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ランキンサイクル : ミニ英和和英辞書
ランキンサイクル[らん]
=====================================
〔語彙分解〕的な部分一致の検索結果は以下の通りです。

ラン : [らん]
 【名詞】 1. (1) run 2. (2) LAN (local area network) 3. (P), (n) (1) run/(2) LAN (local area network)

ランキンサイクル : ウィキペディア日本語版
ランキンサイクル[らん]
ランキンサイクル (Rankine cycle) は、
ボイラ(蒸気発生器)と蒸気タービン(蒸気機関)を主たる構成要素とする
熱機関の理論サイクルである。
この熱機関の理論を、最初にサイクルとして確立したイギリスの工学者で物理学者
ウィリアム・ランキン(William John Macquorn Rankine, 1820-1872)
の名にちなんでいる。
クラウジウスサイクル、クラウジウス・ランキンサイクル、
蒸気原動所サイクル、蒸気サイクルと称されることもある。
ランキンサイクルとよぶ場合は、後述の再熱や再生を行わない単純サイクルを指す場合が多いが、
再熱、再生サイクルも含めて、蒸気原動所で用いられているサイクル(蒸気原動所サイクル)を
広い意味でランキンサイクルと見なすことができる。
内燃機関等の他の熱機関の理論サイクルと比較して、以下のような特徴がある
〔石谷清幹 他、『蒸気工学』(1962)、
コロナ社 ISBN 4-339-04013-4〕
〔一色尚次 他、『新蒸気動力工学』(1984)、森北出版 ISBN 4-627-60021-6〕。
# 作業流体(通常は水)の等圧での蒸発・凝縮を利用するため、等温で熱を授受する部分が多くなり、カルノーサイクルに近くなる。このため、比較的狭い温度範囲でも、良好な熱効率を維持できる。
# 比体積の小さい液相での圧縮となるため、タービンで得る仕事に比べてポンプ所要仕事が少なくて済む。
# 蒸気動力自体大出力向きであり、特にタービン形式の場合は小型では極端に効率が悪く、小出力には不向きである。
このサイクルの現在における主な用途は、
汽力発電(火力発電原子力発電)および超大型船舶の主機である。
タービンの代わりにピストン・シリンダによる往復動式蒸気機関を用いても、
同一のサイクルとなる。
== 単純ランキンサイクル ==

ファイル:Simple_Rankine_Cycle_Schema.svg|図 1. 単純ランキンサイクルの構成
ファイル:Simple_Rankine_Cycle_T-s_Chart.svg|図 2. 単純ランキンサイクルの T-s 線図

ランキンサイクルの構成を図 1 に示す。各装置の動作は下記のとおりである。
# 給水ポンプ(P) --- 復水器に溜まった低圧の飽和水を取り出し、ボイラ圧力まで加圧して給水する。通常、多段タービンポンプが用いられ、複数のポンプを直列に接続する場合は、最初の(低圧の)ポンプを復水ポンプとよんで区別する。摩擦等を無視すれば、等エントロピー圧縮となる。
# ボイラ(B) --- 通常、各種水管ボイラ貫流ボイラが用いられ、管内を流れる水を周囲(または片側)より加熱し、最終的に過熱蒸気とする。加熱を受け持つ部位により、節炭器、蒸発器、過熱器等と区別してよばれる。実際には少なからぬ圧力降下を伴うが、これを無視すると等圧加熱となる。
# タービン(T) --- 過熱蒸気を固定翼列と回転翼列を交互に通過膨張させて、タービン軸から仕事を取り出す。膨張に伴って圧力と温度が降下し、最終的には高かわき度の湿り蒸気となる。復水器につながる出口は、真空に近い低圧となっている。タービン内でかわき度が大きく低下する(90%以下)のは、湿り損失およびタービン翼のエロージョンの点で好ましくない。蒸気と水滴の流体まさつ等の影響を無視すれば、等エントロピー膨張となる。
# 復水器(C) --- タービンを出た高かわき度湿り蒸気は、復水器内で冷却されて飽和水となる。復水器は一種の管胴形熱交換器であり、管内に冷却水(海水)を通し、管外の蒸気を凝縮する。管外の蒸気側は冷却水温でほぼ決まる低圧に維持され、等圧冷却となる。凝縮水(復水)は復水器内底部に溜まるが、これがさらに冷却されてサブクール水となることは、この後のボイラで必要な加熱量の増加となり、まるまる損失となる。このため、タービン排気が直接復水に接触するように冷却水を通す伝熱管を配置しているので、復水器出口は飽和水となる。
上記の説明は、主に火力発電や大型船舶主機を念頭に置いている。
原子力発電の場合は、加圧水型原子炉では蒸気発生器が、
沸騰水型原子炉では原子炉そのものがボイラの役目を果たす。
いずれの型であっても構造上の制約から、
発生蒸気はほぼ飽和蒸気の状態でタービンへ送られる点が異なるだけである。
蒸気機関車で用いられるサイクルでは、
タービンの代わりに往復動式の蒸気機関が用いられるのに加えて、
復水器が無いことが大きな違いである。
この理由は、復水器が大きなスペースを要することの他に、
蒸気機関の排気を煙突から勢いよく放出することにより
ボイラー内の通風を良くして燃焼を助けるとの積極的な目的がある。
排気を放出して新たにボイラに給水するので、
大気が復水器の代りを果たしており、
復水器圧力が大気圧になったサイクルと同等である。

上記のように、等圧変化、等エントロピー変化を仮定したとき、
T-s 線図上のランキンサイクルは図 2 のようになる。
ただし、T-s 線図のサブクール水領域の等圧線は、実際はほぼ飽和水線に重なるので、
ここではその間隔を拡大して表示している。
また、-50 ℃ 以下の温度範囲を割愛している
〔-273.15 ~ -50 ℃ ( 0 ~ 223.15 K )の範囲を割愛しているので、
T-s 線図の面積を熱量に対応させるには、
図の下方の割愛した部分を補って考えることが必要である。〕。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
ウィキペディアで「ランキンサイクル」の詳細全文を読む




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