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『ヨブ記』(ヨブき、ヘブライ語:סֵפֶר אִיּוֹב)は、旧約聖書に収められている書物で、ユダヤ教では「諸書」の範疇の三番目に数えられている。ユダヤ教の伝統では同書を執筆したのはモーセであったとされている〔『バビロニアン・タルムード』 バーバー・バトゥラ 14.72〕が、実際の作者は不詳。紀元前5世紀から紀元前3世紀ごろにパレスチナで成立した文献と見られている〔関根 (1971), pp.227-228〕。ヘブライ語で書かれている。『ヨブ記』では古より人間社会の中に存在していた神の裁きと苦難に関する問題に焦点が当てられている。正しい人に悪い事が起きる、すなわち何も悪い事をしていないのに苦しまねばならない、という『義人の苦難』というテーマを扱った文献として知られている。 == 構造 == 『ヨブ記』は平易なヘブライ語で書かれており、 #散文調の導入(1:1~2:13)及び終結(42:7~42:17) #ヘブライ語独特の韻文調の議論(3:2~42:6) の二つに大きく区分される。原典はマソラ本文であるが、死海文書との相違点はほとんどなく、長期にわたって正確に伝承されてきたといえる。 散文調と韻文調の表現方法の相違はマソラ学者の間では久しく知られていた。このため散文に用いられるタアミーム(抑揚記号)の形式を決定するのとは別に、詩文学(『ヨブ記』、『箴言』、『詩篇』)のためのタアミームについても議論を重ねることになった。また、この相違によって『ヨブ記』の執筆には多数の著述家が関わっていると結論する研究がもたらされたりもした。 文書に不整合があり、『ヨブ記』は複数の別文書を編集して作成されたのではないか、エリフや神の示現は後世代の追記ではないか、難解な表現はアラム語やセム語等の転写ではないか等の議論が絶えず、元々複数の文書であったものを、モーセ五書の時代から紀元前数世紀の長期にわたって一つの文書にまとめ上げられたのではないかとも考えられている。 なお『ヨブ記』には一般的悪魔の王と思われているサタンが神の僕として現れている。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「ヨブ記」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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