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ユタ : ウィキペディア日本語版
ユタ

ユタは、沖縄県鹿児島県奄美群島の民間霊媒師(シャーマン)であり、霊的問題のアドバイス、解決を生業とする。
== 概要 ==
桜井徳太郎によれば、日本列島弧において最もシャーマンの活動が顕著なのは東北地方南西諸島である。もっぱら死霊の憑依を受けてトランスに入り、第一人称でその託宣を述べるものを一般に口寄せ巫女と称する。東北地方のイタコ等と同様に口寄せ巫女としての巫儀を展開している呪術宗教職能者は、南西諸島ではユタホゾントキ奄美群島沖縄諸島)、カンカカリャサス宮古列島)、ムヌチニゲービーカンピトゥ八重山列島)等と呼ばれている〔『桜井徳太郎著作集6 日本シャマニズムの研究 下 ‐ 構造と機能 ‐』1988年 「第7章 召名巫の生態と入巫‐沖縄のユタ‐ はじめに‐召名巫のユタ‐」より。〕。
琉球の民間社会において、民衆の宗教的機能を担う職能者は、女性司祭者の祝女(ノロ)、根神(ニーガン)、サス・司(ツカサ)等の神人(カミンチュ)と、シャーマンとしてのユタ等の類に別れる。前者は主として御嶽(ウタキ)グスク等の聖地や御願所(ウグヮンジョ)とか拝所(ハイショ)において部落や村落の公的祭祀や共同体の祈願行事の司祭をする。後者は部落や村落の個々の家や家族に関する運勢(ウンチ)、吉凶の判断(ハンジ)、禍厄の除災(ハレー)、病気の平癒祈願(ウグヮン)など私的な呪術信仰的領域に関与している。神人が聖地の司祭をするにあたり死穢や婦人の血の忌み、出産の不浄を忌避するのに対して、ユタは全く反対に死者儀礼や死霊供養に密着した。その性格、生態、機能など多くの点で両者は相いれないもののようだが、両者とも沖縄民間信仰の底辺を流れるシャマニズムであり、沖縄の民間信仰を支える車の両輪と言える、と桜井徳太郎は述べている〔『桜井徳太郎著作集6 日本シャマニズムの研究 下 ‐ 構造と機能 ‐』1988年 「第7章 召名巫の生態と入巫‐沖縄のユタ‐ 第1節 沖縄のシャーマン‐ユタとユタマンチャー‐ 1 女性神役と民間巫女」より。〕。
ユタは、凡人にはなし得ない霊界のすがたや動きを見通すことのできる霊能力者であると見なされているが〔『桜井徳太郎著作集6 日本シャマニズムの研究 下 ‐ 構造と機能 ‐』1988年 「第7章 召名巫の生態と入巫‐沖縄のユタ‐ 第3節 ユタの成巫過程」より。〕、ユタ信仰は迷信だという観念は沖縄の教育者や知識人の間に一般化しており、公式の場では穢らわしい、はしたないと軽蔑して口にも出さない〔『桜井徳太郎著作集6 日本シャマニズムの研究 下 ‐ 構造と機能 ‐』1988年 「第7章 召名巫の生態と入巫‐沖縄のユタ‐ 第1節 沖縄のシャーマン‐ユタとユタマンチャー‐ 4 ユタマンチャーの出現」より。〕。特に公的な場で活躍することが多い男性からは、体裁をつくろうため軽蔑冷笑される傾向が強かったため、家庭を内的に支える女性が一家の代表者としてユタのもとへ赴く。これにより、家庭の外では知らぬ顔をしている男性も、家の中ではユタの指示に従って行動する家族の在り方に巻き込まれていく。また、ユタへの依頼者は労働者・農民・漁民のみならず、高い地位の官僚・自治体役員・教職員・ビジネスマンが高い確率で含まれる〔『桜井徳太郎著作集6 日本シャマニズムの研究 下 ‐ 構造と機能 ‐』1988年 「第7章 召名巫の生態と入巫‐沖縄のユタ‐ 第2節 ユタの社会的役割 2 地域社会での機能」より。〕。
個人レベルあるいは共同体レベルにおいて、人為の限りを尽くしても、なお解決し得ない問題につきあたったとき、その最終的決断を下すきっかけをユタの吉凶判断(ハンジ)に求めようとする傾向は、現在でも薄れていない〔。
こうしたユタを利用する行為は「ユタ買い(ユタコーヤー)」といわれ、通常は2〜3人のユタの判断を仰ぐ。依頼者はかなりの額の費用を厭うことなくユタに支払う〔。沖縄県には「医者半分、ユタ半分」ということわざが古くからある。
桜井徳太郎は、神と人との間の仲介役は神意を鋭敏に感じ取ることのできるセンシブルな存在でなくてはならず、それを良くなしえるのは古来から感受性の強い女性であったと述べている〔『桜井徳太郎著作集6 日本シャマニズムの研究 下 ‐ 構造と機能 ‐』1988年 「第7章 召名巫の生態と入巫‐沖縄のユタ‐ 第1節 沖縄のシャーマン‐ユタとユタマンチャー‐ 3 ユタの成立」より。〕。ユタは本来女性がなるべきものとされていたが、男性のユタは若干存在する〔『桜井徳太郎著作集6 日本シャマニズムの研究 下 ‐ 構造と機能 ‐』1988年 「第7章 召名巫の生態と入巫‐沖縄のユタ‐ 第3節 ユタの成巫過程 1 ユタ成立の要件」より。〕。
ユタには後述する弾圧の歴史がある。そのため、自身ではユタと言う称号を用いず、また他人からそう呼ばれることに対し反感を抱く者がいる〔。彼らは神人(カミンチュ)、御願者(ウグヮンサー)、御願を捧げる人(ウグヮンウサギヤー)、判断(ハンジ)など神に仕えることを表す名称を好む。また、祭祀・巫儀・卜占の区別が曖昧になってきている昨今の状況を受け、侮蔑的語感を伴うユタという名称より易者を意味する三人相(サンジンゾー)や風水を判断する風水師(フンシー)などの称号を用いる者がいる〔。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
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