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一夫多妻制(いっぷたさいせい)は、一人の男性が多数の女性を妻とすることを認める社会、もしくは法律上の結婚制度。本来「複婚」を指す「ポリガミーpolygamy」の語が充てられるが、一夫多妻は術語としてはpolygynyという語を用いる。また結婚と同様、婚姻についての厳密な一般的定義は不可能である以上、文化人類学/歴史学的に一夫多妻の結婚状態として扱う範囲も定義によって変容する。その点で「一夫多妻制」という言葉を用いる際は「一夫多妻」以上に制度的・法律的側面を強調することになるが、一般にはほとんど区別されない。 ==生物学的意義== ヒト以外の動物にも一夫多妻制は確認されており、生物学的にいうと、一夫一婦制や乱婚制との関係は、雄(男性)から雌(女性)への繁殖投資の有無と深く関係していると考えることができる。 一夫多妻制を営む動物は、配偶関係にある雌に対して保護や食物の供給を通じて投資を行わず、より多くのエネルギーを、より多くの雌と配偶行動をとることにつぎ込むことで自らの遺伝子を持つ子孫をより多く残す繁殖戦略をとるものが多い。乱婚制との違いは、なわばりなどの手段によってより多くの雌を囲い込み、そこからライバルの雄がそれらの雌と配偶関係を持つことを排除する、すなわち雌という繁殖資源の資源防衛を行う点にある。つまり、繁殖に費やすエネルギーの投資をより多くの雌を獲得することだけに注ぐのではなく、雌の囲い込みとライバルオスの排除に相当量投資することで、より確実に自らの子孫を残そうとしているわけである。このような繁殖戦略を取る動物としては、繁殖期に非常に多くの雌を囲い込み、ライバルオスを激しい闘争によって排除して交尾にはげむ、チンパンジー、ゴリラなどの霊長類やゾウアザラシやアシカ、ライオンなどが代表的なものとして挙げられる。 一夫多妻制の動物において、遺伝子に選択圧がかかり、淘汰される方向性は、個々の動物のより細かい繁殖システムによって異なる。囲い込まれる雌の側が雄の特定の形質を選択して選ぶ動物の場合、雌によってより好まれる形質を発現する遺伝子が選択されることになる。一方、ゾウアザラシのように、繁殖に適した地理的条件の場所を雄が激烈な闘争によって独占する動物の場合には、雄の闘争能力にかかわる遺伝子に強い選択圧がかかる。ゾウアザラシの巨大な雄は、こうした選択圧によって誕生したと考えられている。 一方ヒトの場合には、婚姻制度と遺伝子の選択圧の方向は単純には決められない。例えば前近代の一夫多妻制では、しばしば女性の側からの男性の選択は認められておらず、家と家との取り決めなど共同体の意思が重視された。そのため女性の好みの形質の淘汰が起きたとは考えられない。また先述のようにヒトの一夫多妻制を実現する基礎条件は、男性側の社会的地位、経済的地位の高さによる女性とその子供への投資能力であるが、こうした地位の実現に関わる遺伝的な素質に関しても、その時代や社会による変動が大きく、一概に論じることは困難である。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「一夫多妻制」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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