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===================================== 〔語彙分解〕的な部分一致の検索結果は以下の通りです。 ・ ー : [ちょうおん] (n) long vowel mark (usually only used in katakana)
リーリン (Reelin) は、神経細胞の移動と発達中の脳での中での位置の固定の過程の制御を補助するタンパク質である。この初期の発達における重要な機能の他に、リーリンは成体においても長期増強の誘導によるシナプスの柔軟性の調節等を行う等、働きを続けている〔〔。また、樹状突起〔や樹状突起棘〔の発達を促進し、脳室下帯等の成体の神経細胞新生箇所からの移動を調整し続ける。リーリンは脳だけで見られる訳ではなく、脊髄や血液、その他の器官や組織でも見られる。 リーリンは、いくつかの脳の疾患の発病に関わっていると指摘されている。例えば、統合失調症や双極性障害の患者の脳では、このタンパク質の発現量が少なくなっている。しかし、本当の原因は未だ不明であり、レベルが変化することを説明しようとする後生説〔についても反対の証拠がいくつか挙がっている〔〔。リーリンが全く欠如すると脳回欠損を引き起こす。また、アルツハイマー病や側頭葉てんかん、自閉症等にも関わっていると言われている。 ==発見== 異常なふらつき歩行 (reeling gait) を見せるネズミの脳でこのタンパク質のRELN遺伝子が突然変異し、ホモ接合していることが発見されたことから、リーリンと名付けられた〔。リーリンの機能の喪失に伴う主な表現型は、中枢神経系の発達過程における神経細胞の位置調整の失敗である。リーリンの遺伝子がヘテロ接合したネズミは、神経解剖学的な異常はほぼないものの、精神疾患と関連した中間表現型の特徴を見せる〔。突然変異を誘発したネズミを使うことによって、中枢神経系の発達過程における分子機構に関する洞察を得ることができる。天然での有益な突然変異は、無意識行動を研究する学者によって最初に発見され、ケージの周囲での運動に障害を持つことから子孫を見分けるのは比較的容易であることが証明された。このようなネズミは多くの種類が発見され、その症状に応じて、reeler、weaver、lurcher、nervous、staggerer等の名前が与えられた。 reelerは、シャーロット・アワーバックの保持するネズミのコロニーの中からエディンバラ大学のダグラス・スコット・ファルコナーが発見し、1951年に最初に記述された〔。1960年代の組織病理学の研究により、reelerの小脳はサイズ極端に小さくなっており、脳のいくつかの領域に見られる通常のラミナ組織が分離しているのが明らかになった〔。1970年代には、大脳新皮質の細胞層が逆位していることが発見され〔、reeler突然変異はさらに多くの注目を集めることとなった。 1994年、突然変異源処理によりreelerの新しい対立遺伝子が得られた〔。これは遺伝子座の最初の分子マーカーとなり、RELN遺伝子は7q22染色体にマッピングされ、クローニングされた〔。高知医科大学の日本人研究者は reelerの体内で通常の脳の抽出物に対する抗体を作り出し、後にこれらの抗体はリーリンのモノクローナル抗体に特異的であることが発見され、CR-50 (Cajal-Retzius marker 50)と名付けられた〔。CR-50は当時機能未知だったカハール・レチウス細胞に特異的に働くとされている。 リーリンの受容体であるapolipoprotein E receptor 2 (ApoER2) とvery-low-density lipoprotein receptor (VLDLR) は、細胞質の受容体タンパク質Dab1を研究していたTrommsdorff, Herzらによって発見された〔。後に彼らは、ApoER2とVLDLRをともに破壊したノックアウトマウスは、reelerと似た皮質の層の異常を見せることを示した〔。 リーリンの下流の経路の研究は、yotariやscrambler等、他の異常行動を示すネズミの解明にも役に立った。これらの突然変異種は、reelerと同じような表現型を示すが、リーリンの突然変異は持たない。その後、yotariではDab1遺伝子が欠け、scramblerではほとんど検出されないことが明らかとなり、ネズミの''disabled homologue 1'' (Dab1) 遺伝子はこれらの突然変異種の表現系を支配していることが示された〔。Dab1の標的破壊はreelerと同様の表現系を示すことも分かった。 続いて、リーリンの遺伝的多様性と統合失調症、アルツハイマー病、自閉症等の高度な機能不全との間の関係を推測する一連の論文が出された。このタンパク質をコードする遺伝子が発見されて13年後の2008年時点で、タンパク質の構造や機能の様々な面に焦点を当てた数百の科学論文が投稿された〔。2008年に出版された"Reelin Glycoprotein: Structure, Biology and Roles in Health and Disease"という本では、これらの論文の概要がまとめられている〔。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「リーリン」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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