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山村 貞子(やまむら さだこ)は、鈴木光司の小説およびその映像化作品『リング』シリーズに登場する架空の人物。超能力者。 劇中に登場した時点では既に故人であったという設定だが、現世に未練や恨みを残し、見た者を呪い殺す「呪いのビデオ」を発端として災禍を巻き起こす。また続編では現世への復活を遂げるなど、シリーズを通しての元凶として登場する。原作の描写によれば、色白黒髪で長身華奢、大人びた顔立ちの美女である一方、半陰陽者という身体的特徴を持つという設定である。ただし貞子の設定はメディアごとに異なっており、貞子を有名にした1998年の映画版『リング』では、白のワンピースに長い前髪で顔を覆い隠した女性として登場し、終盤ではテレビから這い出てくる恐ろしげな怪物として描かれた。 == 概要 == 登場人物としての初出はシリーズ第1作として1991年に出版された鈴木光司のホラー小説『リング』である。同作は、主人公・浅川和行が親戚の不審死に疑問を抱いたことをきっかけに、友人の高山竜司と共に、映像を見た者を7日後に呪い殺すとされる「呪いのビデオ」の来歴に迫っていくという筋立てになっており、物語中盤で「呪いのビデオ」を作成した人物として超能力者「山村貞子」の名が浮上する。浅川と高山は貞子の詳細な経歴を調べ、この世に恨みを抱いて死んだ貞子が怨念となってビデオを念写したという結論に至り、古井戸に遺棄されていた遺体を供養することで事件の解決を試みるが、試みは成功せず、高山は貞子に呪い殺されて死亡する。 原作小説『リング』における貞子は一連の事件の元凶ではあるものの、作中には直接登場しない人物として描かれ、物語のクライマックスでも高山は「ヒタヒタと近づきつつあった」漠然とした死の気配に恐怖しつつ、鏡に映る腐乱した「百年先の自分の姿」を幻視して死亡するという描写になっている〔『リング』文庫版、§4.3、300-304頁。〕。一方、後に制作された1998年の映画版『リング』では、胸元まで伸びた長い前髪で顔を隠した女性のイメージとして幾度か映像に登場し、クライマックスでは貞子自身が鏡ではなく、テレビに映った「呪いのビデオ」の映像の中から前髪を振り乱しながら這い出て、直接高山の自室に現れるという映画版独自の描写がなされた〔。恐怖にすくむ高山へと奇怪な動きでにじり寄り、前髪の間から片目のみを覗かせ、白目を剥いた凄惨な形相で彼を睨み殺すこの場面は、映画の中でも特に衝撃的な場面として描かれており〔リング研究会1998年、79頁。〕、後のリメイク映画でも踏襲されたほか、様々なパロディも作られた。映画版のクライマックスにおける描写は日本国外でもよく知られており、この演出は貞子の存在を原作小説や映画から独り立ちさせてしまうほどの成功を収めた〔。貞子は当時を代表するホラーヒロインとなり、その後も人々の記憶に〔、ひいては映画史に名を残すような登場人物となった〔。 原作小説の第2作である小説『らせん』は、高山の司法解剖に立ち会った新たな主人公・安藤満男が、貞子の呪いが人体にどのように作用して死をもたらすのかという原理を、医学的な見地から探っていく内容である〔。安藤は呪いの正体が、映像を見た者に感染し心臓に作用する「リングウィルス」であることを突き止めるものの、貞子は同作でも黒幕的な立場で暗躍し、物語半ばで現世への復活を果たす。物語は貞子の勝利で締め括られ、貞子の呪いが「呪いのビデオ」のみならず、小説や映画といったメディアを通して世界へと広まっていくという絶望的な未来が提示される。 原作小説の3部作の最終作となるSF小説『ループ』における貞子は、主人公の二見馨が近未来の世界に蔓延している「転移性ヒトガンウィルス」の謎に迫っていく過程で、環境シミュレーター上に蔓延する、コンピュータウイルスによって変異した仮想生命体「ヤマムラサダコ」として登場する。同作では、前2作の世界が環境シミュレーター内に再現された仮想世界であることが明かされ、人類は貞子に対抗する手段を得ることになる。その後発表された外伝作品『バースデイ』は短編小説集となっており、収録作品のうち「空に浮かぶ棺」では『らせん』における貞子復活の詳細が、「レモンハート」ではかつて貞子に想いを寄せていた男性・遠山博の回想を通して生前の貞子の姿が描かれ、「ハッピー・バースデイ」では『ループ』後における貞子の末路が描かれている。原作小説のリングシリーズは3部作と『バースデイ』でいったんの完結を迎えるものの〔、2012年からはシリーズが再開し、小説『エス』『タイド』にも貞子が登場している〔。 このほか関連作品として、『リング』シリーズを原作とする映画やテレビドラマや日本国外向けの翻案作品のほか、『らせん』とは別の未来を描いた映画オリジナル作品『リング2』『ザ・リング2』など、原作の設定を下敷きにしつつも独自の物語が描かれた複数の派生作品が作られている。映画『リング0 バースデイ』は「レモンハート」を元にしつつも貞子の視点で独自の物語が描かれ、連続ドラマ『リング〜最終章〜』『らせん』では原作とは異なる設定の物語が描かれているなど、貞子の設定にも作品ごとに差異がある。 2016年の夏には、『リング』シリーズと同様に「Jホラー」の人気シリーズ『呪怨』に登場する「伽椰子」と「悪夢の“ 怖 ”演」を果たすスピンオフ最新作『貞子vs伽椰子』が公開予定。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「山村貞子」の詳細全文を読む 英語版ウィキペディアに対照対訳語「 Sadako Yamamura 」があります。 スポンサード リンク
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