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『エル・アルコン-鷹-』(エル・アルコン たか)は、青池保子による漫画作品であり、1977年から1978年にかけて『別冊セブンティーン』に掲載された「七つの海七つの空」、「エル・アルコン-鷹-」、「テンペスト」の三作品から成るシリーズの総称。全体で単行本にして4冊ほどのシリーズながら、青池保子の以後の創作活動に多大な影響を与えた。2007年に宝塚歌劇団で舞台演劇化されている。本項では舞台版についても併せて記述する。 == 作品解説 == シリーズの基盤となるのは最初に発表された「七つの海七つの空」である。同作は16世紀後半、エリザベス1世統治下のイギリスを舞台とした海洋冒険作品であり、学生あがりの素人海賊「キャプテン・レッド」ことルミナス・レッド・ベネディクトと、敵国スペインと内通するイギリス海軍将校ティリアン・パーシモンとの争いを描く。最終盤はスペイン側へ寝返り、理想の戦列艦「エル・アルコン」を建造したティリアンとレッドとの最終決戦が、史実のアルマダの海戦にて展開される。 「七つの海七つの空」はコメディタッチで描き始められ、当初は「ルミナス=善、ティリアン=悪」という対立軸を基に、「正義の味方にはつらい過去があって、その原因を作った敵役を滅ぼしてめでたしめでたし、そこに出てくる女の子は『あれー、あれー』といって右往左往するような巻き込まれ役で、という、よくあるパターン〔青池(2012)、p.724〕」が想定されていたが、本来敵役のティリアンに青池が深く傾倒したことから、ティリアンに重きを置いたシリアスな物語へと変わっていった。青池は「七つの海七つの空」の解説文において「正義の味方なんかどうでもいい。ほっといても最後には彼が勝つのだ。少女との恋物語など知るものか。かつてないほど、私は悪役に惚れたのだ」と述べている〔青池(2012)、p.718〕。「七つの海七つの空」の終了後には、ティリアンを主人公に据えたスピンオフ作品「エル・アルコン-鷹-」、「テンペスト」が発表され、前者ではティリアンの生い立ちからイギリス海軍で大佐となるまでの物語、後者ではフランスの女海賊ギルダ・ラヴァンヌとの戦いと、ティリアンとルミナスの出会いの物語がそれぞれ描かれた。宝塚歌劇版の『エル・アルコン-鷹-』では三作品がひとつの流れの中に組み込まれている。 それまで「清く正しいヒーローやヒロインが活躍する、いわゆる正統的な少女漫画〔」に欺瞞を感じながら、その定型を脱することができなかった青池にとって、悪役であるティリアンを主役に置き換えて物語を描ききったことは「本音で漫画を描き始め〔」、「物語を作ると同時に、人間の生き方を描く面白さを知」る契機となり〔、本作は同時期に連載が始まった代表作『エロイカより愛をこめて』などに大きな影響を与えることになった〔。また「ティリアンを上手く描きたい」という欲求から、より人体を正確に描くようになり、この頃から画風も大きく変化していった〔。青池は自身の漫画家人生における本作の位置づけを「自分のまんがの方法論まで変えてしまった大変重要な作品」だとしている〔青池(2012)、p.727〕。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「エル・アルコン-鷹-」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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