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ヨイク : ウィキペディア日本語版
ヨイク

ヨイク (: Joiku、: joik あるいは yoik) は、サーミ人文化における伝統歌謡あるいはその歌唱法のことである。 luohtivuolleleu'ddjuoiggus などとも表記される。ヨイクという語は元々はいくつかあるサーミ人の歌唱法のうちの一つを差していたが、英語表記の joik は一般にサーミ人の伝統歌謡全般を指す。現在まで文化の中で生き続けている伝統歌謡としてはヨーロッパで最古の部類であり、サーミ人の民謡といえる〔Tradisjonell klassisk joik - Traditional Classical Sami Yoik - Arbevirolas Luohti 〕。ヨイクは歌詞やその文化に特有の意味を持たないという点でイヌイット以外のカナダ先住民 (ファースト・ネーション) の詠唱と共通点が見られる〔Wimme Saari Shamanistic chant meets modern electronics〕。サーミ人のキリスト教化の過程でヨイクは罪深いものとされ、またノルウェーへの同化政策においても教会組織から罪と関連づけられたため、ヨイクは衰退した。1950年代にはサーミ人の居住地域では学校教育においてヨイクが禁止されていた。ヨイクには宗教的側面があり、ノアイデキリスト教以前の原始宗教との関連が深かったことも、当時に論争の対象となった原因となった。しかし弾圧されている間も、ヨイクはサーミの文化に非常に深く根ざしていたために完全に途切れてしまうことはなかった。現代でもヨイクは歌い継がれ、さらに新しい音楽にも影響を与えている。
== 宗教的意味 ==

ヨイクはラップランドのサーミ人に特有の歌唱法である〔Yoik of the Wind Shamanistic chant meets modern electronics〕。非常に霊的なものであるとされており、個人、動物、あるいは何らかの人格的なものを想定する自然環境に対して捧げられるものであった〔Tradisjonell klassisk joik - Traditional Classical Sami Yoik - Arbevirolas Luohti 〕。即興でうたわれることが珍しくなく、捧げられる対象によって変えてうたわれた。ヨイクを歌うことを意味する動詞 (北部サーミ語では ''juoigat'') は他動詞であり、つまり歌うことそのものよりも、何を対象とするかが重要であり、それは直接的には個人や場所ではない。ヨイクを歌うことによって対象となる人や自然のものを表す。友人を対象としたヨイクは、友人のことを歌詞で表す歌ではなく (歌詞がないため)、ヨイクそのものが言語によらず直接に友人を表すということである。絵画で言えば、花の絵は花について述べたものではなく、花そのものを表したものであるのに例えられる。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
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