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ヤズィード1世 : ミニ英和和英辞書
ヤズィード1世[やずぃーど1せい]
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〔語彙分解〕的な部分一致の検索結果は以下の通りです。

: [ちょうおん]
 (n) long vowel mark (usually only used in katakana)
: [よ, せい]
 【名詞】 1. world 2. society 3. age 4. generation 

ヤズィード1世 : ウィキペディア日本語版
ヤズィード1世[やずぃーど1せい]
ヤズィード1世またはヤズィード・イブン・ムアーウィヤ・イブン・アブー・スフヤーン645年 - 683年يزيد بن معاوية بن أبي سفيانYazid Ibn Muawiyah Ibn Abu Sufyan)はウマイヤ朝の2代目カリフ(在位:680年 - 683年)。ムアーウィヤの子。
イスラムの最高指導者であるカリフは合議によって選ばれていたが、選定は常に紛糾し、結局は新カリフが即位するたびにイスラム世界は分裂の危機にさらされた。カリフの地位の不安定さは、ムアーウィア以前の歴代4人のカリフの内、初代アブー・バクルの他は全員暗殺されていることからも明らかだった。そこでムアーウィヤはカリフの地位を世襲制にすることでイスラム世界の政治的安定を図った。こうして選ばれたのがムアーウィヤの子のヤズィードである。
680年、ヤズィードは父ムアーウィヤから臨終の際に、アリーの子のフサインは今に叛乱を好む者に担がれるだろうが、高貴な血を引く者なのでよく遇せよ、と言い残した。するとヤズィードは父の死後、フサインに忠誠を誓わせようと首都ダマスクスに呼び出した。しかしフサインは忠誠を誓わずにメッカへと逃げた。
この頃、クーファにはアリーが本拠地を置いたこともあってアリーを信奉するシーア派の人々が集まっていた。これらの人々はウマイヤ家の世襲カリフに反発していたので、アリーの子のフサインを迎えてウマイヤ朝を打倒しようと考えた。フサインもこれを聞いてクーファへと向かったが、ヤズィードもクーファの動きは警戒していたのですぐさま軍隊を派遣してクーファを制圧した。そうと知らないフサインはその頃すでにクーファ近郊まで来ており、ヤズィードはフサインを捕えるように軍隊に命令した。しかし、フサインの一行はアーシューラーの日ムハッラム月10日)にカルバラー砂漠において虐殺されてしまう。これをカルバラーの悲劇という。イスラムの預言者ムハンマドの孫であるフサインはイスラム世界において広く尊敬されていたので、この事件でヤズィードはシーア派のみならずスンニ派からも大いに非難された。またこの事件以降、スンニ派とシーア派は完全に分裂し、両者の溝は今でも埋まっていない。
また、クーファやダマスクスに政治や経済の中心が遷り、不満を感じていた人々も、683年にヤズィードに反発してカリフを宣言したアブドゥッラー・イブン・アッズバイルを中心として聖地メッカにて蜂起した。するとヤズィードはメッカへ軍隊を差し向け、街を包囲して攻撃した(アル=ハッラーの戦い)。この時の攻撃ではカーバ神殿が炎上してしまう。それから間もなくヤズィードは急死し(カーバ神殿を焼いた呪いだと人々は噂した)、軍はメッカから退却した(メッカの陥落は3代後のアブドゥルマリクによって達せられることとなる)。
これらの二つの行いにより、ヤズィードはイスラム世界では最も地獄に落ちるべき人であると評価されている。ヤズィードの度重なる失策によってウマイヤ家の権威は失墜し、イスラム世界は再び混乱に見舞われる。また、この後継者人事の失敗によりイスラム最高の政治感覚の持ち主とまで言われたムアーウィヤは、カリフの地位を世襲制の導入によって世俗に落としたという批判に晒されることになった。
==参考文献==

*アミール・アリ『回教史 A Short History of the Saracens』(1942年、善隣社)




抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
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