|
===================================== 〔語彙分解〕的な部分一致の検索結果は以下の通りです。 ・ 不 : [ふ] 1. (n-pref) un- 2. non- 3. negative prefix ・ 不思議 : [ふしぎ] 1. (adj-na,n) wonder 2. miracle 3. strange 4. mystery 5. marvel 6. curiosity ・ 思議 : [しぎ] 1. (n,vs) conjecture 2. guess ・ 国 : [くに] 【名詞】 1. country ・ 挿絵 : [さしえ] 【名詞】 1. (book) illustration ・ 絵 : [え] 1. (n,n-suf) picture 2. drawing 3. painting 4. sketch
ルイス・キャロルの『不思議の国のアリス』(1865年)とその続編『鏡の国のアリス』(1871年)は、いずれもジョン・テニエルの挿絵をつけて刊行された。『不思議の国のアリス』の刊行当時、キャロルが作家として無名に等しかったのに対し、テニエルは風刺漫画誌『パンチ』のトップ・イラストレーターであり、『アリス』の普及の少なくともその初期にあってはテニエルの知名度が大きく貢献したと考えられる〔ハンチャー (1997)、xix–xx頁。〕。アリスの物語が刊行された1860年代は、イギリスでは書籍・雑誌の挿絵の黄金時代にあたり、二つのアリスの本は当時とりたてて重要視されたわけではなかったが、今日では19世紀以来受け継がれてきた挿絵本のなかでもっとも人気のある作品となっている〔ハンチャー (1997)、188頁。〕。 アリスの物語は旧弊な教訓話から児童文学を解放したこととともに、児童書における物語と絵との調和の重要性をはっきりと示した作品としても評価されている〔吉田 (2007), 80頁。〕。それは挿絵に対してつよいこだわりを持っていたキャロルと、自身の仕事に対してはっきりとした矜持を持っていたテニエルとの共同作業の結果であった〔ハンチャー (1997)、172–173頁。〕。テニエルの挿絵はアリスの物語のイメージ形成に欠かせないものとみなされ、今日においてもよく親しまれているが、にもかかわらず後世の多くの挿絵画家がこの物語の挿絵に挑戦しつづけている。 == キャロルの挿絵 == アリスの物語に最初に挿絵をつけたのはルイス・キャロル自身であった。1864年にアリス・リデルにプレゼントした手書き本『地下の国のアリス』〔ルイス・キャロル 『地下の国のアリス』 安井泉訳、新書館、2005年。〕に、キャロルは37点の自筆による挿絵をつけている。キャロルは家庭内回覧雑誌などで絵を描いた経験はあったものの、このときの挿絵の作業にはかなり苦痛を覚え、同時に自身の画力に限界を感じたらしく、アリスの物語を『不思議の国のアリス』として正式に出版する際にはプロの画家への依頼を決めることになる〔中島 (1994)、91頁。〕。 キャロルの挿絵は、白ウサギがネズミにしか見えなかったり、人体のバランスがおかしかったり、立体感がなかったりと〔中島 (1994)、91–93頁。〕、テニエルのそれと比べればむろん稚拙なものではあったが、その素朴なタッチが洗練された効果を挙げている場面もあり〔ハンチャー (1997)、55頁。〕、素人らしい絵が非現実的な世界の視覚化にかえってうまく働いているとの評価もある〔吉田 (2007)、 81頁。〕。例えばアリスが巨大化して部屋に閉じ込められる場面は、キャロルの挿絵では絵のフレームそのものを部屋の壁のように利用して描かれており、育ちすぎた胎児が抱くであろうような恐怖感を喚起させるという点においては、テニエルの同じ場面の絵よりも優れているとも言われている〔ハンチャー (1997)、51–52頁。〕。 キャロルの伝記作者ファルコナー・マダンの意見によって、従来キャロルによるこれらの挿絵はテニエルの挿絵にさほど影響を与えていないというのが通説となっていた。しかし『アリスとテニエル』(原著1990年)の著者マイケル・ハンチャーは、両者の挿絵の著しい類似を検証し、キャロルがテニエルに細かい指示を出していたことを差し引いても、テニエルがキャロルの挿絵を参考にしていたことは間違いないとしている〔ハンチャー (1997)、42–43頁。〕。またテニエルが『地下の国のアリス』の挿絵をもとにして挿絵を描いていたという、アリス・リデルによる証言もある〔ハンチャー (1997)、44頁。〕。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「不思議の国のアリスの挿絵」の詳細全文を読む スポンサード リンク
|