦に継承されていく。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
ウィキペディアで「モニター艦」の詳細全文を読む




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