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ワインの酸[わいんのさん]
ワインに含まれる酸は、ワイン醸造及び出来上がったワインに対し、重要な要素となっている。原料のブドウにも産物のワインにも含まれ、ワインの色、バランス、味に直接影響するだけではなく、発酵中の酵母の生育や細菌からの保護にも関与している。ワイン中の酸の量は、滴定酸度として知られ、大部分のワインのpHは、2.9-3.9の間に入る。一般的に、低いpHは高い酸度となるが、pHと酸度の間には直接の関係はない(高pHで高酸度のワインも存在する)。ワインのテイスティングにおいて、「酸味」という言葉は、新鮮で酸っぱい性質を表し、甘味やタンニンの苦味とのバランスで評価される。ワイン用のブドウに含まれる3つの主要な酸は、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸である。ワイン醸造においては、酢酸、酪酸、乳酸、コハク酸も重要な役割を果たしている。酢酸以外のワインに含まれる大部分の酸は不揮発性酸である。また醸造の過程で、アスコルビン酸、ソルビン酸、亜硫酸等が用いられることもある〔J. Robinson (ed) ''“The Oxford Companion to Wine”'' Third Edition pg 2–3 Oxford University Press 2006 ISBN 0-19-860990-6〕。
==酒石酸==
酒石酸は、ワインの化学的安定性や色に大きく関わり、また最終的な味にも影響を与えるため、最も重要な酸である。大部分の植物では、この有機酸はほとんど含まれないが、ブドウ属にはかなりの濃度で含まれる。酒石酸の含有量は、ブドウの種類や土壌条件等によって異なる。パロミノは含有量が大きく、マルベックやピノ・ノワールは一般的に含有量が小さい。開花期には、花に多くの酒石酸が蓄積し、その後、若い果実に移行する。果実が熟す過程において酒石酸はリンゴ酸と異なり、呼吸等で代謝されず、そのため比較的保存される〔J. Robinson (ed) ''“The Oxford Companion to Wine”'' Third Edition pg 681 Oxford University Press 2006 ISBN 0-19-860990-6〕。 ブドウ中の酒石酸の半分以上は遊離酸ではなく、大部分はカリウム酸塩として存在する。発酵中、これらの酒石酸は発酵かすやパルプ屑、沈殿したタンニンや色素に結合している。ブドウの種類や地域により差異はあるが、一般的に約半分の沈殿物はワインのアルコール混合物に溶ける。これらの酒石酸の結晶化は任意の時間に起こり、ワインボトルが割れたガラスのように見えることがあるが、無害である。ワイン中の酒石酸を結晶化させて沈殿させるために、ワインを凝固点以下の温度に置くこともある〔。
抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「ワインの酸」の詳細全文を読む
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