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中世の温暖期(ちゅうせいのおんだんき、英:Medieval Warm Period:MWP)とは、ヨーロッパの中世に相当する時期、およそ10世紀から14世紀にかけて続いたヨーロッパが温暖だった時期を指す。この時期の温暖化は地球温暖化や温室効果についての議論でしばしば話題にされる。 ただし最新の報告では、現在と同程度に温暖であった地域は限られ、地球全体での平均気温は今よりもずっと寒冷であったと見られている〔Science, Vol. 326 no. 5957 pp. 1256-1260,27 November 2009 〕。 ヨーロッパではこの時期、ヴァイキングが凍結していない海を渡ってグリーンランドに入植するなど、より北方へ領土を広げたことが知られている。また農業生産力が拡大し、人口増加・経済の復興などが見られ、そのエネルギーは盛期ロマネスク建築やゴシック建築の建設や十字軍の派遣などへと向かった。この温暖期のあと小氷期に入り19世紀まで寒冷な時期が続き、その後に現在の温暖化が始まっている。 歴史時代の地域的な気候を研究をしているほとんどの古気候学者は、寒冷な時期を''小氷期''、温暖な時期を''中世の温暖期''と便宜的に使用している。他の場合でも、小氷期や中世の温暖期の時期に相当する気候イベントに対して便宜的に用いられている。 中世の温暖期と小氷期についての初期の研究はほとんどヨーロッパのものである。ヨーロッパではこれらの証拠が非常に顕著で、詳細に研究されてきた。この気温の変化は世界的なものだとする見方もあった。しかし2007年のIPCC第4次評価報告書においては、地球全体が20世紀全体のように温暖であったと言うには、中世のいずれの時期についても証拠が不十分だと指摘されている〔AR4 6.6 、Box6.8〕。また2009年に各種データを横断的に調べた報告においても、中世に現在と同程度に温暖であった地域は限定的であり、世界的には現在よりも寒冷であったと結論づけられている〔。 == 気候イベント == 中世の温暖期は太陽の活動の中世の極大期(AD1100年-1250年)と呼ばれる時期と部分的に一致する。 メリーランド州のチェサピーク湾の研究では、中世の温暖期(AD800年-1300年)と小氷期(AD1400年-1900年) の間に大きな気温の変化があるのが発見され、北大西洋の熱塩循環強度の変化との関係が指摘されている。ハドソン川渓谷の下流にあるピアモント湿原の堆積物からは、中世の温暖期(AD800年-1300年)には乾燥していたという証拠が得られた。 この時期アメリカ西部の多くの地域、特にカリフォルニアやグレートベースンでは長期の旱魃の影響が見られ、アラスカではAD0年-300年と850年-1200年、1800年以降の3回の温暖化が認められている。 放射性炭素年代が得られているサルガッソー海の海底試料の分析結果では、約400年前(小氷期)と1700年前は表層海水温が現在よりおよそ1°C低く、1000年前(中世の温暖期)には1°C高かったということが示されている。 赤道東アフリカでは、それまで現在より乾燥な気候と比較的湿潤な気候が繰り返されていたが、中世の温暖期にあたる時期(AD1000年-1270年) にはより乾燥した気候へと変化した。 南極半島の東ブランスフィールド盆地で得られた氷床コアにも小氷期と中世の温暖期が認められるが、AD1000年-1100年の頃に明らかな寒冷期が見られる。 これらのことから、中世の温暖期という言葉が一様な出来事を示すのではなく、温暖な時期の間にも、地域的に温暖だったり寒冷だったりしたこともあったということがわかる。 熱帯太平洋のサンゴの分析結果では、比較的冷涼で乾燥した状態が千年紀初期まで続いており、この変化はENSOパターンのラニーニャのような形状と調和している。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「中世の温暖期」の詳細全文を読む 英語版ウィキペディアに対照対訳語「 Medieval Warm Period 」があります。 スポンサード リンク
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