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『リアリズムの宿』(りありずむのやど)は、つげ義春の漫画。また、後に本作品および、同じくつげの『会津の釣り宿』の2作品を原作として2003年(平成15年)に制作された山下敦弘監督の日本映画。 ==漫画== 1973年(昭和48年)発表の作品で、一連の「旅もの」の中でも秀逸かつコミカルな点で『庶民御宿』と双璧をなす。つげのユーモアのセンスとサービス精神が遺憾なく発揮され、最後のオチも決まっており完成度が高い。 作中には作品の舞台となった冬の暗く貧しげな鰺ヶ沢の町がリアルに描かれており、作品の「悲壮さ」をいっそう高めるのに役立っている。「鰺ヶ沢は漁港の町で床屋がやたら多い……」と紹介されるくだりがあるが、事実床屋と美容院が異常に多い。実在の地名を使っているため、ストーリーも事実ではないかと推測されるが、実際に貧しい宿に泊まったこととディテールの挿話以外は、つげのほぼ完全な創作である。作中に登場するラーメン屋で教えてもらった商人宿の「エビス屋」も実在しない。作品のオチには、芥川龍之介の『蜘蛛の糸』の一説が引用され、効果を上げている。 隣室から朗読が聞こえたというのは、フィクションではなく、実際に宿の子が遅くまで勉強していたが、『蜘蛛の糸』ではなく、このエピソードはつげが実家へ帰った際に妹が昔使っていた教科書を見たら『蜘蛛の糸』が載っていたことを思い出し、利用したが最初から使ってやろうと意図したものである〔『つげ義春漫画術』(上・下)(つげ義春、権藤晋著 1993年ワイズ出版)ISBN 4-948-73519-1〕。それ以外にも漫画中に実話のディテールをいくつか挿入している。つげは後に「あの宿は本当に惨めな宿でした」と回想している〔『東京人』(都市出版)2014年7月号 28P〕。 当時つげは、ようやく一般誌にも描けるほどになっていたが、仕事は少なく水木しげるの仕事も辞め、将来の不安を感じ侘しさを抱えていた。漫画のネタを仕入れにわびしい場所へ行くという設定は、つげ自身の当時の心境を具現したものである。『蜘蛛の糸』のラストシーンでは心情が露わになるが、自分自身を客観視し、計算して描いたのだという〔。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「リアリズムの宿」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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