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ユナニ医学(ユナニいがく)とは、現在もインド・パキスタン亜大陸のイスラーム文化圏で行われている伝統医学であり〔WHO、R.バンナーマン、、J.バートン、陳文傑 責任編集 『世界伝統医学大全』 津谷喜一郎 訳、平凡社、1995年〕、古代ギリシャの医学を起源とする。中国医学、アーユルヴェーダ(インド伝統医学)とともに、世界三大伝統医学のひとつとされる〔民族薬物資料館 富山大学 和漢医薬学総合研究所〕。ユーナニ医学、ユナニー医学、ユナニティブ、ギリシャ・アラビア医学、グレコ・アラブ医学、アラビア医学、イスラーム医学ともよばれる。「Yunan」ということばは、ペルシャ語で「ギリシャ」(Ionia)という意味で、「Yunani」とは「ギリシャの」(Ionian)または「ギリシャを源にするもの」という意味である。イスラム医学、イスラーム医学と呼ばれることもあるが、イスラーム世界で発展したとはいえ、ネストリウス派キリスト教徒やユダヤ教徒など、多くの異教徒の学者も功績を残している。また、民族的にも非アラブ人であるペルシャ人(イラン人)やトルコ人、インド人、ギリシャ人、エジプト人、シリア人の医師たちも活躍したため〔、厳密には「アラビア人の医学」でも「イスラームの医学」でもなく、広くアラビア世界、イスラーム文化圏で発展した医学を指す。10世紀に確立し、イスラームの拡大とアラビア語の普及に伴い、ヨーロッパやインドでも広く行われた〔。ヨーロッパの大学では、15~16世紀には主にユナニ医学が教えられており、18世紀までイブン・スィーナー(Avicenna, 980-1307)の『医学典範』など、ユナニ医学の文献が教科書として使われていた〔。 ギリシャ医学を受け継ぎ、自然治癒と病気の予防を重視している。生活習慣や環境を病気の原因と考え、生活指導や食材の性質を考慮した食餌療法を行う。理論としては体液病理説がベースにあり、ガレノス医学を受け継ぎ四体液説を採っている。これは、4種類の基本体液のバランスがとれていれば健康で、どれかが優位になれば病気になるとする考え方である。体液の調和を回復させるために、患者の気質と薬剤の性質を考慮し処方され、瀉血や下剤なども用いられる。アッバース朝では交易が盛んになったため(イスラーム黄金時代)、地中海や中近東地域に産するものだけでなく、世界各地の生薬が広く用いられた。西洋近代医学が台頭してからも、ヨーロッパでは19世紀まで治療に活用された。 == 理論 == ユナニ医学の基本は、体液病理説であるが、それは「人間の身体には数種類の基本体液があり、その調和によって身体と精神の健康が保たれ、バランスが崩れると病気になる」というものであり、古代ギリシャやインドで唱えられた。ユナニ医学はガレノス理論を受け継ぎ、基本体液を4種類とする「四体液説」を採っている。また、人に気質があるのと同様に、食材や生薬にも「熱・冷・湿・乾」の4つの基本性質があると考えられており、患者の気質と食材・生薬の性質を考慮して食餌指導や薬の処方がなされた。 ユナニ医学では、身体は次のものから作られているとみなされている。 # 要素(元素)(Arkan):身体の基本的な構成要素を含む。自然界に存在するものは空気・火・土・水の四大元素から構成され 、神が定めた法則に則って運用される。 # 気質 (Mizaj):身体の物理化学的な面を含む。自然界に存在するあらゆるものが気質を持つ。 # 構成的要素 (Akhlat):身体の体液を含む。 # 完全に発育し成熟した器官 (A’da):身体の解剖学を含む。 # 活力または生命力 (Ruh):活力、生命力。 # 体力 (Quwa):エネルギー。 # 肉体的な機能 (Af’al):生化学的な過程を含む身体の生理学を包含する。 これらの内、気質(Mizaj, マザージュ)が重視され、病理、診断、治療の基礎になっている〔。人によって優位な体液があり、体液の過少と人の気質には関係があると考えられている。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「ユナニ医学」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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