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ルイス島のチェス駒(ルイスとうのチェスごま、Lewis Chessmen)とは、スコットランド北西部アウター・ヘブリディーズのルイス島で1831年に発見された78個のチェス〔ただし製作された当時のチェスは駒の動きなどのルールが現在のものとは異なり、むしろシャトランジに近かった。〕の駒のことをさす。制作年代は12世紀と推定され、一部を除いてセイウチの牙から作られている。元の組み合わせは不明ではあるものの、中世のものとしては珍しく、全ての種類の駒がそろって発見されている。現在、大英博物館が67個、エディンバラのスコットランド国立博物館が残りの11個を収蔵、展示している。 == 駒の特徴 == ほとんどの駒はセイウチの牙を彫って作られているが、いくつかはハクジラの歯を材料としている。78個の駒の内訳は、王(キング)が8個、王妃または大臣(クイーン)が8個、司教(ビショップ)が16個、騎士(ナイト)が15個、戦士または番兵(ルーク)が12個、歩兵(ポーン)が19個である。ポーンが19個しかないが(通常1セットにつき16個必要)、それぞれの駒の大きさの違いから、本来少なくとも5セット分あったのではないかと考えられている〔Robinson, p. 30.〕。駒のサイズは、それぞれの駒にも大きさにばらつきがあるが、最も大きなキングの高さが10.6cm、最も小さなポーンが4cm〔ケイギル, pp.164-167.〕である。 ポーンのみ幾分小さく抽象的な形状をしているが、それ以外の駒はすべて具象的な人型である。キングは王冠を被り、剣を膝に置いて玉座に座った姿をしている。クイーンも同じように冠を被り玉座に座っているが、剣は持たず片手を頬に当てている。ビショップは全て司教冠を被り司教杖を持つが、何体かは本を持っていたり椅子に座っていたりする。ビショップの駒の由来であるゾウを示す要素は無い。ナイトは鎧兜に身を包み、槍と盾を構えて不釣り合いな程小さな馬にまたがっている。ルークは現在のような塔や城を模した姿ではなく、剣と盾で武装した兵士あるいは番兵といった姿で彫刻されている。特に12体の内の4体のルークは目を大きく見開き盾に噛みつくベルセルクのような形相である〔Robinson, pp. 28-29.〕。ポーンは前述の通り他の駒と大きく異なり、一回り以上小型でオベリスクや墓石に似た形状をしている。 駒は全て白色に見えるが、フレデリック・マッデン (Frederic Madden) は1832年の報告書で、いくつかの駒から着色の跡を発見し、元々一部の駒は赤色の染料で着色されていたが海水により洗い流されてしまったと述べた〔。これは、当時のチェスでは互いの駒を識別する際に駒を白黒ではなく紅白に塗り分けていたことを示唆するものである。 研究者たちも、現代の目からすれば目が飛び出たつまらなそうな表情の人形たちが明らかに滑稽に見えるということは認めている〔Robinson, pp.37-41.〕〔N. Stratford, ''The Lewis chessmen and the enigma of the hoard'' (The British Museum Press, 1997), p. 48.〕。これは特に、心配そうなだったり、目をそらしていたり(右の画像参照)、盾に噛みつく狂戦士だったりするルークに当てはまり、「現代の観客にはたまらなく滑稽」だと言われている〔Robinson, p. 37.〕。しかしながら、駒の制作者たちはそれらの滑稽な、または悲しそうな表情を意図したわけではなく、それどころか彼らは力強さや凶暴性を、あるいは頬杖をついたクイーンの例のように「熟慮、休息、もしかすると賢明さ」〔を表現しようとしたと考えられている。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「ルイス島のチェス駒」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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