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===================================== 〔語彙分解〕的な部分一致の検索結果は以下の通りです。 ・ ー : [ちょうおん] (n) long vowel mark (usually only used in katakana)
ワーグナーチューバ(Wagner tuba)は、オーケストラで稀に見かける中低音域の金管楽器であり、主にホルン奏者が持ち替えて演奏する。外観は、ドイツや東欧の吹奏楽に用いられるテノールホルンやバリトンとよく似ているが、使われるマウスピースや楽器の構造が異なる。 == 成り立ち == この楽器は、ワーグナーが『ニーベルングの指環』の上演に当たり、新たな音色を求めて編成に採り入れたものである。 ワーグナーは1853年にパリを訪れ、楽器製作者のアドルフ・サックス(サクソフォーンの発明者)の店に立ち寄っており、その経験がワーグナーチューバの成立に影響を与えている。アドルフ・サックスは1840年代にソプラノからコントラバスに至る同属の金管楽器群「サクソルン」や「サクソテューバ」「サクソトロンバ」を次々と考案しているが、フランスで広まりつつあったこれらの楽器は、当時のドイツで使われていた類似の楽器よりも管が細く、華奢な音色が与えられていた。 また、ワーグナーは、金管楽器を音色の異なる4種類のグループに編成しようと考え、トランペットセクションにバストランペット、トロンボーンセクションにコントラバストロンボーンを追加し、ホルンは8本に増強した〔ウォルター・ピストン『管弦楽法』戸田邦雄 訳、音楽之友社、1967年 ISBN 4-276-10690-7 P.303〕。 チューバセクションについては、ハ調(C)または変ロ調(B♭)のコントラバスチューバ(通常の「チューバ」)に、テナーおよびバスチューバを2本ずつ追加する形とした。新しく追加されたチューバをホルン奏者が担当するという事情から、劇場スタッフの一員であり、ホルン奏者でもあったハンス・リヒターが楽器の調達にあたった。「ニーベルングの指環」のバイロイト初演の前年である1875年に至るまで、ドイツ中のいくつもの楽器工房で試作が繰り返されたという〔Anthony Baines "BRASS INSTRUMENTS" DOVER PUBLICATIONS, INC. New York, 1993 ISBN 0-486-27574-4 P.264〕。ドイツでは主にモリッツ(Carl Wilhelm Moritz)の製作した楽器が用いられていたと考えられている〔Anthony Baines "BRASS INSTRUMENTS" DOVER PUBLICATIONS, INC. New York, 1993 ISBN 0-486-27574-4 P.264〕。 実際、ワグナーチューバ登場以前の類似の楽器は、枚挙に暇がない。例えば1844年にチェコの金管楽器製作者ヴァーツラフ・チェルヴェニー(Václav František Červený)の考案したチューバに似た金管楽器「コルノン」(cornon)は、ホルンと同じような小型のマウスピースを用い、左手でヴァルヴを操作するものであったことが確認できる〔Günter Dullat "V.F.Červený & Söhne" Günter Dullat, Nauheim 2003 P.27-28〕。テノールホルンやバリトンも、すでに登場していた。従って、リヒターが新しい楽器の製造依頼に奔走したのは、「全く新しい楽器の発明」というよりも、むしろ「ホルン奏者が演奏できるチューバの必要性」という切実な事情によったのではないかとも考えられる。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「ワグナーチューバ」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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