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ワサビタケ
ワサビタケ(山葵茸、''Panellus stipticus'')はハラタケ目ラッシタケ科のワサビタケ属に分類されるキノコの一種である。 == 形態 ==
かさは腎臓形ないし二枚貝の貝殻形で、その縁は内側に強く巻き込んでおり、表面は粘性を欠き、淡い黄褐色ないし帯橙淡褐色あるいは黄白色を呈し、しばしば不明瞭な年輪状の模様(環紋)をあらわし、短いビロード状の毛を密布してざらつき、ときにはいくぶん粒状をなす。肉は薄いが強靭な革状肉質で、乾くと収縮するが水分を得れば再び原形に戻り、黄白色ないしほとんど白色で傷つけても変色性を欠き、かすかに菌臭(カビくささ)があり、やや収斂性の辛味を有するが、ほとんど味がない場合もある。ひだは幅狭く密生し、個々のひだの間にはしばしば網目柄状の横ひだを生じて互いに連絡し、かさの肉から分離しにくい。柄はごく細くて短く、かさの側方に着き、表面はかさと同色でざらつく〔今関六也・本郷次雄(編著)、1987.原色日本新菌類図鑑(Ⅰ).保育社、大阪. ISBN 978-4-58630-075-4〕。 胞子紋は純白色、胞子は細長い楕円形ないし種子形で無色・薄壁、時に顆粒状の内容物を含んでおり、ヨウ素溶液で灰青色となる(弱アミロイド性)。担子器はこん棒状で無色かつ薄壁、基部にかすがい連結を備え、四個ずつ胞子を形成する〔Bursdall Jr., H. H., and O. K. Miller Jr., 1975. A reevaluation of ''Panellus'' and ''Dictyopanus'' (Agaricales)". Nova Hedwigia 51: 79–91.〕。側シスチジアは、多くの文献〔〔青木実・日本きのこ同好会(著)・名部みち代(編)、2008.日本きのこ図版(第一巻) ヒラタケ科・ヌメリガサ科・キシメジ科.日本きのこ同好会2、神戸.〕〔Breitenbuch, J., and F Kränzlin, 1991. Fungi of Switzerland Volume 3 (Boletes and Agarics 1 ). Verlag Mykologia, Lucerne. ISBN 385604230X.〕ではこれを欠くと記載されているが、子実層托(hymenophore:本種の場合はひだ)の組織の中に深く埋もれて観察しにくく、紡錘形ないしこん棒形で無色・薄壁である〔。縁シスチジアはこん棒状あるいは円筒状で無色かつ薄壁、ときに頂端に短い指状突起を生じることがある〔。かさの表皮上層(sprapellis)は互いに緊密に絡み合った菌糸で構成され、その菌糸末端は不規則に立ち上がり(そのため、かさの表面はビロード状にざらついてみえる)、個々の菌糸はやや厚壁で不規則に分岐し、あるいは短い側枝を備え、表面に淡褐色を呈する樹脂状・不定形の沈着物(incrustation)をこうむり、かすがい連結がひんぱんに見出される。かさの表皮下層(subpellis)は、柄とかさとの付着点からかさの周縁部へと放射状に走る菌糸からなり、個々の菌糸は弱くゼラチン化するとともに不規則にくびれている。肉の組織も、隔壁部が不規則にくびれるとともにかすがい連結を有する菌糸で構成されており、その配列は不規則で、菌糸の細胞壁はしばしば僅かに肥厚している〔〔。菌糸の細胞質には、淡黄色の色素が溶け込んでいる。
抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「ワサビタケ」の詳細全文を読む
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