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『ヤコブの手紙』(ヤコブのてがみ)は新約聖書中の一書。『ヤコブ書』とも。 == 著者 == 著者は冒頭部分で、自らを「主イエス・キリストのしもべであるヤコブ」と名乗る。新約聖書にはヤコブなる人物が複数現れるが、その中でこの手紙を書いたと考えうるのは三名である。 #「義人ヤコブ」 # *三世紀の半ば以降、教父たちはイエスの兄弟(カトリック教会の解釈では従兄弟などの親類)で「義人」と呼ばれたヤコブが本書簡の著者であるとしてきた。彼は十二使徒には含まれておらず、パウロが『ガラテヤの信徒への手紙』で「主の兄弟」(1:19)、「教会の三人の柱の一人」(2:9)として言及する人物である。 #「アルファイの子ヤコブ」 # *ジャン・カルヴァンなどは著書は「主の兄弟」ヤコブではなくマタイの兄弟でレビとも呼ばれた「アルファイの子」ヤコブであるという。アルファイの子ヤコブは『マルコによる福音書』15:40に出る「ヤコブ」と同一人物ではないかと考えられるが、この人物についてはほとんど何もわかっていない。 #使徒の一人「大ヤコブ」 # *本書簡の著者をこの「大ヤコブ」であるとする見方はまれである。彼は使徒ヨハネの兄弟でゼベダイの子であったとされる。しかし、彼は早くに殉教していることから、この書簡を彼が書いたとは考えにくい。なぜならヤコブの殉教は紀元44年以前であるが、本書簡が書かれたのはパウロの義化という考えに対する教会内の誤った認識を正すためであり、早くても50年代と考えられるからである。 現代の研究者たちの多くは「ヤコブ」というのは文書に権威を持たせるためのものであり、三人のヤコブの誰かが著者だとは考えていない。すなわち、本書は偽名文書であり、実際の著者は不明である。が、内容からここで著者とされた「ヤコブ」はエルサレム教会において、リーダー格だった「主の兄弟」である義人ヤコブであるとするのが批判的聖書学者のほぼ共通認識である(むろんこの考え方に対しての異論もある)。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「ヤコブの手紙」の詳細全文を読む 英語版ウィキペディアに対照対訳語「 Epistle of James 」があります。 スポンサード リンク
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