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ルサンチマン : ウィキペディア日本語版
ルサンチマン

ルサンチマン()とは、主に弱者が強者に対して、「憤り・怨恨・憎悪・非難」の感情を持つことを言う。
デンマークの思想家セーレン・キェルケゴールにより確立された哲学上の概念である。フリードリヒ・ニーチェの『道徳の系譜』(1887年)でこの言葉が利用され、マックス・シェーラーの『道徳構造におけるルサンチマン』で再度とり上げられて、一般的に使われるようになった。
== 道徳の系譜 ==
ニーチェによれば、ルサンチマンを持つ人とは「本来の『反動』、すなわち行動によって反応することが禁じられているので、単なる想像上の復讐によってその埋め合わせをつけるような徒輩」〔木場深定訳『道徳の系譜』岩波文庫、46ページ(一部改変)。なお、木場訳ではルサンチマンは「反感」と訳されている。〕である。
ルサンチマンを持つ人は非常に受け身で、無力で、フラストレーションを溜めた状態にある。つまり、実際の行動をとるには社会的な制約があり、自身の無力を痛感している人である。そういう状態にあっては誰であっても、ルサンチマンを持つ状態に陥る。
社会的に強者であれば、嫉妬や反感といった感情に主体的に行動することができるため、フラストレーションを克服することができ、そのため、仮にルサンチマンの状態に陥ったとしても、一時的なものでしかないとされる。
反対に社会的な弱者はルサンチマンから逃れられない。フラストレーションをむしろ肯定し、何もできないことを正当化するようになる。社会的な価値観を否定したり、反転した解釈を行うようになる。こういった自分の陥っている状態を正当化しようとする願望こそ、奴隷精神の最大の特徴であるとする。
こうしたルサンチマンの表れの例として、敵を想定し、その対比として自己の正当性を主張するイデオロギーにある。こういったイデオロギーは、敵が悪の元凶とし、だから反対に自分は道徳的に優れていると主張する。「彼らは悪人だ、従ってわれわれは善人だ」ということになる。
敵として想定される存在は、自分が無力だと感じさせる対象が選ばれる。例えば、貧しさに無力を感じるルサンチマンの敵は資本家大企業となる。
さらに、そのルサンチマンの敵が拡大すると、対象が社会全体になる。「世界はどうしようもなく悪によって支配されている。したがってわれわれのほうが世界より優れている」と拡大解釈されるようにもなる。このような状況に至ると人は陰謀論急進主義刹那主義否認主義を受け入れ易い心理に陥る。また、人によってはそうした不満以上に「この世界では(自分は)報われない」という厭世観や自己の無力感を持つようになり、放蕩引きこもり、果ては自傷行為自殺に至る場合もある。
なお、ギリシア哲学研究で著名な田中美知太郎は、プラトンの対話編『ゴルギアス』でのカリクレスの主張―弱者たる多数派による法律に飼い馴らされた状態から、充分な天性を授かった人間(奴隷にしておいた主人)が立ち上がり、自然の正義が燦然と輝き出る、というもの―には、ルサンチマン概念の変奏曲の如きものが認められると指摘した(田中美知太郎責任編集『世界の名著 プラトン I』中央公論社)。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
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